2014年5月31日土曜日

363.「誰からも頼りにされる人の仕事のやり方」 室井 俊男

「50の方法」というサブタイトルがあります。仕事に対する考え方、向き合い方が書かれています。

様々なメソッドから著者が実践し、実際に役立つと思ったものを紹介しているので、実用性および有効性は非常に高いと思います。

主には、入社1,2年目の社員が知っておくべきことですが、中堅社員にとっても、これまでの自分の仕事のやり方を見直す効果があると思いました。

2014年5月30日金曜日

362.「サファイア」 湊 かなえ

1編40ページの短編小説が7編からなります。どことなく読後感が星新一のショート・ショートに似ていますが、より毒を含んだ気がします。

各編で宝石をテーマしていますが、その毒ゆえに妖しく輝いています。

中でも、「サファイア」と「ガーネット」の連作が印象に残りました。

サファイアをマミに贈るために悪質商法に手を染めた修一と、修一から無価値な宝石を高値で買わされた女性、そして、その女性とマミとの邂逅。

日常に潜む普通の人の悪意と、悪意より見出すことが難しいが人の心を救済する善意に気付かされる作品でした。

2014年5月29日木曜日

映画「ダンシング・クイーン」




ダンスが好きな女性・ジョンファは、かつてはマドンナ的存在として華やかな青春時代を送っていたが、今は冴えない弁護士・ジョンミンと結婚し、平凡な日々を過ごしている。ある日、ジョンファにダンス歌手になるという夢を叶えるチャンスが訪れる。しかし、ジョンミンがソウル市長選挙に出馬すると言い出し…。

最初は面白いけれど、描写が薄いコメディー映画だなと思っていました。しかし、ジョンミンが市長選挙に出馬を決意してから、夫婦の感情や周囲の思惑なども描かれるようになります。クライマックスのジョンミンのスピーチでは、妻に対する愛情が表現され、上映会場からすすり泣きの声が聞かれました。

予想外に面白く、感動できる映画でした。

361.「誰よりも狙われた男」 ジョン・ル・カレ

チェチェン紛争の落とし子、イッサは、投獄され、拷問を受けながらも、ドイツのハンブルグに逃げ込みます。

彼に託された巨額の遺産をもとにドイツで市民権を得るために。

しかし、ドイツの諜報機関が彼の遺産を利用することを企んだことから、イッサに協力する人権弁護士アナベルと銀行家ブルーも謀略に巻き込まれていきます。

断片的にしか触れないチェチェン紛争、名誉の殺人、テロの資金洗浄などが、実体感を持って理解できるスパイ小説です。

2014年5月28日水曜日

360.「普通の女性会計士のありえない日常」 高柳 融香

タイトルの「ありえない」は大げさですが、日常がよく描かれています。

過酷な業務や厳しい人間関係が描かれています。それは会計士特有の問題というよりは、会社員として組織で働くことの問題と思いました。

会計士という仕事は、以前から「高収入の会社員」というイメージがあります。それは、監査という業務は、監査法人しかできないので、そこに雇用される他なく、実態は、会社員だからです。

会計業界の昨今の人材過剰やリストラといった問題は、2007年・2008年の大量合格(4,041人、3,625人)にあると非難しています。2004年・2005年の合格者(1,378人、1,308人)に比べ、3倍と大幅に増加しているからです。

会計士は士業にかかわらず、実態は完全な会社員であり、個人のスキルを上げるだけでも評価は上がらず、監査業務での独立が困難であるため、気の毒な気がしました。

2014年5月27日火曜日

359.「クジラの彼」 有川 浩

自衛隊員の恋愛を描く「自衛隊ラブコメシリーズ」です。

「クジラの彼」は、「海の底」の番外編で、北原と一般女性の聡子の恋愛話です。


「有能な彼女」も、「海の底」の番外編で、事件から8年後の夏木と望の結婚話です。

「ファイターパイロットの君」は、「空の中」の番外編で、高己と光稀の子育話です。

いずれも、自衛隊員の転勤や不規則勤務という障害にも負けず、誠実に愛情を育てていく姿が描かれています。

2014年5月26日月曜日

358.「韓流時代劇と朝鮮史の真実 朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏」 宮脇 淳子

人気の韓国時代劇を考察しながら、朝鮮史を解説しています。

取り上げた時代劇は、朱蒙、太王四神記、善徳女王、龍の涙、宮廷女官チャングムの誓い、ファン・ジニ、イ・サンです。

アメリカのスタンフォード大学の研究員グループが「日本では歴史はヒストリー、シナではプロパガンダ、韓国ではファンタジーである」との結論に至ったそうですが、韓国時代劇は、ファンタジー満載です。

例えば、チャングムは、「李朝実録」に数行しか書かれておらず、脚本家も
「それ以外は、100%私の想像です。」
と語ったそうです。

チャングムの前半の見せ場は、ライバルとの料理対決ですが、これは日本のマンガ「将太の寿司」にインスパイアされたそうです。予想以外にウケてしまったため、医女の話なので物語中盤まで料理を作り続ける羽目になったそうです。

2014年5月25日日曜日

357.「仁義なきキリスト教史」 架神 恭介

ユダヤ教の各宗派をヤクザの組、イエスをヤクザに見立てて話を構成していて面白いです。

大量虐殺や上納金は聖書に記されてるので、当時の登場人物は聖人ではなく、ゴロツキだったのかもしれません。

本書は、マルコ福音書をベースにしています。聖書をトピックスからなりますがそれらをうまくまとめて話を作っているので、キリストの受難まで、とてもわかりやすいです。

そして、いかにしてキリスト教徒が増えていったか、新約聖書がどのように書かれたか、ローマ教皇がなぜ他の司祭より格上なのかまでよく分かります。

新興宗教がどのように起こり、成長、発展していくのかが理解できました。

2014年5月24日土曜日

356.「海の底」有川 浩

著者の自衛隊三部作の3作目です。3作のうち、個人的には、これが一番好きです。

謎の巨大ザリガニが横須賀を襲い、人間を喰らい始めます。命からがら潜水艦に逃げ込んだ2人の自衛官と13人の子どもたちの6日間が描かれます。

荒唐無稽な大枠ですが、その中で子供たちのヒエラルキーや自衛隊出動に二の足を踏む政府の無策ぶり、日本の中の米軍基地、自衛官の発泡制限などの問題が提起されています。

その中で、とても美しい恋愛話も表現されており、とても心に残る作品でした。

2014年5月23日金曜日

355.「赤い中国消滅 ~張子の虎の内幕」 陳 破空

中国第2次天安門事件の元リーダーの著書です。現在はアメリカに住んでいます。

1953年から58年までに人民日報は、
「琉球諸島は尖閣諸島を含む」
と記述し、1972年に周恩来は、
「私は尖閣諸島のことはわからないし、関心もない。」
と明言していました。

しかし、1967年に国連が尖閣諸島の地底に石油資源があることを公表してから、にわかに尖閣諸島の領有権を主張し始めました。

尖閣諸島が日本に国営化されたことで中国で反日デモが起こりますが、破壊行為の先頭を率いていたのは、皆「丸刈りの男たち」で、全く同じ服を来て、同じサイズの棍棒と同じ型のラッパを持っていました。

中国のネットユーザーたちが調べたところ、いずれも現地の公安幹部だったそうです。天安門事件後、デモが厳禁されているにもかかわらず、反日デモだけ起こるのは、実は政府が実施しているようです。

国家というより、共産党が国民を搾取する植民地のような現状です。法治国家でなく封建国家であり、三国時代から続く、一つの勢力が権力を掌握するという状況が続いているようです。

国民により選ばれた政党により国家が運営されるという形式ではないので、将来、次の勢力に権力が奪取されるかも・・・。

2014年5月22日木曜日

354.「図解 逆説の経済学 メディア・評論家に歪められた真実」 三橋貴明

著者が様々なメディアで主張している内容を図やデータを使って、見開き1ページで解説しています。

シンプルで非常に分かりやすかったです。



特に分かりやすかったのは、

  • 少子化はデフレの原因ではない
  • アベノミクスでは、ハイパーインフレにならない
  • 国債は国の借金ではなく、国民の債権
という話です。

TPPもあまり利益が見られないので、締結できないほうがよいでは・・・。

2014年5月21日水曜日

353.「母性 」湊 かなえ

登場人物の独白スタイルは、著者独自のものと思っていましたが、著者が好きだと言っていた「殺人交差点」とスタイルが似ていることに気付きました。

本書は伏線が巧妙で、思わず前に遡って該当箇所を探してしまいました。

「時は流れる。流れるからこそ、母への思いも変化する。それで愛を求めようとするのが娘であり、自分が求めたものを我が子に捧げたいと思う気持ちが、母性なのではないだろうか。」

母性を持たずに娘で在り続けた母親と、その母に母性を求め続けた娘の葛藤が物悲しかったです。

2014年5月20日火曜日

352.「アニバーサリー」 窪 美澄

前半の晶子の半生を読んでいる時、これは何を書きたい本なのか、さっぱり分かりませんでした。

しかし、真菜の半生が始まり、ようやく著者らしさを感じるとともに、日本という1つの国の中に生きた、昭和の女性と平成の女性の生き方の違いを出産を通じて描いているのではないかと思いました。

物はないけれど母の愛情に育まれて育った晶子と、
物はなんでもあるけれど、母の愛情に触れることなく育った真菜。

打算のない友情を示してくれた千代子と、
自分の都合のために友情を見せかけた絵莉花。

多くのことが対照的に描かれていますが、昭和の日本と平成の日本ではそこに暮らす女性達を全く変えてしまいました。変わらなかったのは、不都合な情報を隠そうとする政府と、春に咲く桜だけでした。

「先生たちの世代が、いい暮らしを望まなかったら、こんなこと起こらなかったんじゃないんですか・・・」
「夫になんか頼らなくても子育てはできるわよ。」
とても耳に痛い言葉ですが、確かにその通りです。

今、政府は女性が働くことを後押ししていて、その事自体は素晴らしいことです。

しかし、子供にとっては、母親の愛情に育まれないとしたら、どうなのだろうかと、考えさせられました。

2014年5月19日月曜日

351.「警備員の山田さんが4年で1億8000万円の資産を築いたヒミツ」 山田 勤

ヒミツの内容は、奥さんの交通事故で得た保険金を頭金に不動産会社が薦めた木造アパートを2棟、それらを担保にして購入したというだけです。

警備員の仕事と1億8000万円の資産は、全く関連がありません。

この本に載せられて不動産投資をしたら、かなり痛い目にあうと思います。
なぜなら、書かれている内容は、投資用不動産の営業マンのセールストークばかりで、それらも本人は検証していないからです。

著者が主張する秘訣は、よい不動産会社を見つけることと、管理会社に注文を付けること、そして家賃を相場より安くすることです。しかし、これらは、自分のコントロールできる範囲が狭いと思います。

本書によれは、月100万円近くの収入があり、ローン返済が70万円位なので、自由に使えるお金が沢山あるとのこと。
しかし、収入から、管理費や税金、税理士費用等を引くと、殆ど利益がないのではないでしょうか。好きな時に銀座で天ぷらを食べれると言いますが、せいぜい1~2万円なので、あまり不動産投資と関係ありません。

それよりも、今後、空室、家賃値下げ、管理費アップ、固定資産税アップ、修繕費用などの発生の可能性を考えると、これらのうちいくつかが起きただけで、破綻してしまうように思われます。

まだ、不動産を持って4年。今後も継続して利益を上げていけるか不明です。
それを成功者のように祭り上げて、出版してしまうことの功罪を心配します。



2014年5月18日日曜日

350.「ソーシャルメディアを武器にするための10カ条」徳本 昌大、 高橋 暁子

専門家を名乗り、ブログに投稿し、フェイスブックとグーグルプラスで公開することで、パーソナルブランディングする。

そして、朝活等によって直接会う。

これが本書で主張している内容の殆ど全てです。

2人の著者が前半と後半を担当していますが、殆ど同じことを書いているので内容が重複しており、10カ条とは言えません。

主張内容は、野呂エイシロウが既に書いていることと同じなので目新しさはありません。実体験が書かれているので、その点では参考になりました。

2014年5月17日土曜日

349.「ミャンマー 驚きの素顔 現地取材 アジア最後のフロンティア」 三橋 貴明

ミャンマーという国の成り立ちを殆ど知らなかったので勉強になりました。

軍事政権がビルマという国名をミャンマーに変えたのは横暴だというような報道もありましたが、実は単に英語標記を変えただけで、現地語では今も昔もミャンマーのままだそうです。

そういったことまで調べないマスコミの姿勢はどうかと思いました。

今後も発展が期待され、反日感情も少ないミャンマーと、良好な関係を築いていくことが、経済的にも政治的にも両国に利益があると思いました。

2014年5月16日金曜日

映画「おばあちゃんの家」


2002年の韓国映画です。

ソウルで暮らす7歳のサンウは、母の就職活動のため母の実家の祖母に預けられます。

都会で育てられたサンウは、口がきけず字が読めない祖母にワガママをいい放題。祖母は怒りもせず、サンウの要求を叶えてあげようとしますが・・・。

祖母の家は山中の崖の上のあばら家。
祖母の年齢から考えると日韓併合の時期を体験していると思われますが、この地域まではインフラ整備が及ばず、教育制度もなかったために、文盲におかれていたように思われます。

服装も質素な白いチョゴリを着ているのでこの地域は西洋化されず李氏朝鮮時代の生活習慣が続いているのかもしれません。

しかし、そのために人々にやさしい気持ちや助けあう気持ちがまだ残っています。サンウはそういう気持ちを持たず、また理解できませんが自分が苦境に陥ったときに、おばあちゃんの優しさに気付きます。

サンウは、おばあちゃんの思いやりに涙しますが、その性根は変わっていないと思いました。ソウルに帰ればすぐに忘れてしまうでしょう。

しかし、おばあちゃんの無償の愛情は、民俗や地域が違っても、変わらないものだと思い、胸を打たれました。


348.「殺人交叉点」 フレッド カサック

テレビで作家の湊かなえさんが薦めていた本です。

最後まで犯人を当てることができませんでした。見事にしてやられたという感じです。


事件のプロットは単純で、登場人物も少なく、被害者の母と加害者の語りがフランスらしい情景と恋愛事情を織りませながら、淡々と進みます。

犯人は疑う余地がないように話が進みますが、最後にどんでん返しが・・・。

お芝居に向いているような作品です。

2014年5月15日木曜日

映画「キャプテン・フィリップス」

たった4人の海賊が小型ボートで大型コンテナ船に乗り込み、占拠できることに驚きました。

最後まで闘いぬいたフィリップス船長の勇気は讃えられるべきだし、米国海兵隊シールズの活躍も素晴らしいです。

しかし、ソマリアを植民地化し、民族分断の上内戦を引き起こし、未だに無政府状態に置いたのは誰の責任でしょうか。

大型船でソマリア近海にやってきて、大量に魚を奪って漁師を食えなくして、海賊としてしまったのは誰でしょうか。

ソマリア領域で逮捕した海賊を無政府状態とはいえ、米国の法律で裁き、米国の刑務所に収監することに法的根拠があるのでしょうか。

単純に米国バンザイとは言えないスッキリしない映画でした。

347.「ウルフ・オブ・ウォールストリート 下 」 ジョーダン・ベルフォート

下巻は、ビジネスの話は殆どなく、ストラットン・オークモント引退後にドラッグに溺れた話です。つまらなくはありませんが、取り立てて面白いわけでもありませんでした。

しかし、巻末の訳者あと書きを読んでビックリしました。結構苦労して読んだ話の多くが作り話だったとは・・・。

そもそも、著者はウルフ・オブ・ウォールストリートなどとは呼ばれていなかったようです。また、彼の話は、一般人にまで知れ渡るようなものではなく、業界の間でのみ知られて詐欺師だったとのこと。

「金持ち父さん貧乏父さん」がゲームを得るための作り話で、2人の父さんは実在しなかったことを知った時以来のガッカリ度でした。

2014年5月14日水曜日

映画「ブリングリング」


ロサンゼルスの高校生が、女優や歌手などのセレブの家に忍び込み、洋服や金品を盗んだ事件を元にした映画です。

検索サイトで、「女優名+Address」と検索しただけで、本人の自宅がわかってしまい、特定の日に自宅にいないことまでわかってしまうことが恐ろしいです。

彼女らは、家宅侵入の特別な技能を持っているわけではなく、単に開いてる窓から入ったり、玄関のマット下を探って鍵を見つけたりしています。しかも、家のなかは物が多すぎて、靴などが盗まれたことに、盗まれた本人は気付いていません。そのため、パリスヒルトンは、8回も侵入されています。

作品としては、訴えたいテーマがあるわけではなく、単に話題となった事件を話題となるように映画化してのぞき見趣味をくすぐっただけのように感じました。

346.「家主破綻」 丸山 輝

不動産投資に対する一般的な印象は、
1. 「不動産オーナーは労働しなくても収入がある」
2. 「不動産投資の利回りは表面利回りとイコールである」
3. 「借金は多ければ多いほどレバレッジが効くので良い」

しかし、実際には、
1. 物件周辺の草むしりや清掃、老朽化した箇所の補修、入居審査、家賃管理、違法駐輪された自転車の撤去等
2. 実際の利回りは実質利回り(実質収入額÷物件取得価格)
3. 空室、家賃滞納
のリスクがあります。

本書では、この中で主に家賃滞納の危険性について語っています。

コストパフォマンスに優れている投資物件は、木造の平屋か2階建てで、まるごと賃貸に出せるものだそうです。

そして、家賃が相場より安く、すぐに入居者が決まり、なおかつ、利回りが高ければ言うことがありません。

経験が浅い人は、ビルなどの見た目がいいものよりも、倉庫や駐車場といったコストがかからない優良物件の方が無難なようです。

いずれにしても、不動産投資は何もしないで収入が得られる不労所得ではなく、やるべきことが多いビジネスだと思いました。

2014年5月13日火曜日

345.「これから日本と世界経済に起こる7つの大激変」 渡邉哲也

著者によれば、租税回避によるレント・シーキング(社会資産のただ乗り)、輸出を中心に置くグローバリズムが衰退しつつあり、ナショナリズムやブロック経済化が進んでいくとの見通しです。

韓国は中国に接近し、中韓のブロック経済化が進む可能性がありますが、その場合には、2国とも共倒れになる可能性が高いです。

そうすると、環境問題、経済格差問題、不動産バブルを抱える中国は、国内の不満をそらすために周辺国へ進出していくことでしょう。

それに対して日本は、インド、ロシア、トルコ、東南アジアと連携を深め、中国の進出に対抗していくことは有効です。日本の内需に目を向け、これらの国々と友好的な経済圏を構築することが次世代の繁栄につながるように思いました。

2014年5月12日月曜日

映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」


小説では、ストラットン・オークモント社の狂乱、スイスでの資金洗浄、スティーブ・マデット社の経営、子供の病気、ドラッグ中毒などが描かれていますが、映画では、ストラットン・オークモント社の話に絞られています。

その代わりに、小説では書かれていない、最初に入社した証券会社の破綻からペニー株に出会って、ストラットンを創業し、発展していく姿が描かれています。

上演時間は3時間と長時間ですが、長いとは感じませんでした。

小説ではイメージが曖昧なシーンが映画でははっきりと見られる反面、ひどい腰痛から逃れるためにドラッグに溺れていく心情までは描かれないところが少し物足りませんでした。

344.「中国美女の正体」宮脇淳子、 福島香織

対談形式で書かれており、読みやすかったです。

中国のドラマや小説で有名なものをあまり聞いたことがありませんが、そもそも存在していないようです。

それは、漢民族の中華人民共和国は1947年に建国され、それ以前はモンゴル人の元、漢民族の明、満州人の清と、民俗に継続性がないため、文学などの文化が成熟していなかったからではないでしょうか。

中国では、人民のトップ1%のみが裕福で、多くの人民は貧困にあえいでいます。女性は間引かれることが多く、その中でも美女だけが都市部に出て、春を鬻ぐことができるそうです。

そういった環境で育てば、愛情よりもお金を重視するのが当然とも言えます。中国女性と付き合うには利益を愛よりもビジネスを語り、利益を与え続ける必要があるようです。



2014年5月11日日曜日

343.「「日本の朝鮮統治」を検証する1910-1945」 ジョージ アキタ、ブランドン パーマー

客観的観点から、日本の朝鮮統治が欧米の植民地統治と比較してどうであったか検証しています。

日本が非難されている内容は、
「朝鮮人は、史上最も残虐だったとして知られる日本の植民地支配の下で生きていた。」というものです。

ここで疑問となるのは、「日本は史上最も残虐だったのか?」ということです。

日本は、確かに、強制労働、経済的搾取、反抗的な分子が存在する村を焼き打ちしました。それは、あらゆる敵対行為の兆しを速やかに封じ込めなければ、泥沼の内乱に突入してしまうからです。

その一方で、日本は朝鮮の社会インフラ整備に力を入れました。一例を挙げれば、李氏朝鮮当時には500人程度だった公立学校の生徒数は、1910年には、22,000人、1937年には9,010,000人と45倍に急増しました。

これは、日本統治のための戦略と非難する向きもありますが、文盲から逃れた朝鮮人が数多くいたことは事実です。経済的搾取だけが目的であれば文盲に置いておいた方が日本にとっては都合が良かったと思いますが、朝鮮の発展が日本の発展にもつながると、当時の日本政府は考えたのではないでしょうか。

社会的インフラを整備したのだからといって植民地化を正当化する理由にはなりません。しかし、ここまで自国の資本を持ち出し、社会インフラを整備した民俗が、本当に「史上最も残虐だった」と言えるのでしょうか・・・。

2014年5月10日土曜日

342.「読む年表 中国の歴史」 岡田 英弘

中国の歴史について、初めてまとまった本を読んだので大変勉強になりました。

中国5,000年といいますが、実際には、日本と異なり、一つの民俗が続いていないので、正しいと言えないそうです。

中華人民共和国67年と言うのが正しいと思います。

明の皇祖、朱元璋が白蓮教信者で紅巾軍に属していた盗賊団の首領だったということに驚きました。

朝鮮にしても、1393年に李成桂が朱元璋から「朝鮮」という国号を授けられ、モンゴル帝国から独立しました。

とにかく、知らないことばかりで驚きの連続です。



2014年5月9日金曜日

341.「なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術」佐藤 留美

一生懸命勉強して、資格を取得しても時代の変遷で、その資格が不要となってしまえば、努力も水の泡。

一時期流行ったUSCPAは、会計基準の統一により不要となり、それを持ち込んみ一世を風靡したANJOインターナショナルは、2006年に倒産しました。

MBAも取得者が増加したためにコモディティ化し、社内ではウンチクを振り回す困った人になってしまいました。

特に面白かった記述は、リクルート出身者についてです。
著者は、リクルート出身者が世間で言われるほど活躍してるか疑問と言っています。
起業後に実によく独立や企業を促すようなビジネス書を書き、自分の今のビジネスがいかに成功しているか、派手に宣伝しますが、社長の大半が町コンで、社員数100人以上の企業の社長になった人は数えるほどしかいません。
「人材輩出会社」というより「人材排出会社」なのかもしれませんと、手厳しいです。

「専門職として勝負したければ、専門家の中のさらなる専門分野を決め、その分野に集中したい。例えば、弁護士なら著作権法に強い弁護士、PL法に強い弁護士といった具合だ。」といった提案は、納得出来ました。

2014年5月8日木曜日

340.「ウルフ・オブ・ウォールストリート 上」 ジョーダン・ベルフォート

映画の原作です。
100ページ位まで面白くありません。
我慢してそこを超えると、多少良くなります。

金融の世界では、やり方をおば得てしまえば本当に巨額のお金を作れるもののように思えました。

また、紳士然として人達の本性は酷いものでした。

2014年5月7日水曜日

339.「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか」 石平


近視眼的な評論文かと思いましたが、日本の古代の歴史からひも解き、冷静に論評しています。

著者は、中国四川省に生まれ、日本に帰化した中国系日本人です。日本に生まれ育った私より、余程、日本に対する愛国心が強いです。

聖徳太子が随の皇帝に国書を送り中国の冊封体制から逃れた後、中国の律令制を模倣したものの、墾田永年私財法により、封建国家への道を進み、中国とは全く異なる文明国家へと変貌した。

そして、遣唐使廃止後、独自に発展の道を歩んだ日本ですが、大東亜共栄圏構想により中国に接近してから紛争が起こります。

大東亜戦争後、中国との関係を断って急成長を遂げた日本ですが、田中内閣の早急な日中国交正常化により、現在に至る尖閣問題の種を蒔いてしまいました。

中曽根内閣の靖国公式参拝中止で中国側に歴史問題という交渉カードを渡してしまい、宮沢内閣の天皇訪中によって天安門事件の責任をうやむやにしてしまいました。

こうした史実から見ると、中国と関わるとトラブルが起きる可能性は非常に高いと言わざるを得ません。

世界の工場、巨大な市場という魅力ゆえに中国を捨てきれ中qったのですが、それは、幻想のようです。
もはや、唯一の魅力であった低賃金の労働力も周辺国より高くなり、GDP世界第2位といっても、一般人の購買力は低い。チャイナ・リスクを考えると、あまりメリットがないように思えます。

著者のいうように、インドやロシアといった周辺国と手を組んで、中国、さらには韓国とは距離をおいた方がうまくいくと感じました。

2014年5月6日火曜日

338.「お母さん、明日からぼくの会社はなくなります」 横須賀 輝尚

新卒で入社したベンチャー企業をたった1ヶ月で解雇された著者の起業術。

読み漁った成功本では成功することができなかった著者は、自分なりに成功本を分析します。


そして導き出した方法は、大きすぎる目標は立てず、クリアできる目標を達成したら新しい目標に書き換えることと、体系的に知識を習得する勉強をせず、必要にせまられた事だけを学習することでした。

追い詰められた状況から、うまく行った方法に注目してそこに集中したやりかたは、非常に実践的です。

資格については、取得するだけでは食っていけませんが、自分に自身がない人にとっては、よいキッカケになるとの考えで、非常に同意できました。

2014年5月5日月曜日

337.「Diary Of A Wimpy Kid (Book 1)」 Jeff Kinney

小学生の絵日記です。

一文が短く、難しい単語もないので読み易いです。

ただし、教科書の英語と違う、実際に使われる英語なので理解しにくいかも。

アメリカの小学生の日常生活に触れることが出来る実用書(?)です。

2014年5月4日日曜日

336.「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」 佐藤 優

自己弁護がないとは言えませんが、全体として客観的かつ俯瞰的に当時の事件を語っています。

これほどまでに詳細に、その時々の自分と相手の発言を事細かく記載することは、全てを録音していない限り不可能なので、自分の記憶と印象を元に、発言を再構築しているのでしょう。

その点では、書かれていることを全て鵜呑みにはできませんが、外務省内の権力抗争や田中真紀子さんの行動や発言の無軌道さをうかがい知ることができます。

著者が影で糸を引いていたのではないにしても、一政治家である鈴木宗男さんと、外務省の職員である著者の緊密具合は異常に映りました。

2014年5月3日土曜日

336.「人間コク宝サブカル伝」 吉田 豪

様々に人達の人生模様を垣間見ました。

特に興味深かったのは、進撃の巨人の著者、諫山創さんのインタビューです。
とてもネガティブな性格が面白かったです。

また、巻末のあと書きの水道橋博士のコメントも面白かったです。

「キラ☆キラ」というラジオ番組で、小島慶子さんと仲良くパーソナリティを務めていたように思えましたが、実は、小島さんの扱いに大変苦労していたことを漏らしています。

2014年5月2日金曜日

335.「ボーダー―ヒートアイランド」 垣根 涼介

ヒートアイランドシリーズの第4弾。

3年前に解散した、渋谷の伝説のチーム「雅」の名を語り、「ファイトパーティー」が復活する。そこから、3年前の渋谷の抗争事件が自分達の仕業であることが発覚することを恐れたアキとカオルは、偽「雅」を潰すべく動き出す。

この本だけでも面白いですが、読み始める前に「午前3時のルースター」と「ヒートアイランド」を読んでいた方が、更に人物像が掴めて楽しめます。

「午前3時のルースター」の慎一郎も登場していますが、キャラクターが変わった気がします。「午前3時のルースター」では、「ヒートアイランド」のカオルを少しおとなしくした印象があるので、キャラがかぶらないように、変えたのかもしれないと思いました。

子供時代の無茶が放つキラメキと、それが20歳を過ぎると許されないことへの愛惜がよく描かれています。

2014年5月1日木曜日

334.「ある奴隷少女に起こった出来事」 ハリエット・アン・ジェイコブズ

主人公のハリエットは15歳になると、主人の父である50歳の医師から性交渉を執拗に求められる。応じれば夫人からの激しいイジメを受け、生まれる子供は腹違いの子供の奴隷となった挙句、売り飛ばされる。そこでハリエットが取った行動は・・・。

アメリカの奴隷制度とは、黒人奴隷の所有権を白人が有し、労働させるものと単純に考えていました。

しかし、それ以上に男性主人の女性奴隷に対する性的行為によって生まれる悲劇が非常に深いものでした。
奴隷本人が好きな相手と家庭を持つ夢を奪い、主人の夫人の狂わしいほどの嫉妬を生み、生まれた子供は父の愛情を知らずに、異母兄弟の奴隷として扱われることになります。
そして、主人自身も欲望がエスカレートし、最後には罪悪感に塗れ死んでいきます。

本書は、出版当時、内容が非常にショッキングであったため、白人が書いたフィクションとして扱われていまた。
126年後の1987年に歴史学者のイエリ教授の研究によれい、事実であることが立証されました。