2013年10月31日木曜日

160.「新米司法書士・はるかの事件ファイル」 近藤 誠


司法書士の仕事って、不動産登記くらいしか知らなかったので、勉強になりました。

不動産登記の他には、会社設立登記、過払い返還請求、成年後見人などの仕事があるのを初めて知りました。

しかし、会社設立登記って行政書士もやっていて(確(行政書士はやってはいけないそうです:2014年5月7日追記過払い返還請求は弁護士もやっているので(そもそも宇都宮健児弁護士が道を開いたそうです:2014年5月7日追記)境界が曖昧で大変ですね。

また、資格者が増えているのに、不動産登記が減っているので成年後見人をメインとする方がいらっしゃるということには驚きました。

それにしても、主人公を女子大生にする必要はなかったと思います。ちょっと無理があります。
学生なのに、多くの時間を司法書士事務所で過ごしすぎだし、アルバイトにやらせるような仕事内容でないので、所長の責任問題が問われてしまいます。

当時、女子大生の資格物の本が流行っていたので、売上を上げるために、それに乗ってしまったのでしょう。

2013年10月30日水曜日

159.「18歳の今を生きぬく―高卒1年目の選択」東京都立大学「高卒者の進路動向に関する調査」グループ、 乾 彰夫

東洋大学 小澤浩明教授のお薦め本。

現代の高校卒業時の進路について、自分の頃より厳しいとは
何となくわかっていましたが、かなり理解が進みました。

自分の頃は、進学か就職しかルートはありませんでしが、
現代は、進学、就職、フリーター、ニートと分かれています。

進学は、僕らの時代では合格できなかった層が進学できる
ようになったものの、大学に馴染めず辞めていく。

就職は、非正規雇用が増えたためか、正社員は長時間労働と
パートからの突き上げで精神や身体を壊して辞めていく。

フリーターは、いじめや嫌がらせが多く、精神を病んで辞めていく。

本書では幸せになった例が殆どなく、救いがないため、
読み終わって気分が暗くなりました。

これが若者の進路の全ての姿ではないでしょうが、
こういった状況は何とかしなければならないと思いました。

2013年10月29日火曜日

158.「工学部ヒラノ教授」 今野 浩

著者が東京工業大学で教授を務められたときの組織に関する体験談。

大学の准教授(助教授)と聞けば、とても出世した人だと思っていましたが、
実際には「教育・雑務マシーン」であることの驚きました。
そして、50歳すぎても教授になれない人が多く、
「大学スゴロク」では厳しい状況にあるようです。

また、一般教育教官と専門課程教官との間には
地位や処分について大きな差があることを知りました。

教授の仕事は、自分の研究をして論文を書くことがメインで
その合間に授業を行っていると思ってました。
しかし、その業務割合は、
国立大学では、研究35、教育30、雑務20、社会貢献15
私立大学では、研究25、教育45、雑務20、社会貢献10
とあまり研究に時間を割けないようです。

権力闘争などもあり、色々大変だなと思いました。

2013年10月28日月曜日

157.「小さな士業事務所の「仲間力」──激動の時代を生き残る」河合 秀俊

タイトルから他士業と協力してサービズを提供するという内容と
思って読み始めましたが、違っていました。

異なる専門分野を持った、事務所の場所は近いけれど
競合しない距離の同業者(本書では税理士)が
提携して事業を行うという内容でした。

面白い試みですが、著者自身、平成24年から始めたことなので、
提携の具体的な結果も出ておらず、書籍化するには少し早いように
思えました。

また、本の内容も提携のメリットばかりを述べていますが、
デメリットが提示されず、上記のように具体的なメリット例もないため、
今ひとつ心に刺さりませんでした。

2013年10月26日土曜日

156.「僕は人生を巻き戻す」 テリー マーフィー

エドは、強迫性神経症を発症し、時間の進行を止めるために
自分が行った行動をビデオの逆回転のように反対に行う。
しかも、一度や二度ではなく何千回も。
さらに夜には昼間の行動を頭の中でリプレイスする。
時間を止めることで、自分の大切な人が死なないように。

発症の要因は、子供の頃に見た母の死に際と
ジャムのビンを開けっ放しにして父に殴られたこと。
本当に20年も前の事件が長い年月を経て、強迫性神経症を引き起こすのだろうか。

それにしてもその行動はすさまじい、
地下室にひきこもって、尿はペットボトル、便はジップロックに保管する。
シャワーも浴びないので、シーツは体液で湿り気を帯びた緑色に変色している。

そんな暗闇のなか、マイケル医師の涙で立ち直るきっかけを得て、
マヤダの愛で強迫性神経症をコントロールできるようになる。

強迫性神経症は完治しないとのことだが、克服の要因は本人の強い意思と、
本人に治りたいと思わせる周囲の愛情だと思った。


2013年10月24日木曜日

韓国映画「結界の男 (Man on the Edge)」

駐日韓国文化院のコリアンシネマウィーク2013で、「結界の男 (Man on the Edge)」という映画を見てきました。

ヤクザのクァンホは組のナンバー2。
ある日跡目を争うテジュに刺され、手のひらを切ってしまいます。
その結果、クァンホの手相が変わってしまい、彼に神様が降りてきて巫女をやらざるを得なくなり、ヤクザと兼業することに。

基本的にはコメディですが、少女「ひよこ」との交流やクールなアクションもあり、涙と笑いに満ちた映画です。

日本ではまだ未公開ですが、公開したらヒットすると思います。

155.「Charlie and the Great Glass Elevator」 Roald Dahl

「Charlie and the Chocolate Factory」の続編。

話がテンポよく、次々に切り替わる。
文章も短く、構文も簡単。
しかし、あまり見慣れない単語が出てくる。
9歳から12歳向けなのだが、実際のネイティブの子供が読む単語と
日本の授業で教わる単語には、開きがあると感じた。

154.「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー」高橋 秀実

「開成高校野球部だから論理的に戦略を立てて科学的に練習をして
試合に勝っているのだろう」
そんな想像は全くはずれていました。

練習は毎週木曜日のみで試験前には1ヶ月近く練習できない。
守備が下手なのは伝統。
ピッチャーは、安定して投げられればよい。

そんな状況でどうやって勝つのか。

それは、必要十分なことしかしないこと。
守備は自分の取れる範囲をカバーすれば良いのでそれ以上は練習しない。
練習の殆どをバッティングに当てる。
試合では、1イニングで10点取ることを狙い、大量得点で相手の意欲を削ぐ。

この戦略(?)で勝てるのかと疑問が湧くが、結構勝ち進み
強豪をあと一歩で倒すところまで行ったりする。

弱者が自らの弱みを捨て、強みに特化することで、
十分勝つことができるという、ビジネスやライフプランにも示唆を与える本。

2013年10月23日水曜日

韓国映画「南へ走れ (South Bound)」

駐日韓国文化院のコリアンシネマウィーク2013で、
「南へ走れ (South Bound)」という映画を見てきました。

元学生運動家で映画監督のヘガプは、殆ど働かず
今だに国家に対して反抗し、数々のトラブルを起こしている。
妻も運動家であったため、ヘガプを支持しているが、3人の子供には父が理解できない。

そんな時、生まれ故郷の島で暮らしている弟が不当な手段で実家がある土地を手に入れ、金儲けを企む政治家を脅迫して逮捕される。
ヘガプは、お金がないこともあり都会での暮らしを捨てて、島へ帰る。

ヘガプは、島では都会での生活が嘘のように働き者になる。逞しい姿を見せる父に子供たちも尊敬の目を向ける。そして、悪徳政治家との戦いであるクライマックスへ一気になだれ込む。

なかなか面白い話だなと思っていたら、
原作は日本の
「サウス・バウンド」奥田 英朗 (著) 
という小説でした。

私はこの小説を知らなかったのですが、日本の小説を原作に使った韓国映画は多いように思います。
そして、風土や心情が近いからか、非常によくマッチし、韓国の話として違和感なく作られています。


153.「未解決事件 オウム真理教秘録」 NHKスペシャル取材班

未公開のカセットテープ700本とこれまでインタビューに応じなかった人達の
インタビューなどをもとにNHKスペシャルとして放送した番組の書籍化。

誇大妄想狂でカリスマ性がある麻原被告が
被害者妄想に突き動かされて国家転覆を謀った。
それは、これまでに言われていた衆議院選挙敗北のショックからではなく、
自らの予言の正当性を証明するために、選挙前から既に
準備されていたことだった。

警察の現場では、坂本さん一家殺人事件や、松本サリン事件とオウムとの
関係まで辿り着いていながら、県警間の横の壁と警察庁との縦の壁により
事件を未然に防ぐことができなかった。

事件から20年近く経つが、この事件を風化させず
教訓として活かさなければならないと思う。

2013年10月22日火曜日

152.「はい、泳げません」高橋 秀実

水泳は人を区別する。

泳げる人は、学生時代、体育の授業中に羨望の目で見られ、
優越感を感じながら、泳げることを見せびらかす。
泳げない人は、授業中に劣等感に苛まれながら憂鬱になり、
授業を休みたいと思い、実際に体調まで悪くなる。

泳げる人は軽く動いているのにどんどん進み、いくら泳いでも疲れない。
泳げない人は一生懸命頑張るほど進まず、疲れてしまい水まで飲む。

全く泳げなかった著者が2年かけて泳げるようになったその体験談だ。
レッスンを途中休んだとはいえ、よくも2年間続けて泳げるようになったものだ。
全く泳げない人の心情と状況が事細かに描かれている。
読み終わって、自分も泳ぎたいと思った。

2013年10月21日月曜日

151.「現代中国の父鄧小平(上)」 エズラ・F・ヴォーゲル

上巻だけで576ページもある大著。
しかも、文字がびっしり書かれているので、普通のノン・フィクションの本の
3冊分、上下巻合わせて6冊分はボリュームがあります。
著者は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のエズラ・F・ヴォーゲル。
内容は、CIAの事前チェック済みなので信憑性が高いです。

右耳が聞こえず、外国語は話せず、高等教育も受けていない小柄な中国人が
3度の失脚と生命の危機に脅かされながらも、いかにして中国を
GDP世界第2位の国に創り変えていったかの物語。

前半は、毛沢東との愛憎劇。
国民党との内戦に勝利し、共産主義国家を創った毛沢東は
革命家であり思想家であり、神でありました。
しかし、建国後の政治組織整備、経済施策、教育制度には無策でした。
そして、この問題を解決できる方策と実行力を持つ人間は、
鄧小平しかいませんでした。
だが、毛沢東とその支持を受けた四人組は、イデオロギー闘争に明け暮れ、
「大躍進」や「文化大革命」によって多大な犠牲者を生み出し、
鄧小平を3度も失脚させ、中国の近代化を遅らせてしまいました。
鄧小平が国政のトップに立ったは、毛沢東の死後の1977年で、
彼は72歳になっていました。

後半は、鄧小平がトップに立ってからの工業、農業、国防、科学といった
「4つの現代化」による中国の近代化。
これまでの私の理解では、「中国対米国」という構図しかなかったが、
実際にはそれよりも、「中国対ソ連+ベトナム」という対立を
中国が懸念していたことを知りました。
日中平和条約が締結できたのは、2国間の関係が改善されたため
と思っていたが、中国側から見れば、ソ連に対する牽制の意味が
大きかったようです。

尖閣諸島に関して、
「この問題はわれわれの世代よりも賢い次に世代に解決を委ねるべきだ。」
と鄧小平が答えたのが1978年10月25日。
それから、35年後の2013年には、この問題は悪化しているように思えます。
鄧小平が期待した「次の世代」が現れるのは、まだ先のことかもしれません。

2013年10月18日金曜日

「きっと、うまくいく」

約3時間という長い作品でしたが、長いと感じず楽しめました。
しかし、ストーリーと全く関係がない歌とダンスのシーンがなければ
もっと短くなるのに・・・
まあ、それがあってこそのボリウッド映画ですね。

ストーリーは、10年前に失踪した親友を探すところから始まります。
そして、10年前のインドのトップの工科大学での青春物語がメインです。
貧富差が激しいインドにおける学歴競争が彼らの学生生活に影を落とします。
そんな中でも主人公のランチョーは、"All is well."(きっと、うまくいく)を
モットーにユーモアを交えて、様々なトラブルを解決していきます。
そんな彼に影響され、親友2人も自分のやりたい仕事につく
人生を選択するようになります。

しかし、そんなランチョーには、親友にも言えない秘密があって・・・。

ストーリーがよく出来ていて、最後まで楽しめました。

2013年10月17日木曜日

福田剛大さんから名刺のアドバイをいただきました。

「仕事が取れるすごい名刺交換5つの鉄則」 の著者である福田剛大さんと
名刺交換をしていただきました。
この本を読んで名刺を作り替えたので、ご本人と名刺交換できて感激です。

名刺を受け取っていただくなり、
「写真をもう少し大きくしましょう。」
というアドバイスをいただきました。
自分でもそう思っていたので、「やはりそうか。」と思いました。

早速、次回作では写真を大きくしたうえで、
勉強会で教えて頂いた内容を盛り込みます!


150.「心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹 (角川文庫) [文庫] 神永 学 (著) ANOTHER FILES いつわりの樹」神永 学

心霊探偵八雲シリーズの外伝。

正伝は9巻まで出版されています。
ANOTHER FILESは、両目の赤い男が登場しないシリーズだそうです。
そのため、主人公の八雲が危険にさらされることなく、自由行動できたため、順調(?)に事件を解決します。

本編では、刑事を退職した後藤がまだ刑事の時の話ため、正伝を読み進めていると、少し違和感があります。

後藤の部下の石井が、本編の重要な役割を担っており、彼の人間性にもスポットが当てられています。

2013年10月16日水曜日

149.「トップ3%の人だけが知っている仕事のルール」 石原 明

仕事の成果を上げる50のルール集。
ポッドキャストの「新刊ラジオ」で紹介されていたため、読みました。

「毎日の決意を習慣化する」
「自分にはこれしかないを持っている」
「自分が究めたいことは何かを自問自答しよう」
「5人の著書のすべての本を読む」
「毎日15分、1つのテーマを勉強する」
を自分自分のルールにしようと思いました。

石原さんのポッドキャスト「経営のヒントプラス」も聞くようになり、
大変勉強になっています。

2013年10月15日火曜日

「鳴瀧会(小鼓・幸流 幸信吾師社中)」

神楽坂にある矢来能楽堂で「鳴瀧会(小鼓・幸流 幸信吾師社中)」
を見てきました。

昭和27年9月17日に会場し、国指定の【登録有形文化財(建造物)】
にも登録されています。
そんなに広くない客席でしたが、落ち着いた雰囲気で心が洗われました。



148.「いつまでもショパン 」中山 七里

「さよならドビュッシー」の続編。

前作で副主人公だった岬洋介が今回も重要な副主人公。
ポーランドで開かれがショパンコンクールにおいて、
コンテスト、殺人事件、テロが交錯していく。

謎解き自体よりも、コンクールや、ポーランドの政情によって
物語に深みがでている。

前作で著者がコメントしていたように、著者自身はピアノを弾かない。
それなのに、非常に詳しく曲自体、演奏者の心理、コンクールの実情が描かれており、
ピアノを弾かない読者にもわかりやすい。

物語はコンクールの決勝と最終的なテロに向けて集約されていく。
そして、ポーランドから遠く離れたアフガニスタンでの誘拐事件が
物語に感動を添える。

ミステリー小説だが、それに留まらない人間ドラマでした。

2013年10月12日土曜日

147.「武士道 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ2)」 新渡戸稲造、 夏川賀央

とても平易な言葉で訳されているので、読みやすかったです。
武士道は一度読んでみたかったのですが、こういった訳や装丁がなければ読むことがなかったので、よい企画だと思います。

「武士道」は、武士道について説明する本だと思っていましたが、
実際には武士道が日本社会に及ぼした影響について論説した本です。

この本には沢山の欧米の古典が引用されていますが、
書かれた時代には翻訳本はなかったので、新渡戸さんは全て原文で読んで理解したのでしょう。
新渡戸さんの学識には目を見張るものがあります。

この書籍により外国からは日本人の精神のバックボーンが武士道であると
思われるようになりましたが、私は違和感を感じていました。
それは、当時の日本人の多くは農民で、武士は一部の特権階級と思っていたからです。
しかし、その一部の人間が日本社会のリーダーとなり日本を創り
日本人の社会制度に武士道を植え込んだのかもしれません。

武士がいなくなってから100年を超えて、その精神はすでに失われたようにも思われます。
それでもその社会の根底には武士道が残っており、武士道が残り香として日本人の間に
香っているのかもしれません。

2013年10月11日金曜日

映画「世界にひとつのプレイブック」

久しぶりにすごくいい映画を見ました。

パットは高校の歴史教師。
ある日早退して家に帰ると妻が同僚とシャワーを浴びながら不倫の真っ最中。
激怒したパットは同僚を半殺しにするが、職場を解雇され、
裁判所に接近禁止命令を出され、躁鬱病を発症して入院します。

ティファニーは、夫を事故で失ったショックから精神に異常をきたし、
女性を含む11人の職場全員と肉体関係を持った挙句、解雇され、
両親の家の離れで暮らしています。

パットは友人から義理の妹のティファニーを紹介され精神病の薬の話で意気投合。
ティファニーはパットと関係を持つことを望むが、
パットは元妻のストーカーとなっており、全く取り合わない。
ティファニーは、パットの元妻にパットの手紙を渡すという条件で
ダンスの大会にペアとして参加することを提案するが・・・。

パットとティファニーのキレっぷりが素晴らしい。
あんなにされたら家族もたまらないと思う。
しかし、その錯乱状態が後半の美しいストーリーを際立たせている。

とても、心がほのぼのとし、見てよかったと思える映画でした。


146.「起業家・個人事業主のための 絶対に選ばれる! 「ビジネス・プロフィール」のつくり方」 福田 剛大

前著「仕事が取れるすごい名刺交換5つの鉄則」を読んで
自分の名刺を創り変えました。
それなりに面白いものができて、渡した相手からの評判も上々です。

しかし、前著の名刺例を参考に作ったのですが何かが足りない。
さらにブラッシュアップしたいと思っていた時に本書が発刊されました。

ワークショップやテンプレート、参考例などもあり、
非常に分かりやすく、実践的な内容になっています。

さっそく、名刺やパーソナルホームページのプロフィールを
ブラッシュアップしようと思います。

2013年10月10日木曜日

145.「図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫) 」有川 浩

映画を見たので本を読みました。

こういった小説は割りと短時間で読めるのですが、予想以上に時間がかかりました。
でも、決して辛いものではなく、楽しかったです。

時代はほぼ現代ですが、違う点は架空の法律「メディア良化法」と「図書館法」があることです。
そのため、図書隊と良化特務機関が武装化し闘うことになります。本を守るために死者も出ます。

こんな法律は荒唐無稽に思われますが、執筆のきっかけは
作者が2004年11月頃「図書館の自由に関する宣言」を読んだことだそうです。あながち全くありえない話でもないです。

作者の有川 浩という名前から男性をイメージしていましたが女性です。そのため、主人公笠原郁の心理描写は女性ならではのものです。

文庫版の巻末にショートストーリーがありますが、
こちらも堂上、笠原がとても可愛らしく描かれています。



2013年10月9日水曜日

144.「1993年の女子プロレス」柳澤 健

1989年のクラッシュ・ギャルズ解散から1993年の北斗晶に至る女子プロレス界の繁栄とその後を描きます。

私が子供の頃はマッハ文朱は既にタレントとなっており、ビューティー・ペアが全盛でした。

1985年からのクラッシュ・ギャルズの全盛時代は大学生であり、何となくは知っていましたが
試合を見たことはありませんでした。

女子プロレスの黎明期は、マッハ文朱が切り開きました。その後、ビューティー・ペアが女子プロレスを「闘う宝塚」というコンセプトで人気が全国的に火が付きます。

ビューティー・ペアに憧れた女の子達が全女に入門し、その後の隆盛を支える人材が育ちます。
そして、体格的に恵まれない「天才プロデューサー」長与千種が女子プロレスに男子プロレスのテイスト「打撃、関節技、スープレックス」を取り入れ、女子プロを最盛期へと導きます。

しかし、女子プロは1989年にピークを迎えたもののクラッシュ・ギャルズの引退後は衰退の一歩を辿ります。

そこを何とか立て直したのは、ブル中野とアジャ・コングの「危険なプロレス」です。
「裏拳、危険な角度のスープレックス、4メートルギロチンダイブ」により、観客は熱狂します。
その裏で観客の構成が女子中高生から男性へと移り変わっていったのです。

このことが、女子プロレスの更なる過激化と、ピーク時には2,000人もいた入門希望者の激減へとつながります。
そして女子プロレスは、全女の単一開催試合の採算が悪化し、他団体への団体戦へと傾倒します。
そして、ついには「北斗晶対神鳥忍」の一戦後、衰退していきます。

殆ど知らなかった女子プロレスの世界ですが、その歴史、実態がわかり、面白かったです。


2013年10月7日月曜日

初めて能を鑑賞しました。



初めて能を鑑賞しました。
場所は渋谷の観世能楽堂です。
東急百貨店の裏の坂道を少し登ったところにあります。
今、売却されてしまうのではないかと話題になっている所です。

「五世梅若吉日之丞三回忌追善 東京猶諷会」という会に参加しました。
能楽堂内は思ったより広く、静かで快適です。
9時45分開演だったので、すぐに能が始まるのかと思いましたが、
番外仕舞→素謡→独吟→舞囃子→素謡と進み、
能は12時40分ころに行われました。

演目は、「船弁慶」です。
西国に下る義経を追ってきた静御前を弁慶が説得して帰らせるという前半と、航海中に船で暴れる平知盛の亡霊を弁慶が成仏させるという後半
から成ります。

正直なところ、セリフの意味は殆どわかりませんでした。
しかし、優美な身のこなし、独特でよく通る言い回し、華麗な衣装など
日本の伝統文化に触れることができ、大変魅了されました。

143.「生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント」西原 理恵子 (著)

身も蓋もない回答だけど、キレイ事じゃない分、実際役に立ちます。
漫画家を目指す娘に悩む母親対する回答が参考になりました。

「期限はきちんと決めてあげた方がいい。
『20歳まで。これぐらいのお金しかだせないよ』と。
それでも本当にやりたいなら、あとは自分でアルバイトでも何でもして
続けるでしょう。
若い時の貧乏ってわりと平気だから。
仕送りなんて少なめでいい。
親たカネやっちゃうといつまで経っても、独り立ちできないから。」

「アルバイトはさせた方がいい。
お金をもらって、他人に怒ってもらえるという経験は貴重です。
私もアルバイトでいろんな経験させてもらったのが財産になったいる。」

なかなか、子供には厳しいこと、特にお金の無心を断ることは言いづらい。
でも、お金をあまり与えず、アルバイトでお金を稼ぐ経験をせさることが
本人の人生にとって良いことだと思えました。


2013年10月5日土曜日

142.「BPD(=境界性パーソナリティ障害)をもつ子どもの親へのアドバイス―両親が自分や家族を義性にすることなくBPDを持つ子を援助するために」 ランディ・クリーガー

「境界性人格障害=BPD」の続編
実際にBPDの子供がよく起こす問題と、その対処法が分かりやすく書かれています。

「多くの人とやり取りし、いくつもの課題を同時にこなしていかなければならない仕事は、
彼には向かないでしょう。」
「動きの速い大企業のストレスには対応できなくても、小規模の親密な職場でなら
うまくやっていけるかもしれません。」
といったアドバイスが実に的確です。

2013年10月4日金曜日

141.「人造人間キカイダー The Novel 」松岡 圭祐

震災後の日本にキカイダーが蘇った!

テレビ番組の小説化の多くは、失礼ながらあまり著名ではない作家の手により
番組の設定がそのまま投影された番組のダイジェスト版となります。

しかし、本作は「催眠」「千里眼」というベストセラーを持つ松岡圭祐氏が、これまで培った心理学、格闘術、兵器、及び科学の知識により元来、荒唐無稽であったキカイダーをリアルに描き出すこに成功しています。

コードネームが「キカイダー」(機械だ。)であった理由、キカイダーが青と赤の2色でならなかった理由、
良心回路の構成要件、が納得できるように語られています。

よくぞ、松岡氏にキカイダーを書かせるという企画を思いつき、交錯したであろう著作権を整理し、すでに自分のステータスを持つ稀代のストーリテラーである松岡氏に引き受けてもらうといった難題を解決できたと思います。

2014年に映画化ということなので、楽しみです。



2013年10月3日木曜日

140.「工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行」今野 浩

「ワタシをあげるから単位をちょうだい」と迫る女子学生、
パーティーは昇進のチャンスを手に入れる場所であり他人の妻を盗む場所、
教授の昇進も情実人事といった、殆ど知られていないアメリカの大学の実情が
面白おかしく描かれています。

アメリカのB級大学はB級の人達の集まりだから、
そこで暮らしても得るものはあまりないという、
ビジネススクールの実態から、何でもかんでもMBAを追い求める無益さ
が分かりました。

最近、サンデル教授の白熱授業がとても注目されていますが、
著者によれば、その講座は30年前からあったとのこと。
急に注目されたのは、ハーバードMBAの卒業生の多くが
ウォール・ストリートで"Greed is good"(強欲は善)と荒らしまくった結果、
リーマン・ショックを引き起こしたので、
「ハーバードは、"正義"を重視しています」とのアピールが当たったらしいです。

アメリカではMBAを取らないと高収入の仕事に就けないそうですが、
そのコンサル手法は、ケースの切り貼りらしいので、
成果には疑問が生じました。

2013年10月2日水曜日

139.「情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦」濃野 平

20代前半にテレビで闘牛シーンを見た著者は闘牛士になることを夢見る。
3年間、築地にマグロ店で働いてお金を貯め、
28歳で単身で伝手もなくスペインへ渡る。

著者の25歳までの経歴は殆ど触れられていない。
子供の頃に母を亡くし、父が仕事で忙しいため、祖父母に育てられる。
高校時代、大学時代、就活時代は書かれていないので、
無気力な人生を送っていたのかもしれない。
20歳過ぎてテレビ番組を見て、闘牛士になりたいと思うのも
精神年齢が低かったように思える。

しかし、その夢に拘り、3年間お金をためてスペインへ渡ったという
勇気には感服する。
そして、夢に拘りもがき続ける中て、人格的にも成長を遂げた。

闘牛士になる道はとてつもなく険しい。
牛を相手に練習しなければ上達しないというあたりまえの話の中、
実際に牛を相手にする機会は非常に少ない。
牛は15分も練習すると慣れてしまい、マタドールでなく、
身体に突進することを覚える。
そのため、一匹の牛はたった一回しか練習相手になれない。
さらに、スペイン国内の不景気と娯楽の多様化により、
闘牛の試合が減っており、十雨文に練習できるのは
お金持ちの子供だけとなっている。
そうして、沢山のお金を投入してマタドール・デ・トロスに到達しても、
有力な代理人の目に留まれなければ試合の機会に恵まれない。

金もコネもない外国人である著者は、闘牛士デビューに漕ぎ着けるが、
その後3年間も試合に出られなかった。
行き詰まった著者は、悩んだ末、下手をすると闘牛士免許を没収される
飛込み(闘牛士の試合に飛び込み、彼の牡牛を奪うこと)を決意する。

見事飛込みに成功し、スペイン中の注目を集めた彼は、
その後の飛躍が約束されると思われたのだが・・・。

闘牛というスペイン文化に飛込み、成長している姿に刺激をもらいました。

2013年10月1日火曜日

138.「リスクとの遭遇」植村 修一

1つの項目の中で、次々に他人の著作が引用されて
トピックスが切り替わるので、論理を追えません。

また、例えば「なぜ人は慢心するのか」という章では、
その問いかけに対する著者の見解は示されないので
反論のしようもなく、思考が深まりません。

他人の引用ばかりでそちらの本の本の方が面白く思え、
本書は何を言いたいのか、よくわかりませんでした。