2016年11月30日水曜日

1053.「日本にはびこる「トンデモ左翼」の病理: 中国から帰化して驚いた フォロワー18万人のツイッターで大反響のリベラル批判」石平


独裁国家中国から帰化した著者には、日本は本当に何でも言える民主国家と見えるのでしょう。

しかし、民主主義、つまり選挙で自分達の代表を選ぶということを否定する人達がいます。それが左翼です。

単なる多数決を「強行採決」とレッテル貼りし、自分達の気に入らない法案についてはデモによって投票を無効にしようとします。デモの参加人数は水増しして、「全国民の怒り」とか、「オール沖縄の声」など、拡大報道します。

戦争がなかったことは、憲法9条のおかげと言い、「9条にノーベル平和賞を」などと運動します。しかし、もし9条がノーベル平和賞の対象となったら、受賞者は日本国憲法をつくったマッカーサーになるのでしょうか。

自衛隊に反対するピースボートがソマリア沖を船で運航したとき、自衛隊に警護してもらったというのは、大いなる自己矛盾と感じました。

2016年11月29日火曜日

1052.「家族無計画」 紫原 明子

著者は、都知事選にも出馬した起業家の家入一真氏の元奥さんです。家入氏が都知事選に立候補した日に離婚届を提出したそうです。

一人の人間が起業して、その会社が成長して行く中で、どのように人間が変わっていくのかを知りたくて手にしましたが、そういったことはほとんど書かれていません。辛すぎで書けなかったのでしょうか。

二十歳前に出産し一人で子供を育てていく体験と、社会経験なく30歳近くで初めて働き始めた苦労が中心に描かれています。

家入氏については、かなりメチャクチャな人格が書かれていて、都知事どころか企業経営もおぼつかないようでした。性格がインターネットに向いていて、起業した時期が非常にマッチしたという感じです。しかし、会社が大きくなると経営はできず、追われるように去っていきました。

その妻として生きてくれば金銭感覚がないまま落ちていくのが普通ですが、夫が落ちていく時期とスピードが早かったことと、2人の子供を育てるうえで金銭感覚が養われ、自分で稼ぐという手段を手に入れたのでした。

2016年11月28日月曜日

1051.「陰謀と虐殺――情報戦から読み解く悪の中東論」柏原 竜一

中東の情勢が非常に緻密に説明されており、非常によく分かりました。

中東のインテリジェンスはエジプトでも起こり、イスラエルに対抗するようにイランもインテリジェンスを高めていきます。

そして、現在のISなどの混乱のキープレーヤーはイランのようです。

イランが自らの代理人としてレバノンのヒズボラを育て、サウジアラビアが自らの代理人としてビン・ラディンのアルカイダを育てます。

そして、アルカイダの分派であった、イラクのアルカイダがISISと変質していきますが、その本質はサダム・フセインの上級将校達のようです。

現在の中東の混乱はイスラム教対キリスト教の争いというより、イスラム教内のシーア派対スンニ派の内部抗争といった色彩が強いと思われます。

2016年11月25日金曜日

1050.「舞台」 西 加奈子

29歳の葉太は、会社を辞め父の遺産を使って、ニューヨークを訪れます。夢であったセントラルパークで寝転がって読書をしようとしたところ、パスポート、お金、スーツケースの鍵などが入ったカバンを盗まれてしまいます。葉太は手持ちの12ドルで残りの四日間を過ごすことになりますが・・・

体面ばかり気にし、父親へのコンプレックスを持った高等遊民が旅先でトラブルに出会う話です。

父親と母親が自分以外を演じていて、それを嫌っていた自分も結局、本当の自分以外を演じていました。

異国で自分のIDを全て失ったことで、生きるために自分以外を演じることができなくなり、自分をさらけ出し、躁鬱を繰り返すなかで、自分の本質に近づいていきます。

旅によって人間が変わったとまでいきませんが、仮面をはずして自分に向き合えたと感じました。

2016年11月24日木曜日

1049.「羊と鋼の森」 宮下 奈都

ピアノ調律師の物語ということで、全く知識のない別世界で、何とも地味なテーマであったため、興味が湧きませんでした。

2016年の本屋大賞を受賞したので手に取りましたが、読み終えるのに数日かかるだろうと覚悟していました。

ところが、以外にも3時間位ぶっ通しで読み終えてしまいました。

調律師と言えば、ピアノの音を合わせる仕事で、誰がやっても同じと思っていました。

しかし、羊(ハンマー)と鋼(弦)の森(ピアノ)は奥が深く、1つの音をとっても、無数の音があるようです。

さらに、その音をピアノが演奏される場所によって、ベストの状態にするには、調律師の解釈が重要で、それぞれの感性に大きく左右されます。

大きな出来事もない物語ですた、緩やかに心打たれる作品でした。

2016年11月22日火曜日

1048.「余命三年時事日記2」 余命プロジェクトチーム

2015年に起きた在日韓国人に対する包囲網の話がメインです。

入国管理法改正により通名が一本化され、マイナンバー制度により脱税、生活保護の不正受給が明るみに出され、これまでの在日特権がなくなりつつあるとのことです。

また、民進党の汚染が酷いです。党首の二重国籍だけでなく、民進党議員の帰化などは隠されています。

こういった問題は全く知らなかったことばかりなので、驚くことばかりです。

2016年11月21日月曜日

1047.「総理 」山口 敬之

安倍晋三内閣総理大臣の挫折と復活を描いたノンフィクションです。

安倍首相を筆頭に多くの政治家のプライベートな姿が描かれています。

特に、麻生太郎氏と中川昭一氏については、これまでの見方が変わりました。

ただ、全て事実を書いているのなら本人を裏切っていることになるし、本人の承諾を取っているのなら本当に悪い内容は書かれていないことになるように思えました。

政界の内幕話なので、読むのに苦労するかと思いましたが、予想に反し面白くすいすい読めました。

特に、消費税増税の先送りの葛藤が興味深かったです。

財務省が増税の根拠とした
-消費税を先送りすると国債が売られ長期金利が高騰する
-国際的な信用が奈落の底に落ちる
は、現時点で全く起きていません。財務省のプロパガンダは酷いものだと感じました。

TPPを推進していることと、消費税を凍結しなかったこと、公共投資を削減したこと、慰安婦問題で譲歩してことは不満ですが、外交や国防を中心にうまく運営していると思いました。

安倍氏は、首相辞任から5年の期間を経て、本当に別人の様な強い首相になったと思います。


2016年11月18日金曜日

1046.「これが世界と日本経済の真実だ」 高橋洋一

現在の政治、経済について幅広く、深い見識から語っており勉強になります。

「社会保障は社会保険料と所得税で賄うべきであり、消費税を使うべきではない。そんな国は他にない。」という話は、その通りだと思いました。

「集団的自衛権を行使した方が戦争リスクが減る。米軍が出ていった場合、その穴を賄うには10兆、20兆円を超える」というのも正論だと思います。

ただ、「TPP交渉においては日本が優位に立っている。」という主張は根拠が薄いと感じました。ヒラリーとトランプが反対しているからという理由では納得できませんでした。

また、郵貯民営化は著者のアイデアのようですが、何ということをしてくれたのかと思いました。「国際と同じ条件で集めたお金を国際で運用すれば、人件費分だけ赤字になる。」というのが論拠ですが、これまでそういった赤字が発生したのでしょうか。

郵貯のお金で国際を買い、財政投融資で公共事業を行った結果、国債の利回りが上がれば黒字になるように思いました。郵貯資金で国債を買うことで日本国民が国債を持つということになれば自らのお金で自らの国を整備するという、悪くない仕組みだと思います。企業や株式に投資するというのは銀行に任せて、郵貯は国に投資した方がよい役割分担ですし、民業を圧迫しないのではないでしょうか。

2016年11月17日木曜日

1045.「人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」 」 田坂 広志

著者の本は以前に数冊読んだだけですが、本書は事前に抱いていたイメージと異なっていました。

私が持っていたイメージは非常に実用的な実用書でしたが、本書は多分に宗教的、心理学的な精神論という感じです。

著者の関心が実務から離れ、日常生活よりも人の生き方やあり方に興味が移ってしまったような気がします。

悪くはないのですが、なぜか心に引っかかりませんでした。

2016年11月16日水曜日

1044.「コンビニ店長の残酷日記」 三宮貞雄

著者は、コンビニエンス・ストアのオーナーです。
会社員を辞めてオーナーとなり、6年目です。
文章を読んで分かるように、非常に聡明な方のようです。

それなのに、なぜ、コンビニのオーナーになってしまったのか。割増退職金に浮かれて、詳細に調査することを忘れてしまったのでしょうか。

本書では、オーナーの実体と苦悩がよく分かります。
売っても売っても儲かるのは本部ばかりで、オーナーの利益にならない恐ろしい仕組み。ここまで知っていたら、決してオーナーにならなかったでしょう。

苦労ばかりが24時間、365日続く無限地獄のようでした。



2016年11月15日火曜日

1043.「ギンイロノウタ 」 村田 沙耶香

無邪気な母と手放しで母を可愛がる父。
そんな家庭で育ち、子供の頃のトイレでの恐ろしい体験のトラウマから、次々と男と関係を持つようになった誉。

対人依存症の母と自分勝手な父。
そんな家庭で育ち、子供の頃のアニメで見た性的なシーンから、男に躰を安く売ろうとする有里。

一見すると普通の家庭に見えるのだが、親からの日々の圧力により、2人の心を歪めていきます。

その歪みが自分自身に向かい、おかしな行動に突き動かし、最後にはこらえ切れず爆発します。

思春期の危うさを描いた作品です。

2016年11月14日月曜日

1042.「問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論」 エマニュエル・トッド、 堀 茂樹

「問題は英国ではない、EUなのだ」というタイトルですが、現在のEUにしたのは、ドイツだと言っているので、本当は、「問題は英国ではない、ドイツなのだ」と言いたかったのだと思います。

英国がブレグジットを選択したのは、ドイツに支配されているEUからの離脱であるといいます。
ドイツは、この仕組から離脱し、新たに欧州北部で経済圏を確立しようとしていると予測しています。

さらに、今後20年は欧州が瓦解する時代になると予言しています。

中国については、今の繁栄は中国の指導者が選択したものではなく、外国の資本家によって作られたものでは、早晩崩壊するとしています。

これに対して、日本は軍事力を強化し、科学面、経済面でも常に中国に先行すべきだとします。過去の日本の軍国化は欧米諸国と同じことをしただけであり、過去から決別すべきだといいます。現在、軍事力を増強しても防衛力の範囲を超えることはないからです。

そして、米国との安全保障を強化するとともに、ロシアとも協力して中国に対峙すべきとしています。

非常に示唆に富んだ一冊でした。

2016年11月10日木曜日

1041.「悩みどころと逃げどころ」 ちきりん、 梅原 大吾

著者2人の学校教育に関する対談本です。

学歴に対して、梅原氏は「ないと差別される」という観点、ちきりん氏は「あっても生きがいと無関係」という観点で話しているので、話しが噛み合いません。

ちきりん氏は、「学校なんて行く価値がない」と主張しますが、自身が高学歴で学歴がない者が社会でいかに悲惨な環境に置かれるかが理解できないため、強者の奢りのように聞こえます。

梅原氏は、「黒板をきれいにしなさい」と言われると理由が分からないから反発するそうです。しかし、「トイレが汚いことは嫌い」とのこと。では、「トイレをきれいにしなさい」と言われることはどうなのでしょうか。これらは躾の問題なので、いちいち理由など説明せず、やっているうちに汚い黒板やトイレは嫌だという感性を身に着けさせているのではないでしょうか。

何度も読むことを止めようかと思いましたが、何か別の有益な話があるかもしれないと思い、読み続けました。しかし、ほとんど学校教育の批判に終わったように感じました。

4年に亘る対談をまとめた本らしいのですが、4年間も学校教育を批判し続けたことに何か意味はあったのでしょうか。

2016年11月9日水曜日

1040.「水鏡推理2 インパクトファクター」 松岡 圭祐

まだ記憶に新しいSTAP細胞をモチーフにしてミステリーです。

大学院生の如月智美は、切断されても傷口がくっつき自然治癒する血管、FOV人工血管を発明したとして著名な科学雑誌に論文が掲載されます。

新しいヒロインの誕生に日本中が沸き立ちます。

しかし、智美の部屋から実験ノートが盗まれ、さらには論文のデータの不備から発明の捏造疑惑が沸き起こります。

智美の幼馴染みでもある、文部科学省の一般事務員、不正研究調査チームの水鏡瑞希は、友人の窮地を救うべくこの謎に挑みます。

STAP細胞の問題について、著者なりの観点から見た解釈が斬新でした。


2016年11月8日火曜日

1039.「あなたも国際政治を予測できる! 最強兵器としての地政学」 藤井 厳喜

世界史のような地政学の本が多い中、しっかりと地理から地政学を語った正当な地政学の本です。地図を多用し分かりやすく書かれており、地政学の入門書として最適です。

世界地図から一部分を切り取り、その国から見た地理の向きに変えているため、見慣れた地図が一変します。すると、日本人が持っているパラダイムが変換され、その国の視点から各国独自の状況が分かります。

ロシアがなぜクリミア半島を併合したのか、中国がなぜ東シナ海と南シナ海にこだわるのか、台湾がなぜ中国にとって重要な位置を占めるのかなど、地政学的に理解することができます。

本来、シーパワーの国である日本が、協力な陸軍を持ったために大陸に引きずり込まれ、敗戦したということが納得できました。

韓国の緩衝地帯としての満州に進出する原因となった韓国併合が一番の敗因だと思います。そして、ロシアと中国からの緩衝地帯である韓国を独立させることが得策であったのですが、併合してしまったために、現在の日本の権益に敵対する富と1000年消えることのない恨みを買うことになってしまいました。

シーパワー国である日本は、ランドパワー国である中国と韓国とは水と油で決して交わることはりません。政治、経済面で深入りすることなく、海軍を強化して、領土防衛に務めるべきと思いました。

2016年11月7日月曜日

1038.「言ってはいけない 残酷すぎる真実」 橘 玲

問題行動や社会の格差について、環境ではなく、遺伝子と進化が原因としています。

社会一般には、これらの原因を環境に求めるので、「言ってはいけない」というタイトルがついているようです。

例えば、パーソナリティ障害は育った環境の問題と考えられがちですが、パーソナリティ障害の両親の子供の8割がパーソナリティ障害となるという、認めたくない真実を明かしています。

美貌は収入に影響する、頭の良さは遺伝、レイプが進化をもたらすなど、眉をひそめるような内容が沢山記載されています。



2016年11月4日金曜日

1037.「モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い」 福田 ますみ

長野県の丸子実業高等学校で1年生の男子生徒が自殺しました。
母親は、いじめによる自殺として校長などを殺人容疑で告訴しました。
マスコミにも大きく取り上げられ、大きな事件となります。
しかし、その真相は・・・

まさに、モンスター。ここまで酷い人間が存在することが信じられません。こういう人間に狙われたらたまったものではありません。

そして、こういう人間の話しを鵜呑みにした、県会議員、弁護士、ジャーナリストにも大きな責任があると思います。

マスコミは話を面白くするために、検証もせずに一方の話だけ取り上げ、狙った人間の一瞬の表情だけを切り取って視聴者の心証を操作します。

その結果、視聴者は、学校側がイジメを隠蔽したために起こった自殺という印象を持ちます。

後の裁判で、いじめ自殺ではなく、母親の虐待による自殺と分かりましたが、マスコミによって作られた印象は消えず、学校関係者の汚名は晴れていないものと思います。

2016年11月2日水曜日

1036.「地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図」 ロバート・D・カプラン、 奥山真司

これぞ地政学といった内容の本です。

世界史からのアプローチではなく、地理からのアプローチでこれまで起きてきた国家間の紛争や、今後の予測が書かれています。

なぜ、同じイスラム教ながらスンニ派よりシーア派が優位を保ち、イランが無視できない勢力を保っているのかが説明されています。

中国についても一章が割かれ、黄禍の危険性を警告しています。
農業に適した気候と豊富な資源、そしてロシアにはない海への出口を持っていながら、世界人口の5分の1を占める人民を養うために、領土を拡大し続けるというものです。

中国の記載について不満に思ったのは、中国の古来から継続する一つの国家であり、その版図を清のときのものとしていることです。中国は単なる場所であり、そこを漢民族、女真族、モンゴル族が交互に支配していたので、現在、中国が主張する領土は決して古来からの漢民族の領土ではないからです。

本書の結論としては、今後の世界はアメリカが優位を保ちつつも、混沌となって紛争的になるということでした。

2016年11月1日火曜日

1035.「円安待望論の罠」 野口 悠紀雄

円高が日本経済を救うという考えが幻想であると分からせてくれます。

2012年からの円安で、製造大企業の円換算による売上高は増加し、人件費は変わらなかったため、利益も増大しました。

しかし、製造業全体では、売上数が増加しなかったため、中小企業の利益は増えませんでした。

つまり、現在の日本の産業構造では、円安になっても輸出量が増加しないということです。理由は、日本製品がコモディティ化してしまったから。

著者は、貿易立国モデルは捨て、製造業ではなく、先進的サービス産業を目指すべきだと主張します。そのためには、アップル社のように企業はファブレス化し、国内に製造工場を持つべきではないと言います。

つまりは、かつての日本型、今の中国型を追わず、アメリカ型の先進的サービス産業を目指すべきということです。

それにより確かに、GDPは拡大するかもしれません。しかし、雇用の場が増えないために貧富の差が広がるものと思われます。全ての人が先進的サービス産業で働ける能力を持っているわけではないからです。

そうなると、アメリカのように一部の人に富が集まり、それ以外の人の不満をごまかすために、フードスタンプといった、カフェテリア型社会福祉が導入されるかもしれません。