2016年8月31日水曜日

1000.「知性だけが武器である――「読む」から始める大人の勉強術」 白取 春彦

「読書は意味があるのか」という問いについて、答えることは割りと難しいです。

私も本を結構読んでいる方ですが、
「読書で賢くなったの?」
と聞かれると即答はできませんでした。

ショーペンハウアーは、
「絶えず読むだけで、読んだことを後でさらに考えてみなければ、精神の中に根をおろすこともなく、多くは失われてしまう。」
と書いています(「読書について」)。

つまりは、読むだけでは他人の考えを知っただけで自分の考えにはならないということでしょうか。

しかし、著者は、
「『考える』ことができるためには考える材料がなければならない。その重要な材料の一つとして本がある。」
と言います。

さらに、
「考えるためには何かを読み、読みとった事柄からの刺激がなければならない。刺激なくして自発的に考えることは、ほぼ不可能だ。」
と教えてくれます。

確かに、『考える』ことが人間にとって非常に重要なことの一つだと思います。

ただ、何もないところで自発的に『考える』ことは常に問題意識を持っている人でないとやれていないと思います。

また、自分の持っている情報だけで考えても、同じ思索の繰り返しで狭く凝り固まるような気がします。

「読書を目的とせず、読書をきっかけに自分の考えを広げて深めていく」
そんな生き方をしていきたいと思いました。

2016年8月30日火曜日

999.「私の消滅」 中村 文則

これまで全く読んだことがないタイプの小説です。この話はどんな話にも似ていないと感じました。

洗脳される側、洗脳する側の立場で話が進みます。

今、語っているのは誰なのか、さっぱり分からなくなります。

人の記憶を書き換えることが本当に可能なのだろうか。

記憶を書き換えられた私は、一体誰なのか。

深い絶望と冒してはいけない一線を描いた作品です。

2016年8月29日月曜日

998.「日本共産党秘録」 大下英治

「共産党秘録」というから、共産党の隠された事実を明らかにする内容かと思って読み始めましたが、共産党の良い面ばかりに焦点を当てた宣伝本のような内容でした。

共産党は確かに労働者の側に立ち、劣悪な労働条件や労働環境の改善に努めて来た貢献は大きいと思います。政党助成金も受け取らない姿勢もたいしたものです。非正規雇用拡大やTPPなどの新自由主義に反対する行動も同意できます。

一方、天皇制を廃止し共和制へ移行するという主張は日本の社会基盤、歴史、思想基盤を壊すものです。そして、憲法9条を堅持し自衛隊を消滅されるというのは侵略国がすぐ近くにある現状では亡国を招きます。

労働者保護という観点では存続してもらいたいですが、経済、外交、国防という観点からは、これ以上勢力を伸ばしてほしくない政党と感じました。

2016年8月26日金曜日

997.「偏向ざんまい GHQの魔法が解けない人たち」 阿比留瑠比

左派とリベラル派が言ってきたことは結構ひどいです。場合によってそれと全く整合性のないことを言ってのけます。他人を攻撃した内容を同じことを自分がやっても勝手な言い訳をします。

しかし、私達はそれらを覚えているわけではないので、何だかおかしいなと感じても、うまく説明できません。

本書は産経新聞の社説をまとめたもので、一つのテーマについて、過去から現在までの発言や行動を引いて批判しています。

朝日新聞、河野洋平氏、村山富市氏らの発言でどれほど日本が貶められたか、鳩山由紀夫氏、菅直人氏ら民主党によっていかに中韓のいいなりになってしまったかがよく理解できました。

こういった過去の正確な情報に基づいた社説は非常に貴重なものと思いました。

2016年8月25日木曜日

996.「ぷしゅ よなよなエールがお世話になります」 井手 直行

いかにして、ヤッホーブルーイングを立て直し、11年連続増収増益の会社に作り変えたかが面白く学べます。

著者は、MBAの勉強もしましたが、それが立て直しの直接的な要因ではありません。

業績回復のキッカケは、楽天を利用した通販でしたが、楽天を思い出したのはたまたまの偶然であり、周囲の同意も得られなかったので、てんちょ(著者・現社長)が一人で始めたものでした。

楽天大学に通いましたが、それもマーケティングの勉強ではなく、ネット広告の勉強だけです。

何かマーケティングで狙ったわけではありませんでした。

売れた理由もよくわかっていませんでした。ただ、楽天の三木谷さん、林さんとの出会いだけでした。

立派な人だから偉大なことができたのではなく、普通の人が諦めずに学び試した結果、偉大なことが起きたことが分かりました。

2016年8月23日火曜日

995.「世界戦争を仕掛ける市場の正体 ~グローバリズムを操る裏シナリオを読む」 宮崎 正弘、 馬渕 睦夫

2015年時点での政治、経済、外交に関するトピックスが2人の識者により語られています。

日本の長期の亘るデフレの原因は、1985年のプラザ合意に端を発しています。アメリカの金融機関に仕組まれたスーパー301条、年次改革要望書、TPPなどにより、日本の強みであった様々な制度が切り崩され、グローバリズムに飲み込まれたようです。

そして、アメリカが引き起こした数々の陰謀、紛争により、ローマ法王が言うように第三次世界大戦が既に始まっているとのことです。

今大戦は、ハッキング戦争、テロ戦争、難民戦争、石油戦争など戦争の開始も戦闘も見えにくく相手が特定しにくいです。

南沙諸島、尖閣諸島への進出もその一環のように思えます。

こういった攻撃方法では、攻撃された方は非常に対処しにくく、解決も困難です。

2016年8月22日月曜日

994.「日本会議の研究」 菅野 完

民間団体「日本会議」による陰謀論を暴露する本です。

日本会議は、宗教団体の連合組織で、その主力は、宗教団体「生長の家」の原理主義者からなるそうです。

そして、そのメンバーは安倍政権に多く潜伏し、憲法改正を目論んでいるとのことです。

著者は保守派を任じていますが、その主張内容やレッテル貼りの手法は、左派のように感じられました。

思い込みや決め付けが多い内容で、最後まで読むのに努力を要しました。

2016年8月19日金曜日

993.「中国バブル崩壊の全内幕」 宮崎 正弘、 石 平

これまでの中国の成功パターンは、
1.農民の土地を取り上げる
2.土地を開発する
3.農民を農民工として安価な労働力とする
4.安価な製品を大量に輸出する
というものでした。

それが人件費が上がった結果、
1.輸出品が競争力を失い売れなくなる
2.大卒でも就職できなくなり、農民工がリストラされる
3.不動産の買手がいなくなる
4.不良債権が積み上がる
ということになりました。

この先考えられることは、
1.3300兆円もの不良債権がデフォルトし大恐慌となる
2.職のない大卒者と農民工が合体して大規模デモが起こる
3.人民の発意高揚、尖閣諸島で局地戦を起こす
4.共産党内で革命が起こる
ということでしょうか。

2017年がターニング・ポイントだと思います。

2016年8月18日木曜日

992.「オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書)」 ロバート・D・エルドリッヂ

著者は海兵隊の文民として沖縄で勤務していた時、基地への侵入者が逮捕された映像を公開したことで海兵隊を解雇されました。

しかし、その行動は冷静な判断に裏付けられたもので、著者の知性や日本の文化、歴史に対する造詣は深いものと感じられます。

本書で分かった点は、辺野古は普天間に比べ、その機能や安全性が劣り、かえって移設しない方が良いこと、オスプレイの危険性や騒音はマスコミの一方的な報道の可能性があること、基地を反対している人達の多くが地元ではなく外国人も含まれていること、などです。

反日運動や、戦争に関するプロパガンダを使って、補償金を引き出す姿は、韓国に非常に似ていると思いました。

2016年8月17日水曜日

991.「記憶の渚にて」 白石 一文 角川書店

非常に長い(489ページ)物語ですが、倦むことなく最後まで一気に読めました。

死と記憶がテーマとされているように感じました。

そのテーマを明確にするために、新興宗教が舞台となっているのでしょうか。新興宗教を舞台とすると、生と死、思想を語りやすくなるように思います。

人間関係が密接で、複雑なので混乱しますが、それが重要な要件ともなっています。

2016年8月16日火曜日

990.「出身地を知らなければ、中国人は分らない」 宮崎正弘

著者が実際に訪ねた中国各地の実態を豊富な知識を交え、解説しています。

中国と一言で言っても、漢人の単一国家ではなく、非常に多様な人種がおります。そのため、地域ごとに人々の気性や特性も異なります。

反日も北京が主導していますが、中国全土が反日であるわけでもなく、親日の地域もあるようです。

これだけ広大が国土が他国と接している以上、力で侵略したりされたり、多民族を力で統治したりすることは、ごく当然のことであったのでしょう。

それが、現在の中国の周辺国への拡大の根本にあるものと思われます。

2016年8月15日月曜日

989.「ビジュアル マーケティング・フレームワーク」 (日経文庫) 原尻 淳一

非常に多くのマーケティングのフレームが、簡潔かつ明快に説明されています。

実際のビジネスをそのフレームに当てはめて解説しているので、分かりやすいです。

ただ、実際にこのフレームを使ってマーケティングを行うことは、容易でないように思えました。

それは、フレームが多すぎて、どれを使えばよいのか戸惑うことと、書かれているのが結果分析で、実際にフレームを使って成功させたビジネスの例がないからです。

しかし、著者のセミナーに参加したところ、事例として挙げられていた、まいあめ工房の中村社長と直接お話することができました。

中村社長によれば、全体のフレームの流れは意識していなかったものの、事業を行う前にフレームの内容はかなり入念に検討したとのことでした。

そして、実際に事業が軌道に乗ってみると、フレームの流れに沿ってマーケティングしていたそうです。

マーケティング・フレームワークは、本人の意識により、本当に使えるのだなと分かりました。

2016年8月12日金曜日

988.「ポケット図解 著作権がよ〜くわかる本」 横溝 昇、 南部 朋子

日常、よく起こり得る様々な著作権に関する疑問が具体的な事例で質問され、それに回答していくという形式です。

解説も非常に分かりやすく、著作権を勉強したことがない人でも分かります。

著作権を全く分からない人には全体を俯瞰する入門書として、勉強したことがある人には知識を確認する復習書として使えます。

最近の法改正や判例にも対応しています。

この本で、自分が思い違いしていたことに気づくことができました。

2016年8月11日木曜日

987.「ユートピア」 湊 かなえ 集英社

2016年の山本周五郎賞受賞作です。

文体がかつての書簡形式といった独特なものから、ごく普通の文章となっていますが、特徴的だった心理描写は健在です。

殺人事件はありますが、オドロオドロしい猟奇殺人でその犯人を探すという形式ではなく、殺人事件をキッカケとして田舎町の人間関係や、人間感情を描いています。

イヤミスの領域を超えた文学小説ですが、著者の特徴でもある嫌な感情と猟奇殺人がないため、物足りないと感じる人も多いのではないでしょうか。

最後の最後まで、どんでん返しが仕組まれており、楽しく読めました。

2016年8月10日水曜日

986.「戦争犯罪国はアメリカだった! ─ 英国人ジャーナリストが明かす東京裁判70年の虚妄」 ヘンリー・S・ストークス、 藤田 裕行

フーバー大統領は、回顧録で大東亜戦争を仕掛けたのはアメリカだったと告白しています。日本は最後の最後まで、戦争ではなく平和を求めていたそうです。

1.日米戦争は、時のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが日本に向けて仕掛けたものであり、日本の侵略が原因ではない

2.1941年の日米交渉では、ルーズベルトは日本側の妥協を受け入れる意図は初めから全く無かった日本側の誠実な和平への努力は実らなかった。

3.アメリカは1945年に原爆を投下せずに日本を降伏させることが出来た。原爆投下の罪は、重くアメリカ国民にのしかかっている。
アメリカのハーバート・フーバー大統領の回顧録
「裏切られた自由」から

上記の事実は、現在では全く逆に教えられています。
そうして、日本人はいつまでも、罪悪感に囚われて生きているのではないでしょうか。

これ以外にも、私の思い込みと異なることが沢山書かれており、かつ立証されています。日本人として、事実をしっかりと勉強すべきだと思いました。

2016年8月9日火曜日

985.「親日派! 「蔡英文」」黄 文雄 宝島社

台湾の新総統、蔡英文さんと、最近の台湾情勢を解説する本です。

台湾は中国とは、全く別の民族からなる別の国と感じました。民進党政権になりその動きは加速するでしょう。

そして、国民党が中国共産党のように、汚職と不正蓄財にまみれていることに驚きました。同じ民族の共通的な行動でしょうか。

民主党が中国共産党にかなり操られているという話は、初めて聞いたので大変驚きました。しかし、言われてみれば、思い当たる節があります。

鴻海の郭会長は、本書でも中国に拠点を置く中国政商と言われています。やはり、純粋な台湾企業ではないようです。しかも、悪名高い「奴隷工場」との異名を持ちます。シャープ社員の行く末が不安です。

蔡英文さんは、非常に有能でバランス感覚が高く、親日派とのことです。

日本は、台湾とのよい関係を高め、東アジアの安定化を築くべきだと思いました。

2016年8月8日月曜日

984.「40歳オーバーでニート状態だったぼくが初めてTOEICを受けていきなり930点取って人生を劇的に変えた、効果絶大な英語勉強法 (リンダパブリッシャーズの本)」 春名久史

著者は、40歳でニートの時にTOEICの勉強を始め、わずか1ヶ月の準備期間にも関わらず、初めての受験で930点を取ったとのことです。

ニートだったこともあり、1日10時間勉強したそうですが、それでも1ヶ月で930点は凄い。

元から英語が出来たのかといえば、著者によれば、二流大学を中退し、その後アルバイトで食いつないだため、勉強もしていなかったそうです。

その勉強法は、コロンブスの卵のようで、言われてみれば簡単なことなのですが、中々やった人はいないと思います。

単に、公式問題集6冊の解答解説だけを10回読むことです。問題は解きません。暗記もしないで、ひたすら読み込み、マーカーを引くのみ。

他の問題集、単語集、文法本、辞書も不要です。

それは、そんなに沢山やれないのだから、出題者が重要だと考えることが書いてある、公式問題集のみを繰り返し読むということに集中すること。

この勉強法で、映画を字幕なしで見れたり、英字新聞を読めたり、外国人と話せたりするようにはなりません。

ただし、TOEICのスコアを上げるということについては、一番効果がある方法ではないでしょうか。

2016年8月5日金曜日

983.「5人のジュンコ (徳間文庫)」 真梨幸子

伊豆連続殺人事件の容疑者、佐竹純子。

容姿も悪く、お金もないのに男たちが次々に彼女の毒牙にかかり、死んでいく。

事件をキッカケに、同じ「ジュンコ」という名前を持つ女達にバタフライ・エフェクトとも言うべき影響が及ぼし、悲劇が連鎖していく。

人をだます、操るということが実際にどのように行われていくのか、体感できる小説です。

2016年8月4日木曜日

982.「読書は格闘技」 瀧本 哲史 集英社

著者による、非常に高度な読書感想文といった感じです。

「読書により、著者と架空の議論をし、自己の思考を高める」という内容を予想していましたが、違いました。

著者が選んだ、ある本質的なテーマを持つ本について、著者の広範囲な知識で解説がなされます。そして、そのテーマに対する捻った観点から見た意外な書籍が提示され、2つの本が対峙されます。

こういう読み方をして思考の幅を広げなさいというテーゼのようです。

しかし、本書の2つの書籍の選び方は、著者が過去に読んだ多くの本から抽出された、いわば帰納法のような話なので、何もないところから、2冊を選ぶという演繹法のような読書は難しいと感じました。


2016年8月3日水曜日

981.「余命三年時事日記」 余命プロジェクトチーム 青林堂

日本について知らないことばかりで、とても面白かったです。

中国に軍事力で大差を付けられっぱなしと思っていましたが、水面下で技術革新が進んでおり、対応できる体制になりつつあることに少し安堵しました。

また、在日外国人の問題背景がよく分かりました。

日本国内に反日日本人がいることが疑問でしたが、その多くが在日外国人だと分かると、納得できました。

2016年8月2日火曜日

980.「殺人出産」村田 沙耶香 講談社

何とも奇妙な近未来小説です。

セックスは快楽のためだけに求められ、出産はセックスと切り離されて人口授精のみとなった社会。

人口が減少していくなか、政府は子供を10人産めば、その代わりに好きな人間を一人殺してもよいとする法案を成立させました。

10人産んだ人は「産み人」、産み人に殺された人は「死に人」として崇められます。

人を殺すことが罪ではなくなり、恨みを晴らすためや、殺人願望を叶えるために出産する人。

一方、好きな人の子供を産むことに拘り出産する、ごく少数の人。

殺人と出産という、人間の本性を考えさせられる作品です。



2016年8月1日月曜日

979.「自分のついた噓を真実だと思い込む人」 片田珠美

嘘をつく人の心理状況を解説していて面白いです。

ただ、例自体の真実性に疑問を持ちました。

特に、小保方晴子さんや佐村河内守さんへの非難が激しいです。

STAP細胞は再現できなかったものの、本当に存在しないのかは不明だと思います。
それにも関わらず、小保方さんの話を何度も持ち出し貶めている理由が分かりませんでした。嫉妬心さえ感じる叩き方です。

結局、巧妙な嘘を見抜くことは、難しいです。

嘘を見抜く方法も紹介されていますが、そもそも相手を疑って用いる方法なので、相手を怪しいと思えないと有効ではないと感じました。