2015年11月30日月曜日

777.「キャロリング」 有川 浩

倒産が決まった子供服メーカの最後の数日間に起きたスリリングな物語。

なんだか、文体がこれまでと違うような気がしました。現実的な描写を少し薄くしたような印象です。

登場人物の大和、航平、赤木のそれぞれが両親の夫婦関係によって傷ついて育っています。
母親を守るために強くなろうとしたが逆に母親から恨まれることになった大和。
両親の両方が好きなのに離婚により家庭が引き裂かれてしまう航平。
父親の借金返済に巻き込まれ、将来の夢も持てずに借金取りになってしまった赤木。

夫婦関係とお金の問題でトラブルに巻き込まれた3人。それぞれが望むような結末に至りませんでしたが、みなにクリスマスが訪れ、心の平穏を得ることはできたのではないでしょうか。



2015年11月29日日曜日

776.「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな」 三橋貴明

「日本の農業、農家は世界で最も保護されている。」
「全農が独占的に農家や農協に高く農薬や肥料を売りつけている。」
「全中は、政治運動で司令塔の役割を果たしている。」

私もこのように信じていましたが、これらは全て嘘だそうです。

日本の農家の所得に占める「直接財政支出(税金からの支出)の割合は、主要国中最低で、アメリカが採用している輸出補助金制度もありません。

農家は全農から農薬を買い付けなければならない義務もありません。

全中は農協が支払う「賦課金」で成り立ち、支配するどころかお客様です。

農協は農家にとって利益を無、引いては日本国民の食の安全を守り、食料を安く安定して供給する役割を担っているそうです。どこに問題があって解体されるのでしょうか。

では、誰が解体を望んでいるのか。著者は、アメリカの金融業界と穀物メジャーだと指摘します。これらのグローバル企業がアメリカ商工会議所を動かして、日本政府に圧力をかけ、規制改革会議が要求通りの内容を通しているのです。

つまり、新自由主義に基づくグローバル企業が市場として有望な日本の農業と共済を簒奪するために、策を巡らしているようです。

農業や乳業を効率化すべきといっても国土の殆どが山林で狭い日本では、広大な土地を持つアメリカやニュージーランドに敵いません。しかもこれらの国は補助金も受けています。

海外市場を狙えといっても、米や小麦といった主要農産物では決定的な価格差があり、何回か買ってもらえても常食足りえません。

農協が存在しても、日本国民として不利益を与えられていないどころか、共済などでは利益を得ているので解体する理由をないと思います。食料安全保証の観点からも農協を守っていきたいと思いました。



2015年11月28日土曜日

775.「知らないと取り返しがつかない 不動産投資で陥る55のワナ」 小林 大貴

この種の本は、年収が低いが不動産で巨額の資産を気付いた人か、投資用不動産を販売している人が書いているので、デメリットにも多少触れるものの、ほとんどがメリットについて書かれています。

本書はコンサルタントが書いているので、かなりデメリットや留意点が書かれており、不動産投資に興味ある人はかなり勉強になると思います。

オーバーローンの罠や法人融資の罠は、なかなか語られないことで特に勉強になりました。

不動産投資は楽して儲けられるものではなく、事前にしっかり勉強することや頭金をしっかり貯められる自己抑制が必要と思いました。

また、信頼できるアドバイザーが重要とも感じました。



2015年11月27日金曜日

774.「ラスト・ワルツ」 柳 広司

第2次世界大戦前に日本軍の諜報機関として作られたD機関。そのD機関の暗躍を描く「ジョーカー・ゲーム」の4作目です。

本作は3つの短編からなりますが、いつものように特定の主人公はいません。スパイゆえに毎回違う人物の名前と経歴が与えられることもその理由です。唯一共通する登場人物は、D機関を設立した「魔王」こと結城中佐のみです。

本作も二重、三重に仕組まれたトリックに予想を裏切られながらも、話の不整合さを感じませんでした。

ウィットの効いたスパイ小説です。



2015年11月26日木曜日

773.「推定脅威」未須本 有生

2014年の第21回松本清張賞受賞作です。国産戦闘機の墜落の謎に迫るミステリー小説。

領空侵犯した航空機を追っていた国産戦闘機TF-Xが低速飛行中に突如墜落します。パイロットはベテランで天候も問題がありませんでした。

半年後に領空侵犯した航空機を追ったいたTF-Xが、今度は燃料切れで墜落します。燃料がまだ残っていると表示されていたにもかかわらず。

この2つの事故に疑問を抱いた、TF-X製造会社の社員である定本は、自己原因の調査に乗り出します。そして、自己の裏には国産戦闘機受注にまつわる秘められた争いがありました。

登場人物の発言や行動に不自然な点が多いものの、自衛隊の戦闘機開発にまつわる様々なエピソードが織り交ぜられ、勉強になりながら楽しめました。



2015年11月25日水曜日

772.「ふせん1枚から始める『事業計画』 ~たった1日でできる“戦略シート"のつくり方~」 日野眞明

著者が考えた、事業計画書を1日で作成するプログラムを解説した本です。

ふせん1枚から始められますが、実際には大量のふせんを使用します。
「午前の部」でふせんを使った「Moreメソッド」で現状を把握し、「午後の部」でマーケティングを学びます。プログラムにそって進めれば、専門知識を使わなくても、やさしく事業計画を作成できるように作られています。

とても簡単に読めて、やってみたくなる内容です。ただ、自分一人で一日中やるには、強い意志力が必要かも。

効果はあると思いますので、社内で有志が集まってやってみるといいかもしれません。



2015年11月24日火曜日

771.「何があっても、だから良かった 人間を磨き、格を高める経営」青木 擴憲

紳士服量販店、AOKIの創業者である青木 擴憲さんの半生録です。

著者の講演会に参加したところ、この本とDVD「親子で学ぶ人間の基本」全12巻と、健康食品をいただきました。無料の講演会に参加してこれほどのプレゼントをいただいたのは初めてです。気前の良さに感動しました。

本の内容は1958年に長野で背広の行商を始めてから今日に至るまでの様々な気付きや学びについて書かれています。

座禅で自己を振り返り、古典から学ぶことを重視し、般若心経や中国古典から学習する一方で、様々なセミナーに参加していらっしゃいます。70歳を過ぎた現在でも続けていらっしゃり、謙虚に学ぶという姿勢が一貫しています。

ごく普通の行商人が一部上場企業の経営者に成長していく姿が余すところなく、描かれています。



2015年11月23日月曜日

770.「沖縄の米軍基地 ─「県外移設」を考える」高橋 哲哉

著者の考えは非常に偏向していると感じました。

引用されている資料は殆どが沖縄タイムスと琉球新報といった左派新聞ばかりです。

既にあるキャンプ・シュワブ内に滑走路を増設することを「新たな基地建設」とミスリードしています。

日本の米軍基地の74%が沖縄に集中しており、不公平だと主張していますが、この数字は米軍の専用基地に限定した数値です。この基地には、横田飛行場、横須賀海軍施設、厚木海軍飛行場といった自衛隊との共用基地が含まれておりません。共用基地を入れると、沖縄の基地は全体の22.6%となります。

『沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成26年3月』
(沖縄県HP)http://goo.gl/vwMSEB

(オ)米軍施設・区域の全国比
全国の米軍施設・区域:  132施設 1,027,153千㎡
本土の米軍施設・区域:  99施設  795,393千㎡
沖縄の米軍施設・区域:  33施設  231,761千㎡

全国に占める本県の比率:25.0%    22.6%


沖縄(沖縄県民)対本土(日本人)という構図を作り、日本人が沖縄県民を差別しているかのように主張しています。本当にそうなのでしょうか。

また、振興策といった経済に関する考察がなされていない点にも違和感を感じました。

中国の脅威に対抗することを、沖縄を「日本防衛」のための「捨石」として利用しているといいますが、沖縄も当然日本であり、中国が最初に狙うのは本州ではなく、沖縄自体だと思います。沖縄が侵略されることがないように防衛を考えるべきではないでしょうか。

そのときに、米軍基地を県外に移設すれば、その防衛の真空状態は自衛隊で埋める他によい方法が浮かびません。そうなれば、国防費の大幅増に繋がりますし、基地自体も減らないことになります。

最初は、沖縄の占領にともなった基地建設という悲しい歴史の産物でしたが、中国が脅威となった現状では沖縄占領を防ぐ重要な施設だと思います。フィリピンで米軍基地が撤退した後に中国が埋め立てをして南沙諸島の領有権を主張しているという事実がこの脅威の証明です。


2015年11月22日日曜日

769.「会社を強くする多角化経営の実戦」 山地 章夫

著者は、札幌で50事業を経営し、年商160億円の企業グループを運営している企業家です。

中小企業は、資金も人材も限られているので一つの事業に集中することが普通と考えていましたが、著者によれば、それは儲けるということを諦めることだそうです。その理由は、中小企業は市場規模も小さく、価格決定権がなく、いきなり市場が大きくなる可能性がないので良くて現状維持、どんなに頑張っても5%伸ばすのがやっとだからです。

「選択と集中」とよく聞きますが、それは本来大企業が生産性を上げて、高収益モデルになるための戦略、あるいは経営難の状態に陥った企業が巻き返しを図るための戦略だそうです。確かに、大手企業は多角化しており、業績が厳しくなったときに、「選択と集中」と言い出して事業を整理しています。

そして、多角化をしない企業は景気の波に左右されなんとか生き延びているということが多いように思えました。単一の事業で企業を大きくさせる、もしくは大きくさせないまでも安定させていくためには多角化が有効なように思えました。

本書は多角化経営について、その意義や方法を教えてくれる教科書のような本です。中小企業の経営者は近くに置いて、繰り返し読むと効果がある本だと思いました。


2015年11月21日土曜日

768.「嗤う淑女」 中山 七里

天賦の美女、蒲生美智留によって踊らされる人々の悲劇を描いた5つの短編集です。

野々村恭子はその容姿ゆえに中学校のクラスメイトからイジメを受けていました。そこに従兄弟の美智留が転校してきます。イジメの対象は恭子から美智留に移りますが美智留の計略により解決します。

家庭で虐待を受けていた美智留に強力した恭子は、深い闇の世界に堕ちていきます。そして、弱みを持つ人々を次々に陥れ、2人はすべてを思うままにできたように思われたのですが・・・

著者らしい毒のある作品でした。最後のトリックはデビュー作の「いつまでもショパン」に似ていますが、最後まで面白く読ませる作品でした。



2015年11月20日金曜日

767.「DIVE!!(4) コンクリートドラゴン」 森 絵都

シリーズの完結編です。オリンピック代表選考会での熱闘が舞台です。
この選考会で総合得点600点を超えて優勝した者がオリンピック代表に決まるという一発勝負。

要一、飛沫、知季の3人はもとより、様々な人物にスポットが当たり、ダイビングへの思い入れが伝わります。

飛び込み競技は10回の飛び込みの総合得点で競われるため、本作では1回ごとのダイビング様子とともにランキングが変動していくというスリリングな設定です。

その中で、恋愛、親子関係、子供から青年への成長といった各人の様々な人生が語られています。

そして、いよいよオリンピック代表の決定。爽やかな結末に胸がすく思いでした。



2015年11月19日木曜日

766.「馬の首風雲録」 筒井 康隆

戦争をテーマにしたSF小説です。

馬の首暗黒星雲にビシュバリクという惑星があり、犬に似たサ・チャビ族が住んでいました。西暦2321年にコウン・ピ(地球人)と通商協定が結ばれビシュバリクに科学技術が流入して急激に発展します。そして、サ・チャビ族は惑星ブシュバリクを発見して、大規模の植民が行われました。そして、コウン・ピは、ビシュバリクとブシュバリクに武器を供与したことにより、両惑星間で同一種による戦争が始まりました。

ジョージ・オーウェルの動物農場に似た寓話です。動物農場は、人間を追い出した農場で動物たちが共産主義社会を建設しようとしますが、やがて支配者と非支配者が生まれ、結局、人間の代わりに豚に支配される皮肉を描いたものです。

本書は、人間から武器を与えられた犬同士が戦争を始めます。戦争で上手く立ちまわって一儲けしようとして「戦争婆さん」の4人の息子が戦争にされ、波乱の人生を送るという話です。

誰の心にも戦争を欲する気持ちがあり、戦争を格好よいものと思う気持ちもある。しかし戦争は容赦なく、略奪、強姦、殺戮を行い、関わる人全てを不幸にするというメッセージを感じました。



2015年11月18日水曜日

765.「日本人が知らない韓国売春婦の真実」 中村 淳彦

東京鶯谷を中心に韓国人女性専門のデリバーヘルス(韓国デリヘル)がブームだそうです。韓国人経営者が本国から女性を連れて来て、日本人をターゲットにし、ホテルへ出張して売春する業態です。


真偽の程は分かりませんが、韓国人の売春婦は日本に5万人いて、その半分が鶯谷にいるとも言われています。

女性は寮に住まわされ、24時間体制で呼び出しがかかります。1日3~5人の客がつき、売上の6割が収入だそうです。女性は100万円~200万円位の借金があり、その返済のため売春しています。借金の内訳は、学費、生活費、整形費です。

韓国では国民の過半数が普通に暮らせず、大学生は就職できず、就職してもリストラされてしまうそうです。大学生の正社員就職率は49%で、それ以外は非正規労働や時給のアルバイト。安心して暮らすためには公務員になるか大企業に就職するかですが非常に狭き門です。そして、大企業に就職しても、30代、40代前半でリストラされてしまいます。

大学の学費が年間90万円かかりますが、アルバイトの時給が380円位なので頑張っても月に5万円位しか稼げません。そのため性風俗のアルバイトに入っていくそうです。そして、なんとか大学を創業して中小企業に就職しても、月12~15万円位にしかなりません。そのため、月40~70万円稼げる風俗に戻ってしまうことが多いそうです。

現在、日本の韓国デリヘルで働いているのは、実は韓国人ではなく、中国朝鮮人だそうです。中国人だとイメージが悪いため、韓国人になりすましているそうです。

いずれにしても、国の経済状況が破綻するとこういう悲惨な状況となってしまうことが恐ろしくも悲しい現実です。


2015年11月17日火曜日

764.「「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業」 青木 毅

3つの言葉とは、「たとえば?」、「なぜ?」、「ということは?」です。
これらを質問に取り入れることで、質問内容を深めていきます。

この3つの言葉で売上が伸びることもあるでしょうが、これだけでは大きな売上増は期待できません。

タイトルでは、「だけ」と言っていますが、実は3つの質問は本書の一部にしか過ぎません。

営業の大きな流れは、
「好意ー質問ー共感」から
「現状ー欲求ー解決策ー欲求ー提案」であり、
この一部で3つの質問、掘り下げ法、オウム返し法を使って、スムーズに進行させます。

そして、この営業の流れを仕組みとするために、「ロールプレイング」「シミュレーション」「振り返り」を行います。

これら全てが解説されているので、本書をマスターすれば、セールスの能力が向上するものと思われます。

ただし、セールスを内包するマーケティングと、それと両輪をなすビジネスモデルが確立していることが前提となります。


2015年11月16日月曜日

763.「ストーリー思考で奇跡が起きる~1%の成功者だけが知っている「人生の脚本」の作り方」 小山 竜央

1時間かからずサクッと読めてしまいました。気軽に読める、少し気分が高揚する自己啓発本です。

目標でなく、テーマ(目的)を追えと主張されていますが、両者の区別が曖昧で文中でも混同されています。目的達成のために目標を設定すればよいだけのことと思いました。また、この本にいう「成功」とは、お金を儲けることのように読めました。

著者はTodoリストに対して「イベント」という概念を提示していますが、これも殆ど違いがないように思えます。
「スクワットを100回行う」がTodoリストで、「ジムに通ってトレーナーをつける」がイベントだそうです。Todoは自分一人でやることでイベントが他人の力を借りることの差だけです。単にイベントなるものをTodoリストに書けばよいだけと思いました。

特に変わったことは書かれていません。書いてあることを実行すれば、奇跡まで起こるか分かりませんが、ある程度の効果はありそうです。



2015年11月15日日曜日

762.「お役所仕事の大東亜戦争」 倉山 満

1906年の第一次西園寺内閣から1945年までの鈴木内閣までの歴代内閣の内情と、戦争に突入していった経緯が詳細に描かれています。

非常に多くの文献を検証しながら、それを分かりやすいように軽妙なタッチで表現しています。

読み終わっても、タイトルの「お役所仕事」という指摘があまりピント来ませんでした。よく言われている「軍部」という統一の意思により戦争に巻き込まれたというのではなく、その時その時の人事や内閣の選択ミスで戦争せざるを得なくなってしまったという印象です。

昭和天皇の戦争責任を問う人もいますが、実際には昭和天皇にそのような権原はありませんでした。逆に、昭和天皇に戦争を決定する権原があれば、その慧眼を持ってして戦争することはなかったと思います。


2015年11月13日金曜日

761.「幸せな宝地図であなたの夢がかなう」 望月俊孝

宝地図は、大きなコルクボードに自分の夢を書き込み、イメージや写真を貼っていきます。それを部屋に飾って、毎日眺めるだけです。

自己啓発の本によく書かれている、潜在意識に働きかけて夢を実現するという方法は、頭のなかで何度もイメージしたり、文章化して鏡などに貼って何度も読み返すというものですが、なかなか続きません。

本書の方法は簡単ですが、写真などをコルクボードに張り込んであるので、確実にビジョンが思い描けます。

簡単にスマホで写真を撮ったり、パソコンで画像を加工できるようになったので、簡単に実行できるようになった夢実現の方法と言えます。


2015年11月12日木曜日

760.「中韓に食い物にされるニッポン 在日特権、偽装難民を許すな!」 坂東 忠信

タイトルは、いくつかのテーマについて語られているうちの一つです。

私は標題のテーマよりも、反日日本人の方に危機感を覚えました。反日日本人の行動により、中韓に付け込まれる隙が生まれるからです。

左派勢力が人権問題に取り組み始めたのは、元々学生運動最盛期に、共産革命のための暴力行為で警察に逮捕された仲間や、逮捕されるかもしれない自分自身のための権利解釈や早期釈放からだったそうです。

そして、現在では、暴力革命を隠すために大衆が賛同しやすく分かりやすい「反戦平和」を訴えるという手法が取られるそうです。そういう観点から見るとこれまで気づかなかったことに疑問が湧いてきます。

その証拠として挙げられていたのは、
「サヨナラ原発1000万人アクション」
「原水爆禁止日本国民会議」
「平和フォーラム」
「STOP!米軍・安保・自衛隊」
の所在地が全て「コリアン情報ウィークリー」の所在地と同じ住所(公益財団法人 総評会館)であることです。
これが何を意味するのか・・・

また別のテーマで、日本のニート人口が63万人、人工中絶が20万人というデータも挙げられています。個人個人様々な事情があるとは思いますが、これらの数値が下がるような経済対策があれば、人口減少に歯止めがかかるのではないでしょうか。

2014年の大学進学率は48.0%で、大学生の53%が奨学金ローンを背負って卒業しているそうです。こういった負荷を背負って社会に出ても、その負荷が自分を鍛えることになり、自立できていける社会にしたいと思いました。




2015年11月11日水曜日

759.「DIVE!!(3) SSスペシャル’99」 森 絵都

シリーズの3作目です。2巻でオリンピック代表として内定した要一にスポットが当てられます。

同じクラブの飛沫、知季とオリンピック代表を争っていた要一ですが、日本水泳連盟の方針変更により、代表選考会を前にして代表と内定します。

要一は内定に喜んだものの、感情と体調にバランスを崩してしまいます。日水連のメダル確保に向けた政治的駆け引きがあり、要一は寺島にメダルを取らせるための、メダル獲得が期待されない当て馬でした。

要一はこれまでに経験したことがなかった深いスランプに陥ってしまいます。一方、代表の道が閉ざされた飛沫と知季は、一途に自分の技を磨着続け、要一は刺激を受けます。スランプ克服のために要一が採った行動とは・・・

要一が選んだ道は、ひどく馬鹿げたものに見えますが、そこまでの経緯を見るとそうせざるを得なかったように思えます。

さて、次巻(4巻)が最終巻となりますが、どういった結末になるのか、とても楽しみです。


2015年11月10日火曜日

758.「戦後七〇年 国家の岐路―――論戦」 櫻井 よしこ

2014年8月から2015年7月までの1年間に著者が雑誌等で発表したコラムをまとめた一冊です。

集団的自衛権と憲法9条の関係について、日本大学教授の百地章さんの見解がとても明快で、これまで不明な点がクリアになりました。
「国際法が各国憲法の優位にあるのですから、日本国憲法にわが国には集団的自衛権がある、あるいは行使できるなど書いていなくても、権利はあり、行使できるのです。」

この「国際法が各国憲法の優位にある」という大原則を前提においていないため、思考がまとまらなかったのです。つまり、国際法を憲法と同格か、下に置いてしまうので、憲法に書かれていない集団的自衛権が行使できるかどうか、悩んでしまっていました。

しかし、国際法は憲法の上位にあると考えます(同列という考えもある)。そうすると、集団的自衛権は国際法である国連憲章51条で認められており、それゆえ、憲法に明記する必要がないのです。だから、憲法9条を使って集団的自衛権をどう読み解くか悩む必要はなく、そもそも、日本が保有している権利だそうです。

この1年間の話題の中心は、朝日新聞の捏造事件と集団的自衛権でした。


2015年11月9日月曜日

757.「沖縄の不都合な真実」 大久保 潤、 篠原 章

沖縄といえば、日本で一番米軍基地が多く、県民の殆どが基地が無くなることを望んでいるという印象がありました。しかし、本書を読んでその印象が一変しました。

沖縄では、県民が階層化されているそうです。頂点に教師、次に公務員といった富裕層がおり、その下にそれ以外の貧困層が置かれています。この富裕層は、米国によって作られた琉球大学OBによって占められており、その上下関係は普通の大学と異なって卒業後も続いています。

企業は建設業が中心で、非正規雇用者が全体の40%に上り、労働組合が育たなかったため、経営側の力が強く、労働者は不利な条件を飲まなくてはならない、という労働環境にあります。

この県民の社会構造を前提に、基地の反対運動が、教員と公務員中心に行われています。反対すれば、国が振興策を県に与え、それにより公務員が潤うからです。だから、基地闘争は無くならず、ずるずると長引きます。本当に沖縄から基地が無くなると、基地により支えられている地域産業が消滅し、振興策が無くなり、さらには反対運動の対象が無くなってしまうからです。

基地移転について、辺野古の住民全てが反対しているとも言えないようです。辺野古自体は過疎地なので、基地が来てくれたら潤うからです。そして、基地は全てキャンプ・シュワブの中に作られるので、新たに土地を収容されることはありません。現在もその地域は立ち入り禁止のため、海水客や漁民はいません。

どうやら、オール沖縄と言うのは選挙対策であり、その地域に実際に暮らしている人達の本心とも言えないようです。

本当の問題は、公務員を頂点としたピラミッド構造で、基地反対運動の振興策以外に産業が育っていないため、一般県民が貧困に留め置かれていることのようです。


2015年11月6日金曜日

756.「「正義」の嘘 戦後日本の真実はなぜ歪められたか」 櫻井よしこ、 花田紀凱

中国と韓国のプロパガンダに対して、主張もせず、議論もせず、反論もしないのが日本でした。

しかし、安倍政権になってから、この態度が変わりつつあるように思えます。そんな安倍政権を大嫌いなのが朝日新聞です。本書は朝日新聞が信じる「正義」と朝日新聞が作った「嘘」について語られています。

大東亜戦争の時に、国民を一番煽って戦争に向かわせたのは朝日新聞でした。ところが、戦後になるとGHQの圧力を避けるために一点して反日の姿勢に転じました。

朝日新聞の特徴は、自分の主張、あるいはイデオロギーを押し付けるために、都合のいい情報を引っ張ってきて報道するということだそうです。

朝日新聞の記者には、日本を貶めているという意識はなく、正義ために報道しているという意識のようです。彼らの言い分は次のようなものです。
「朝日はリベラルであり、権力と対峙し、監視しているのだ。」
この姿勢はニュースステーションで朝日新聞の論説員がコメントしているときにも感じられます。全てが現政権に対する批判で、肯定する部分は殆どありません。

過去の日本を糾弾することで、自己陶酔に陥っている記者が多く、日本を貶めることを権力と戦っていると勘違いしているそうです。自分の思想を強く主張するために、慰安婦問題における吉田清治の「私の戦争体験」や、福島第一原発事故の吉田所長の調書などで嘘を作り出してしまったのでしょうか。しかし、この嘘が海外で日本の評価を著しく傷つけることになった罪は非常に重いと思います。


2015年11月5日木曜日

755.「朴槿恵の真実 哀しき反日プリンセス」 呉善花


「韓国の妹」こと朴槿恵大統領論です。
顔が中国の習近平国家主席に顔が似ていることから、こう呼ばれているそうです。笑ってしまいました。

韓国の司法界には、事実上、「国民情緒法」といえるものがあるそうです。
「国民情緒に合致するものなら、司法はあらゆる実定法に拘束されない判断を下せるという、民主国家では考えられない超越的な法規です。もはや法治国家ではありません。

「国民情緒法」の立場から下されたとみなされる司法判断の例は、
>対馬の浮石寺から仏像が盗まれた事件
>韓国駐在日本大使館前に、「従軍慰安婦像」の設置を許可した行政判断
>新日鉄住金と三菱重工に戦時徴用に対する損害賠償を命じる判決
>「産経新聞」ソウル支局長の起訴

朴槿恵大統領は、何よりも国民情緒を軸に国家を運営しています。そこに大統領朴槿恵の「真実」があると結論づけています。

まさにその通りだと思いました。国民情緒が求めれば、憲法や国際条約も平気で破る。未だに民主国家ではなく、李氏朝鮮の時代が続いているようです。

中国がGDP世界第2位になると中国に擦り寄り安倍首相が韓国語で話しかけても無視していましたが、経済破綻が明らかになってくると日中韓3カ国会談を提案したりと、根本には事大主義があるように感じられました。



2015年11月4日水曜日

754.「超・技術革命で世界最強となる日本」 三橋 貴明

「一番じゃなきゃダメですか?」と事業仕分けされ、毀損されてしまった技術も多いと思います。

一番ゆえにさらに進歩する技術もあるし、一番を目指すことでブレークスルーすることも多いのではないでしょうか。

本書では、スーパコンピュータ京と睡蓮、リニア中央新幹線、パワードスーツなど日本が持つ世界最先端の技術が紹介されています。

そして、軍備でも、日本純正ステルス戦闘機ATD-X、10式戦車、護衛艦いずもなど、アメリカに壊滅させられた兵器産業がよくぞここまで復活してきたと思います。これらの武器を持つことは他国から国を守る上で非常に重要な鍵となるものでしょう。

著者が主張するように、政府は技術開発投資、公共投資にもっとお金を投資すべきだと思います。そうすれば、人口減少社会でも経済を成長させることができ、インフラが整って就業環境も改善し、それに伴い人口も増加していくのではないでしょうか。


2015年11月2日月曜日

753.「屋上のウインドノーツ」額賀 澪

途中で本を置きたくないと思える本でした。

高校の吹奏楽がテーマの小説です。私は吹奏楽のことを全く知らず、興味もないのですが、読んでいると、何だか吹奏楽が格好良く思えてきます。

そして、目標が東日本大会出場と、小説にしては大きくない目標ですが、読み進めるうちに、とても大きく、燃える目標に思えてきました。

著者の「ヒトリコ」という作品では、主人公は小学生のときに幼稚園からの友達に裏切られ孤独になりますが、本作の主人公の志音には幼稚園の親友がいました。それなのに常に孤独を感じていて自ら逃げ出してしまいます。

吹奏楽部に入り、東日本大会を目指すことで自ら作ってしまった殻を破り、一人の人間としての自立の道を歩む。衝撃的な事件は起きないけれども、とても爽やかで、読んだ後心がホッとする作品でした。