2014年7月31日木曜日

424.「議論の技を学ぶ論法集」 香西 秀信

著者の他の著作が良かったので、本書を読みましたが、あまり響きませんでした。

幾つかのテーマに分けて、テーマごとに書籍からの引用を用いて解説しているのですが、解説が分かりにくかったです。

そして、解説を実生活に使うには難しいと思いました。

2014年7月30日水曜日

423.「国家のツジツマ 新たな日本への筋立て」 佐藤健志、 中野剛志

中野剛志氏の意見に関心があったのですが、本書後半では殆ど語らせてもらえず、佐藤健志氏の一方的な主張が続きます。佐藤氏は「対談」と言っていますが、中野氏の名は宣伝に使われたようです。

佐藤氏の論調は偏光しているように思え、同調できませんでした。歴史認識も誤解があるように思えました。

例えば、「婦女子が手当たり次第にレイプされるとかいう状態だったら、アメリカと心情的に一体化しようとしても無理です。」といっていますが、
「規律正しかったように思える米軍ですが、日本進駐後、最初の10日間、神奈川県だけで、1,300件の強姦事件を起こしています(すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」)。

保守=現状維持派、左翼=積極的改革派という説明は腑に落ちました。

2014年7月29日火曜日

422.「林原家 同族経営への警鐘」 林原健

昨日の421.「破綻──バイオ企業・林原の真実」 林原 靖に続いて本日は、破綻した同族企業林原を経営していた兄弟のうち、兄の健氏の実録です。

これは、「破綻」とはかなりことなった内容が書かれています。
林原の経営の実情は、研究開発のみ健氏が担当しており、その他の営業、人事、総務といった経営全般は靖氏に一任していたとのことです。
そして、3か月に1度の開催が義務付けられていた取締役会も実施には開かれず、議事録は捏造され、社長印が勝手に押されていたというのです。

監査法人は置かず、監査役3人は、母親、長男、いとこで母は2001年に脳血栓を患ってから出勤実績がなく、長男も体調を崩してから出社していません。それにも関わらず、報酬が支払われていました。

健氏は美術品、靖氏は株と不動産に会社のお金を流用し、健氏用の子会社と靖氏用の子会社を作って本体の収益を還流していました。

本書の内容は、ほとんど言い訳に終始し、破綻の責任を靖氏に負わせています。実際に破綻に関与したのは靖氏ですが、巨額の研究開発費を要求し、経理内容は全くチェックしなかった健氏に一番の責任があると感じました。

それとともに、林原を礼賛した書籍を記した牧野昇氏をはじめ、成功体験を描いたビジネス書はやはりあてにならないと実感しました。

2014年7月28日月曜日

421.「破綻──バイオ企業・林原の真実」 林原 靖


2014年4月8日のブログで
308.「創造のちから―「不思議な企業」林原の発想」 牧野 昇
について記載しました。
これは、インターフェロンなどユニークな製品で知られた林原の成功の秘訣を記したものです。

しかし、林原は、2011年に会社更生法の適用を受けています。

本書は、同族企業林原を経営していた兄弟のうち、弟の靖氏の破綻に至った内実を描いた実録です。本人によれば、自分は専務という立場から社長の補佐に徹していたとのことです。

本書によれば、事業は有望で経営は堅調であったそうです。
問題は、1,300億円の巨額の借入金でした。
破綻の原因は、殆どすべて銀行と弁護士のせいにしており、特に住友信託銀行が一番責任があるように読めました。

上記の書籍では、工場を持たないファブレス企業であったことが成功の秘訣のように書かれていますが、経営を担当する立場から言えば、本当を製造部門を持ちたかったようです。製造を持っていればそこから研究開発に投資する利益を上げることができるからです。

破綻後に弁済率は93%であり、全く破綻する必要はなかったようです。
では、なぜ破綻したのか。
それは、粉飾決算による2重帳簿など、不透明な経理内容に銀行が不信感をもったからではないでしょうか。



2014年7月27日日曜日

420.「植物図鑑」有川 浩

さやかは、ある夜の帰宅途中で行倒れている男性、イツキを拾います。
イツキと暫くの間同居することになります。イツキは料理、洗濯といった家事に長けており、野に咲く花にやけに詳しいです。
しかし、イツキは、自分の事をあまり語らず、何か隠し事があるようですが、さやかはイツキに惹かれていってしまいます。

山菜といった変わったテーマをバックに、2人の関係が温かく描かれていきます。ほのぼのとしていて、出てくる料理も美味しそうですが、200ページ位まであまり刺激がありません。

後半から物語が動き出し、地味だけれど温かいエンディングを迎えます。

2014年7月26日土曜日

419.「ひきこもりはなぜ「治る」のか?: 精神分析的アプローチ 」 斎藤 環

「ひきこもり」について、4人の理論から解説しています。

著者の他の著書では、実際の治療現場から得たノウハウを紹介していますが、本書はその部分は少なく、ノウハウのバックボーンとなる理論から、「なぜ治るのか?」を説明しています。

ひきこもる仕組みとその理論的回復法を知るのに適しています。

2014年7月25日金曜日

418.「移民亡国論: 日本人のための日本国が消える! 」 三橋 貴明

日本の人口減少を補うために年間20万人の移民を受け入れるということが議論されていますが、外国人を増やして人口を維持することに何の意味があるのでしょうか。

日本を「場所」と捉えれば需要減少を防ぐという意味はあるかも知れませんが、「日本人の集団」と捉えれば減った減った需要に対処すればよいので、人数合わせは無意味です。

高度人材と言いますが、日本語を流暢に話せない移民を高度人材と呼ぶのでしょうか。

また、日本人が嫌がる仕事や家政婦の仕事は、形を変えた奴隷制度です。
これまで奴隷制度を持たず、働くことは尊いと考える日本人にとってそぐわないと思います。

将来懸念される人口減少による人手不足は、まず、働けない日本人で賄うべきと思います。まずは、賃金を引き上げ、日本人に仕事を与える。そうすれば、結婚を諦めていた人達が結婚、出産し人口減少に歯止めがかかるのではないでしょうか。

さらに、親の収入が安定すれば子供の就学が可能となり、就職しやすくなるため、社会が活性化すると思いました。

2014年7月24日木曜日

417.「嘘だらけの日米近現代史」 倉山 満

「ペリーが来た当時のアメリカは、まだ世界の小国だった」
「大東亜戦争の敗者は日本とアメリカ、勝者はソ連」
「クリントンが現在の紛争問題の火種を撒いた」
といった、通説と異なることが書かれています。

通説と異なっているため、にわかに信じられないのですが、証拠文献などもあり、納得できる内容です。

こういった観点からも近代史を学んでいきたいと思いました。

2014年7月23日水曜日

416.「夜行観覧車」湊 かなえ

金銭的に恵まれている高橋淳子は、息子慎司の進学で悩んでいます。

向かいに住む、収入と不釣り合いな家を持った遠藤真弓は、娘彩花の家庭内暴力に苦しんでいます。

ふとした事で高橋家で殺人事件が起こりますが、遠藤家で殺人が起きても不思議はありませんでした。

2人とも高級住宅街「ひばりヶ丘」に住むことで、心が闇に捉えられてしまいます。

しかし、高い位置から見れば、坂の上の高級住宅街も坂の下の普通の住宅街も、全てが一つの美しい風景になります。

タイトルはそのことを暗示しているように思えました。


2014年7月22日火曜日

415.「雨のなまえ」 窪 美澄

不倫、セックスレス、中年主婦の性欲、認知症、ストーカー、いじめ、自殺、PST、離婚、シングルマザーといった今日的な問題を「雨」になぞらえた5つの短編で描いています。

どの問題も深くて暗いです。正直、理解できない心情もあります。そして、ハッピーエンドで終わらず、何ら解決もしません。

何ら解決しないなかを、暗い思いに捕らわれながら生き続けていくのが人の一生かもしれません。



2014年7月21日月曜日

414.「働くことがイヤな人のための本」 中島 義道

著者はひきこもりで、12年間大学と大学院で哲学を専攻し、37歳で定職につきました。

薄くて読み易い本なのですが、なかなか読み進められませんでした。読みながら考え、さらには、本を置いて考えてしまったからです。

読んでいるときは納得できても、なかなか頭に残っていません。自分の頭に同調する回路がないようです。

深い内容ゆえ、何度か読み返し、考えることで浸透していくように思います。

2014年7月20日日曜日

413.「「ひきこもり」救出マニュアル〈理論編〉」斎藤 環

日本では、110万人いると推測されるひきこもり。

親と同居する子供が多い、日本、韓国、イタリア、スペインで見られる現象だそうです。

"Hikikomori"は、オックスフォード英語辞典にも掲載され、日本発の社会現象として定着しているという、あまり自慢できない状態です。

アメリカやイギリスでは、ひきこもりはあまり見られませんが、これは、若年ホームレスとなっているからだそうです。

本書は、ひきこもりについて平易に説明されており、その症状や対処法が書かれています。

より具体的な対処方は、「実践編」に書かれているそうです。

2014年7月19日土曜日

412.「ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか」斎藤 環、 畠中 雅子

前半の齋藤氏のパートは、ひきこもりの実態に則したアドバイスが簡潔にまとめられており、非常に読みやすく勉強になりました。

一方、後半の畠中氏のパートは、フィナンシャル・プランナーのような観点から書かれており、親の経済状況の観点から書かれており、びきこもりの実態に則していません。

こちらのパートは、正直、得る部分が少なかったです。

2014年7月18日金曜日

411.「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」 坪田信貴

表紙の写真がかわいいですね。
「この娘が偏差値30から慶應へ現役合格したのか」と思うでしょう。普通。

しかし、この娘はモデルの石川 恋さんで、主人公のさやかちゃんではありません。本書とは全く無関係の写真です。

この写真で本を手にとった人も多いと思いますので、上手いと言えば上手いが、ズルいと思いました。

内容は、さやかちゃんがいかに勉強ができなかったか、勉強にそぐわない家族関係、そのなかで、著者である塾の先生だけがさやかちゃんの理解者であったことが書かれています。そのやり取りと合格までのストーリーは面白いです。

学習法については、本人のモチベーションを上げていく心理学による指導法が書かれています。科目の具体的学習法にも多少触れられており、参考になりました。


2014年7月17日木曜日

410.「間違いだらけの憲法改正論議」倉山満

殆ど真剣に読んだことがない日本国憲法ですが、本書はとても分かりやすく、勉強になりました。

平和憲法とも称される日本国憲法ですが、そもそもは「マッカーサーノート」というダグラス・マッカーサーの走り書きを元に、GHQが起草したものです。

それは、日本を永久に平和であらしめるという高尚な理念で作られたものではなく、単に、永久に白人社会に刃向かえないように、自衛のためにすら戦争と軍隊を放棄させるものでした。

戦争と軍隊の放棄は、主権国家として歪なものです。その証左として米国を始めとした世界のどこの国でも採用されていません。作ったマッカーサー自身がその失敗に気付き、朝鮮戦争が始まると、「9条は解釈でなんとかしろ」と命じ、再軍備させました。

また、24条は、当時23歳の単なる通訳だったペアテ・シロタ・ゴードンが起案した感情的な作文です。

改憲論が盛んに言われていますが、自民党改憲論もでたらめで、これを採用すると日本国憲法よりも悪くなるように感じました。改憲には、帝国憲法を策定したときのように、高い見識を持った人材が必要と思いました。

2014年7月16日水曜日

409.「私の男」 桜庭 一樹

養父淳悟と禁断の関係にある花の結婚から、過去に遡り、その濃密な関係に至る経緯と、それに纏わる2つの殺人が描かれていきます。

現在から過去に話が遡っていきますが、これが読みてに複雑な感情を与えます。後の事件を知った上で過去のやり取りを読むからです。

2人が暮らした北海道の紋別の淀んでいるが濃厚な空気と、東京の華やかだが軽薄な情景が対比されます。

心情描写がとても細やかで、複雑で深いです。こういう文体は日本文学独特で、外国の小説ではあまり見られないのではないでしょうか。読み手の心にまとわりつくようです。

2014年7月15日火曜日

408.「PENGUIN READERS5: PRISONER ZENDA」 Pearson Educatio

次期国王にそっくりのラッセンディルは、戴冠式までの間、彼の身代わりになることを頼まれます。次期国王は病を得ている上に、反対勢力から命を狙われていました。

身代わりとなることで、命の危険にさらされることになったラッセンディルの命運は・・・。

そして、ラッセンディルに想いを寄せていくフラビア姫との恋の行方も最後まで気になりました。

2014年7月14日月曜日

407.「日本人て、なんですか?」 竹田恒泰、 呉善花

日本の貿易赤字国は、イタリア、フランス、スイスで、買っているものはカバンなどの軽工業製品です。

しかし、日本には、「甲州印伝」といった外国製品より高機能で安い製品が沢山あります。

にもかかわらず、この分野がイタリア、フランスの独占状態にあるのは、これらの国の製品のイメージ価値が高いからです。

この分野で、日本製品のブランド価値を高める仕事をしていきたいと思いました。

2014年7月13日日曜日

406.「ハンドブック 集団的自衛権 (岩波ブックレット)」 浦田 一郎、前田 哲男、 半田 滋

非常に騒がれているけど、実はよくわかっていない「集団的自衛権」を少し勉強してみました。

「自衛権」は、1945年6月に調印された国際連合憲章において定められました。

国連憲章は、原則として、武力行使を禁止しています(2条4項)。
違法な武力行使に対して、国連が集団で対処します(1条1項)。
この集団安全保障には、以下の2つがあります。
(1) 非軍事的措置(41条)
(2) 軍事的措置(42条)=国連軍

そして、例外が「自衛権」(51条)です。
「自衛権」は、国際法上の権利であり、採択は各国の自由です。
自衛権には、「個別的自衛権」と 「集団的自衛権」があります。

(1) 「個別的自衛権」は、「外国からの違法な侵害に対し、自国を防衛するため、緊急の必要がある場合、それを反撃するために武力を行使する権利」です。

(2) 「集団的自衛権」は、「他国が「武力攻撃」を受け、自国が受けていないときに、武力行使する権利」です。

「集団的自衛権」が、問題となるのが「集団的自衛権」によって、軍事行使が正当化されることです。以下がその例です。
> ベトナム戦争におけるアメリカの武力行使
> アフガニスタンに対するソ連の侵攻
> ニカラグア内戦
> 湾岸戦争における多国籍軍の武力行使
> 9.11後のアフガニスタンに対するNATO諸国の武力行使

「集団的自衛権」については、さらなる学習及び議論が必要と思いました。






2014年7月12日土曜日

405.「芦原英幸正伝」 小島 一志、 小島 大志

50歳で早世した天才空手家、芦原英幸先生の生涯を描いています。

文体が特殊で、へりくだっているようで実は尊大な印象を受けますが、読み易いことは確かです。

極真会館の大山倍達先生の芦原先生に対する嫉妬と、それに因をなす、除名処分、拳銃暗殺未遂、正道会館による裏切りなど、どこまでが事実かわかりませんが、興味深く読みました。

そして、芦原会館自体の分裂などを見ると、どんなに強固な団体であっても、偉大な創始者がなくなると、利権闘争が起こるのが避けられないのだと思いました。

2014年7月11日金曜日

404.「キケン 」 有川 浩

主人公の元山が大学時代のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」の想い出を回想する話です。

大学時代の想い出ゆえ、著者の他の作品に比べるとスケールが小さいです。正直、2話目までは、つまらなくはないが、他作品に見劣りするという感想でした。

しかし、最後まで読み終えると、これはこれで結構面白かったと思いました。

元山が卒業後、ずっと大学を訪れなかったのが、楽しかったサークルが、今は自分達のものではないことを認めたくないためという理由も理解できました。

こうした思いを持つ人は、結構多いのではないでしょうか。

2014年7月10日木曜日

403.「シアター!〈2〉」有川 浩

二巻も面白かったです。

一巻は、債権者であり制作を担当した司を中心に話が展開しましたが、二巻は、劇団員達が自立し始め、牧子、ゆかり、スズといったサブキャラ達が話を引っ張りました。

全二巻かと思っていましたが、まだ続くようです。借金返済期限に向けて、一層の盛り上がりに期待できます。

文庫本で読みましたが、登場人物のイラストがあり、読んでいたとてもイメージしやすかったです。

2014年7月9日水曜日

402.「片想い」東野 圭吾

614ページという長編ながら飽きることなく、最後まで先を気にしながら読み終えました。

10年ぶりに再開したアメフト部の女子マネージャー美月は、男の身なりをしていました。彼女から殺人を告白された哲朗は、彼女を守るために奔走します。

始めは、単なる殺人事件と思われていた事件は、想像もしなかった方向へ転がっていきます。

他愛もない想い出話や会話が後にストーリーの重要な伏線となっています。

その中で、性同一性障害、半陰陽といった出版当時は殆ど知られていなかったタブーがメビウスの環になぞらえて問題提起されます。

2014年7月8日火曜日

401.「出稼げば大富豪 運命が変わる編 (調子ぶっこきシリーズ) 」クロイワ ショウ

前3巻の焼き直しで、あまり新しい内容はありません。

兄貴の教えを法則としてまとめていますが、直接教わった著者自身が習慣化できていないことからわかるように、読者は実行できないでしょう。

兄貴本人が実体験の中で、死にそうになりながらも体得したものだから、本人にしか継続できないと思います。

本書には実際に成功した人の話も書かれていますが、それはこの本を読んで法則を実行したからでなく、兄貴に会って兄貴がその人達に直接行動させていたからのようです。

良いことが書かれていますが、意外な真実だけに、常識的な人が継続していくにはかなり抵抗があるものと思います。

2014年7月7日月曜日

400.「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」ヘンリー・S・ストークス

南京事件捏造の起こりは、イギリスの日刊紙「マンチェスター・ガーディアン」中国特派員のH・J・ティンパーリーが「What war means」と題する本を著して、南京の出来事を造り上げ、ニューヨークとロンドンで出版したことです。

今では、その内容に、国民党中央宣伝部という中国国民党の情報機関がその内容に深く関与していたことが明らかになっています。

しかし、国際委員会の報告によれば、南京に残った人口は、南京戦の時点で20万人であり、陥落後の翌月には、25万人に膨れ上がりました。南京事件が事実ならば、その翌月に5万人も人口が増えるでしょうか。

また、1955年7月に衆議院本会議で426名の国会議員が赦免決議を可決しました。この国会決議により、日本から「戦犯」がいなくなりました。

それにも関わらず、靖国神社に「A級戦犯が祀られているのは許せない。」というのは、国会決議の否定であり、自虐史観であると思いました。

2014年7月6日日曜日

399.「真実の中国史【1840-1949】」 宮脇淳子、 岡田英弘

中国近現代史は、毛沢東が創ったうその歴史という主張に驚きました。

そもそも中国という国家はなく、現在、中国と呼ばれる場での多民族の盛衰を中国の歴史としています。

国民党と共産党は、それぞれの思想があって立ち上がった政党と思っていましたが、実は、、思想的相違はなく、両党ともコミンテルンにあやつられた集団でした。

コミンテルンは、レーニンが、共産主義者の外国人を集めて作った、世界同時革命を目指した団体です。

この存在を私は殆ど知りませんでした。

コミンテルンは、大東亜戦争の前後に日本、中国、そして世界に大きな影響を及ぼしたことを知り、勉強になりました。

2014年7月5日土曜日

398.「アメリカのめっちゃスゴい女性たち」 町山 智浩

アメリカで活躍している55人の女性が紹介されています。
その殆どの人は、日本では知られていません。

幼少時代に貧困で、性的暴行を受けて、まともな教育を受けていない人が多いことに驚きました。

しかし、そのような環境で育っても、本人の能力があれば援助を受けられて、その環境から抜け出し、大成功を収めることができるアメリカの仕組みも日本にはないものと思いました。

一方、ここでは成功者のみが取り上げられているので、その他多数の貧困な環境から抜け出せない人達がいて、アメリカが格差社会であることを忘れて手放しで関心してはいけないとも思いました。

2014年7月4日金曜日

397.「レトリックと詭弁 禁断の議論術講座」 香西 秀信

レトリックの様々なパターンを小説や評論を例に引いて解説しています。

そのため、やり口が具体的で非常に分かりやすいです。

その一方で、読んだ人が実際に使えるかというと、そう簡単ではないと感じました。

例示された小説等は作家が深慮、推敲してできたのもであり、日常で即答されたものではないからです。

色々な手口に触れ、そういったレトリックが使われた際に、気づきやすくなるという点で有効な本だと思いました。

2014年7月3日木曜日

396.「少年弁護士セオの事件簿 (4) 正義の黒幕」 ジョン グリシャム

セオの事件簿シリーズの第4作目です。

これまでの3作と毛色が異なり、なかなか事件が起こりません。

前半は、先生のレイオフ、市の経費削減、バイパス建設、ボーイスカウトのキャンプとアメリカの今日的実情が描かれますが、正直、退屈です。

このシリーズもいよいよ力尽きたかという思いでした。

ところが、中盤の愛犬ジャッジへの暴行事件から話が急展開します。汚職、地上げ、市民運動と話が広がっていき、今回もファイスブックやユーチューブが上手く使われて大きなうねりが生じます。

読み終わってみれば、本作も前3作と同レベルの楽しく、スリリングな作品でした。

2014年7月2日水曜日

395.「多読術」 松岡 正剛

松岡正剛さんという人にひどく理屈っぽい知の巨人というイメージを持っていました。

しかし、本書を読んだ限りでは、物事を分かり易く説明し読者に対する優しさを持っているという感じを受けました。


「本は二度読む」という読み方に納得しました。
一度読んだだけでは忘れてしまうという理由と、再読した時に一度目と感じ方が違うという理由からです。

私は「一度読んだだけでは忘れてしまう」ということを少し恥じていましたが、これを読んで安心しました。

また、読書の頂点は、「全集読書」だそうです。個人全集では、一人の著者がたくさんの様々な投球と球種を見せてくれるので、どんな本を読むより、構造的な読書ができるそうです。

「全集読書」をやってみたいと思いました。

2014年7月1日火曜日

映画「ハロー!? ゴースト」

サンマンは、身寄りもなく、勤めていた会社もクビになります。

人生に幻滅した彼は、自殺を繰り返しますが、なぜかいつも未遂に終わります。

川に飛び込んで自殺を図った後、病院で目を覚ました彼は、病室で見知らぬ男を目にするが、周りの人には見えません。

そして、泣くおばさん、エロ爺、クソガキと次々と幽霊に取り憑かれます。

相談に行った霊媒師は、幽霊たちの希望を叶えれば満足して成仏すると言うのですが・・・。

中盤まで荒唐無稽で、出来事も支離滅裂なため、安い脚本だなと思っていました。

しかし、巻き寿司の具の「セリ」をキッカケに話が急転換して、それまでの支離滅裂なエピソードが一つの結末に収束していきます。

会場では、すすり泣く声が聞かれ、私自身も危うく涙をこぼすところでした。

394.「シアター! 」有川 浩

赤字が続く小劇団が負債を返済するため、債権者である劇団主宰の兄のもと、立てなおしを図るというストーリーです。

普段触れることがない劇団の裏側を覗けて興味深いです。また、劇団という設定に目を付けた著者の観点に感心させられました。

劇団に集う人間達の心情や生い立ちも描かれていて、面白かったです。