2016年7月29日金曜日

978.「THE NEW KOREA―朝鮮(コリア)が劇的に豊かになった時代(とき)」 アレン アイルランド、 桜の花出版編集部

著者は、はイギリスの学者、植民政策学、植民地統治研究の専門家、シカゴ大学委員、王立地理学会特別会員です。

日韓併合後の1923年に本書を表しました。客観的な日韓併合の状況が描かれています。

本書を読むと、日韓併合が、韓国の植民地化ではなかったこと、韓国の経済水準が急激に上昇したこと、日本政府が善政を敷いていたこと、多額の日本の資金を惜しみなく投入したこと、朝鮮人の感情に非常に配慮していたことがわかります。

500年に亘る李氏朝鮮の全近代的な国家体制で苦しんでいた国民が、開放され豊になっていく姿が描かれています。

著者は言います。
「私が到った結論というのは次の通りである。今日の朝鮮は李氏王朝時代とは比べ物にならないくらい良く統治されており、また他の多くの独立国と比較してもその統治は優れている。
 すなわち、これまで私が尋ね歩いたイギリス、アメリカ、フランス、オランダ、ポルトガル領のいずれの植民地も良く統治されていたが、その多くの植民地よりも、(日本の朝鮮統治は)政府の行政手腕のみならず、民衆の文化的経済的発展においても優れているのである。」

「朝鮮の場合、日本にとって脅威となった原因は2つある。
 第1には過去数世紀に亘る失敗である。内政改革を通して独立を維持するに足りる冨と力を持ち国家としての体裁を整えようとする希望など断念するほど追い詰められた状況だった。
 第2の原因は、第1の原因の結果として生じたものだが、ロシアや清が力や策略によって朝鮮半島を占領し、日本の国家防衛にとって許しがたい戦略的状況を作り出してしまう可能性があったことだ。」

感情的には、日本に併合されたということが不愉快かもしれませんが、併合により朝鮮が李氏朝鮮時代よりも豊かになったことは明らかです。

977.「「民意」の嘘 日本人は真実を知らされているか」 櫻井よしこ、 花田紀凱

マスコミは、自分の主張に都合が悪いことは書かず、都合のいいことばかり書くと感じました。

憲法学者は、国民の生命や国際情勢を考慮に入れず、憲法の文字面だけを見て意見を言っているようです。

そして、その思考様式の源流は、東大教授であった宮澤俊義氏の教えによるものだそうです。宮澤氏は、GHQの圧力を受けて転向したとも言われています。

その教えが東大で脈々と受け継がれ、今も主流となっています。

さらに、レッドパージによる左派の要職独占と、WGIPによる左派教育がマスコミを色濃く支配しているように思いました。

「民意」と主張する時は、マスコミが自作自演しているという説明はとても納得でき、物事の新しい見方を得ました。

2016年7月28日木曜日

976.「ポイズンドーター・ホーリーマザー」 湊 かなえ

6つの短編からなります。

最後の「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」だけが連作です。

どこか壊れている人達の被害者妄想が不信感となり、強い思い込みが事件を引き起こします。

加害者の心理と周囲の加害者への見方が描かれ、人の物の見方がとても興味深いです。

加害者の自意識と他者からの評価のギャップが悲劇を生んでいます。

2016年7月27日水曜日

975.「新・地政学 - 「第三次世界大戦」を読み解く (中公新書ラクレ)」 山内 昌之、 佐藤 優

「新・地政学」とのタイトルですが、地政学の話はあまりなかったように感じました。

主には国際政治、ナショナリズム、歴史について語られています。

なぜ、こういうタイトルになったのでしょうか。

少し期待はずれでした。

国際政治の話は、興味深く、勉強になりました。

2016年7月26日火曜日

974.「強運を味方につける49の言葉 (PHP文庫)」 本田 健

ありきたりのポジティブ・フレーズ集かと思いきや、実際に運が良くなりそうな行動も書かれています。

『「感謝できる人」に運は集まる。』という言葉を読むと、
「そりゃ、そうだろうな」としか感じません。

しかし、著者がメンターから言われた
「受けた恩を忘れないというだけで、ある程度の成功はできる。また、感謝することは、能力が低くてもできることなのだから、どれほどやっても損はないのだ」
という文章が合わさると、非常に納得感が高まります。

49の言葉に対して、他人の著書の引用ではなく、著者の体験や考えが書かれており、とても実感が湧く内容となっています。

2016年7月25日月曜日

973.「15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと」 正田 圭

著者は、「金持ち父さん貧乏父さん」をたまたま読んで、起業に憧れるようになりました。

15歳のとき、給食の包装材が100円で回収されることに目をつけ、これを集めて品薄にして回収費を200円に釣り上げたところで、一気に返却して30万円の利益を得たことからビジネスを始めます。

そして、お金持ちの同級生の父親から、1000万円を借りて株式投資を行い、150万円の利息を付けて返済し、300万円の元手を作ったのでした。

なかなか中学生でできることではありませんね。

ビジネスにのめり込み、失敗と成功、失望と自惚れを繰り返し、経営者としての腕を上げていきます。起業の様子を臨場感を持って、体感することができます。

失敗繰り返さないための3箇条や、経営能力を高める勉強法など、非常に勉強になる内容に富んでいます。

2016年7月22日金曜日

972.「話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる」 野口悠紀雄

スマホに音声入力し、それをテキストデータ化して文章を作成する方法を教えてくれます。

スマホの無料アプリによって、無料でこの機能を使えるそうです。

本書は、音声入力の有用性とメモを取ることの有用性を紹介しています。

ただ、メモの有用性の記載が殆どで、読んでいるとそれを音声入力の有用性のように誤認してしまいます。

音声入力が紙に書くことより優れていることは、紙とペンを取り出す手間の省略と、紙から電子データへの文字起こしの省略です。

ただ、実際には文字認識の精度が今一歩なので、かなり修正が必要なようです。


2016年7月21日木曜日

971.「何者 (新潮文庫)」 朝井 リョウ

大学生の就活を描いた小説です。現代の就活は、自分の頃と違い、とても大変なんだなと感じました。

就活に備え、海外留学、資格取得、インターン、ボランティアに励む。でも、本当はそんなことがやりたかったわけではなく、単に就活に有利だから。

だから、いくら一生懸命にやっても自分ではない、仮面だけが作られていき、面接ではその仮面を次々付け替える。

でも、本当の自分には、やりたくないことをする覚悟や、自分が思っているより社会からの自分の評価が低いことに向き合う覚悟がない。

「何者」とは、現実の自分とは違う理想の自分。そう簡単に「何者」になれない自分は、他人の内定を貶めたり、面接での失敗を笑ったりする。

しかし、自分は一歩離れて傷つかない位置に逃げ込み、本当の自分を曝け出さないまま、応募企業だけが増えていく。

就活という大きな関門が、親から保護されていた自分から、自立していく自分への転換点になるように思いました。

2016年7月20日水曜日

970.「世界史で学べ! 地政学」 茂木 誠

世界史で起きた出来事を地理の観点で解き明かす地政学の入門書です。

現在の世界中の紛争の原因を歴史から遡り、その時になぜそうなったのかを地形などから解説します。

現在の世界中の紛争の火種がよく分かりました。

「そうだったのか」と納得できます。
ただ、国家の起こりや国家間の争いが非常に多いため、何度も読み返す必要がありそうです。

2016年7月19日火曜日

969.「水鏡推理 (講談社文庫)」 松岡 圭祐

松岡圭祐氏による、また新しいシリーズです。

今回の主人公は、文部科学省の一般職。武器は、「判断推理」と「数的推理」。私はこれらの用語を始めて知りました。またまた、目の付け所が素晴らしいです。

研究費の不正入手にまつわる手口を見抜くという、非常にマニアックなテーマです。それでも堅苦しくなく、とても楽しく読めます。

また、文部科学省内の総合職と一般職の差別体制が本当だとすると、とても忌まわしい組織風土だと思いました。

2016年7月18日月曜日

968.「ただのサラリーマンが時間をかけずに8カ月でTOEICテストで325点から925点になれたラクラク勉強法」 杉村健一

TOEIC初受験から900点獲得までの勉強方法を幅広く、丁寧に教えてくれます。

それぞれの段階でのステップアップの方法が詳しいです。

様々な教材を紹介してくれるので、参考になります。

基本書は、「DUO 3.0」と「カラー版 CD付 中学3年間の英語を10時間で復習する本」です。

これらをベースとして、半年間、一日一時間半勉強して、885点を取ったことは素晴らしいと思いました。

2016年7月15日金曜日

967.「トランプ熱狂、アメリカの「反知性主義」」 宮崎正弘

オバマ大統領の失策が、アメリカ国民の不満や失望を生み、その反動としてトランプへの支持が高まっているようです。

アメリカでは、エスタブリッシュメントが上手く行かないと、その反動で反知性主義が台頭します。大統領制の特徴でしょうか。レーガン大統領がよい例です。

トランプの台頭は、その背景にグローバル主義への反発もあると思います。関税を引き下げて物価を下げ、従業員を非正規化し、更に移民を受け入れて賃金を低値で安定させる。その結果、多くの大衆が貧困化し、一部の経営者層が富裕化していきます。

世界がグローバル化していく中、イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ人気は、グローバル化への対抗運動のように思えました。

2016年7月14日木曜日

966.「カエルの楽園」 百田尚樹

全くの作り話ですが、真実の物語です。

平和で豊なツチガエルの国「ナパージュ」。

その隣には凶悪なウシガエルの国があり、毎日、他のカエルを食べています。

ツチガエル達は、大昔にウシガエルと争っており、自分達の本性は残虐なものだと信じています。そのため、イーグルに定められた「三戒」により争いを禁じており、「三戒」があるから平和でいられると信じています。

ある日、「ナパージュ」の南の崖をウシガエルがよじ登り、遂には「ナパージュ」の土地に入り込んでくるのですが・・・。

自虐思想を訴えるデイブレイク、ウシガエルと仲良くしようと叫ぶフラワーズなど、非常に口がうまく、自分達の予想が何度外れても、うまく言いくるめていきます。

現代の東アジア情勢を暗示し、将来に警鐘をならす警告の書です。

日本がナパージュにならないよう、各人がしっかりと自分で考える必要があると思いました。



2016年7月13日水曜日

965.「火花」 又吉 直樹

152Pと、思っていたよりも、薄い本でした。

売れない芸人の世界や日常がよく分かります。

芸人の心情や実態が細かく濃密に描かれているのですが、著者の実体験に基づくものなので、今後、これ以上の情報を集めて同水準の小説を書けるのか、疑問です。

終盤の意外な展開で、こんな終わり方でよいのだろうかと思いました。

正直言って、私にはピンと来ない小説でした。

2016年7月12日火曜日

964.「お引っ越し」 真梨 幸子 角川書店

星新一さんのショートショートのホラー版みたいです。表紙もそんな雰囲気です。

6つの短編の最後にゾクリとするオチがついています。

「ゲラッ ゲラッ ゲラッ」という中森明菜さんの往年のヒット曲が何度も効果的に挿入され、当時を知っている読者には何とも言えない不気味さが感じられます。

特に面白いのが、アオシマによる最後の解説です。ホラーの話は読後の後引き効果を狙ってか、その後は読者の想像にお任せしますというような終わり方をします。本編もそうなのですが、最後に解説という形を取って、後日談が語られることで、本編の後引き感と、解説のスッキリ感という二度の楽しみ方が出来ます。

2016年7月11日月曜日

963.「韓民族こそ歴史の加害者である」 石平

「外国勢力を招き入れて国内問題の解決に当たる」という朝鮮民族の思考回路と行動パターンが朝鮮の近代化を遅らせた最大の原因であり、諸外国は不要な紛争に巻き込まれてきました。

紀元前2世紀の始めに、中国大陸の漢帝国(前漢)から衛満という人が半島に亡命してきて建国した「衛氏朝鮮」が記録が残っている最初の国家です。

高句麗、百済、新羅による三国統一戦争で、新羅が唐を引き入れ百済と高句麗を滅ぼしたことから、外国の巨大勢力に迎合して保身を図るという「事大主義」の伝統が始まり、現在に至ります。

1274年の文永の役は高麗王朝の元宗が協力し、
1281年の弘安の駅は高麗王朝の忠烈王が提唱して引き起こされ、壱岐・対馬の住民が惨殺されました。男性は殺され海に放置され、女性は手のひらに穴をあけ縄で繋がれて連れ去られました。

日韓併合は、韓国国内で最大規模の民間団体である一進会からの要望であり、韓国の閣議で一人を除く全閣僚が賛成しました。初代朝鮮総督である伊藤博文が韓国併合に反対していましたが、安重根に暗殺されてしまい、併合への道へ進むこととなってしまいました。

「半島とは一定の距離をおいて、韓民族内部の紛争にできる限り関与しないようにするのがもっとも賢明な道であり、半島政治と付き合っていく上での鉄則である。」
と著者は言います。

全くその通りだと思います。現在においても北朝鮮からの攻撃と難民に備え、韓国のたかりを毅然と対応しながら、北と南との紛争に巻き込まれないようにすべきです。同情心を出して援助すると後に恩を仇で返されます。

2016年7月8日金曜日

962.「アルテーミスの采配」 真梨 幸子

「アルテーミスの采配」というタイトルのAV女優のインタビュー集。そこに登場する5人のAV女優が次々に不審死を遂げます。

自殺なのか、連続殺人なのか。

プロローグに物語の大きな鍵が隠されており、途中、何度か読み返しました。

「容姿が優れている女というのはね、それだけで標的にされて、危険も多いの。決して羨ましがるような対象ではないの。むしろ、可哀想なのよ。だって、同姓からも異性からもトラップを仕掛けられて、その転落を虎視眈々と狙われるんだから。」

大きく複雑な罠に囚われて女たちの嫉妬と恨みが複雑に混じりあった復讐劇です。

2016年7月7日木曜日

961.「ふる」西 加奈子

現実的な話に幻想的な描写が混ざります。

様々な場面で様々な「新田人生」という人物が登場しますが、花しすが何故その不自然さに気づかないのか、分かりませんでした。

また、花しすにだけ見える白いものがなんだったのかも、最後まで明かされません。

色々と分からないことが多く、あまり理解も共感もできませんでした。

2016年7月6日水曜日

960.「よみがえる 松岡洋右」 福井 雄三

松岡洋右といえば、国際連盟で椅子を蹴って退場し、国際連盟を脱退した、傲岸不遜の外交官というイメージがあります。

しかし、本書で明かされる松岡洋右は、このイメージと全く異なる、外国語に堪能で、交渉力に長け、国際感覚に優れた有能な人物として描かれています。

では、なぜ、こういった松岡像が定着したのかといえば、松岡は「極東軍事裁判」の途中で病死し、死人に口なしとばかり、「すべての罪を松岡に」とスケープ・ゴートにされたそうです。

松岡は、近衛文麿から首相就任の密約を得て、日米戦争の回避などの交渉を進めたものの、何度も無節操、無定見の近衛に裏切られ、最後には近衛の遺書で戦争責任を擦り付けられてしまいました。

松岡は、南進論に反対し、北進論を主張していましたが、確かに北進論であれば、米国と戦争することなく、ソ連を制圧して中国との紛争も終結できたと思います。

近衛でなく松岡が首相だったら、日本の現在は大きく異なっていたものと思いました。

2016年7月5日火曜日

959.「ありがとうの神様」 小林 正観

過去の何冊かの書籍を集めたベスト版です。

いつもの自分の物の見方と違う見方に気づかせてくれます。

すごくいいことが書いてあります。

ただ・・・

僕はその全てを信じきることができませんでした。

例えば、よくいわれる、「コップに半分の水しか入っていなかったときどう思うべきか」という問題。

「半分しかない」と思うべきか、「半分もある」と思うべきか。

「半分もある」と思うほうが良いと言われますが、僕はどっちでもいいのではと思います。

「半分しかない」と思ったほうが、大事に飲むのではないでしょうか。

この本の内容を信じきれれば、悩みなく生活できるのかもしれません。

2016年7月4日月曜日

958.「アナログ文系サラリーマンでもできる! アフィリエイトで月20万円稼ぐ方法」 五十嵐 勝久

前作「ガラケー男がネット副業で年収5000万円」 とほぼ同内容でした。

ただ、㈱インタースペースのインタビューと、先輩アフィリエータの成功例は面白かったです。

実際にアフィリエイトで儲けることは難しいという話を聞きます。月に10万円以上の収入を得ている人は、アフィリエイト開始から1~2年で30%、2年以上で50%以上だそうです。継続することで徐々に利益が上がるとのことです。

そして、月に100万円以上稼ぐ個人は、個人のアフィリエータの1%位だそうです。

これを多いと見るか、少ないと見るか・・・

2016年7月1日金曜日

957.「彼女について (文春文庫)」 よしもと ばなな

何だか不思議な話でした。

ある殺人事件により、心に大きなトラウマを抱えた少女が、そのトラウマから解放される姿を描いています。

分量は多くないのですが、なかなか読み進められませんでした。

こういったファンタジーは、自分には向いていないようです。