2017年8月31日木曜日

1311.「センスは知識からはじまる」 水野 学

企業の新商品開発で一般的に行われている市場調査を否定しています。市場調査では、悪目立ちするものが注目されることと、新しい可能性を潰してしまうことからです。

著者は、デザインによる商品開発を勧めています。そのためには、経営者がクリエイティブディレクターとなるか、外部の人間がクリエイティブディレクターになるか、企業内にデザイン特区を作るかといった方法があります。

そして、個人がセンスを良くするには、センスを磨く努力をすることです。センスをよくするには「普通」という感覚を得ることで、その感覚が得られるとデザインのいい/悪いがわかるようになります。そして「普通」を知る唯一の方法が知識を得ることです。

本書では知識を得るためのトレーニング法も紹介されております。デザインを経営に活かすうえで、非常に参考になる本です。

2017年8月30日水曜日

1310.「米中激突 戦争か取引か」 陳破空

タイトルは煽りすぎです。期待していたほど、目新しい情報は書かれていませんでした。

評論家の言っていることに少し中国のネットユーザーの発言を加えた内容です。

また、本書が書かれた当時の状況は、アメリカがロシアに接近して中国に圧力をかけるという構図でした。

しかし、現在では、ロシアのトランプ政権への工作によるロシア離れと、北朝鮮の度重なる挑発により中国の協力が必要となったことによる中国への寛容可で状況が変わってしまいました。

北朝鮮問題が解決するまで、米中激突は起こらないと思います。

2017年8月29日火曜日

1309.「十二人の死にたい子どもたち」 冲方 丁

12人の死にたい子どもたちがネットの募集に応募して、全員で自殺するために、閉鎖された病院に集まります。

ところが部屋に集まってみると、12人のはずが13人います。それでも自殺しようとする意見が大半の中、1人が疑問を呈して・・・

「12人の怒れる男たち」もモチーフにしたような設定です。

13人目の子どもがなぜ存在するのかを話しているうちに、死というものに向き合っていきます。

病院内の状況把握で混乱するものの、引き込まれるお話です。

2017年8月28日月曜日

1308.「借りたら返すな! ―――いちばん得する! 儲かる会社に変わるお金の借り方・残し方」 大久保 圭太

どうすれば会社を潰さずに、儲かる会社に変えることができるか?

その答えは、「会社に”お金”があればいい。それだけ。」だそうです。

「投資は小さく、回収は早く、調達は大きくする。」と会社は伸びていき、儲かるようになります。

会社が潰れるのは、現預金が「底を突いた」ときだけだそうです。だから、お金を借りられるだけ借りることからスタートです。

そして、節税はせず納税をすることで純資産を厚くし、調達力を上げていけば、売上も伸びていきます。

特に、ベンチャー企業や中小企業の経営者に有益な本だと思いました。

2017年8月24日木曜日

1307.「「小池劇場」が日本を滅ぼす」 有本 香

「やばいわ、小池劇場」という感想です。

豊洲市場への移転延期で既に100億円の損失が発生し、東京オリンピックの整備は環状2号線を始めとして当初案の完成は絶望的となりました。

そして、豊洲市場の入札から不正は発見できず、安全面でも築地より安全という結果がでてしまいました。

政治闘争目的で火のないところに煙を立てて、そのプロパンガスにマスコミも乗ってしまいました。しかし、本書で明かされているような内容はマスメディアでは一切取り上げられません。

「企業などの民間組織にもたまにいるでしょ。基本業務を十分に理解しこなす能力がないのに、目立つことばかりやりたがり、上司へのアピールだけは得意なタイプ。(中略)そういう「困ったちゃん」が東京知事になったということ」

おいおい、そんな知事じゃ本当に困っちゃうんだけど・・・


2017年8月23日水曜日

1306.「朝鮮大学校研究」 産経新聞取材班

武蔵野の静かな土地に北朝鮮の戦士を養成する高等教育機関があることを初めて知りました。

全寮制のこの大学の12の学部のうち、政経学部は朝鮮総連の幹部養成コースで、理工学部は核開発の研究者養成コースであることが疑われています。

朝鮮学校⇒朝鮮大学⇒朝鮮総連コミュニティー内での就職⇒朝鮮学校への生徒斡旋という「自己完結型」「再生産」のシステムが出来上がっています。

1972年には、北朝鮮本国の指示により、現役朝大生200人が金日成の還暦祝いの貢物として北朝鮮へ送られ、日本には帰ってきませんでした。

しかし、朝鮮学校から日本の大学への進学の道が開かれ、在日コリアンの日本企業への就職も増加し、在日コリアン3世・4世の気質が変化するにつれ、朝鮮大学の学生もピークの1500人から1220人の定員の半数を割る600人へと激減しました。

在日コリアン約50万人のうち、朝鮮籍者は約3万4000人しかいなくなりました。小池都知事の朝鮮大学の認可見直しの可能性もあり、北朝鮮戦士の養成機関が消滅する日も遠くないと思いました。

2017年8月22日火曜日

1305.「ほんとうの憲法: 戦後日本憲法学批判」 篠田 英朗

日本国憲法に対する憲法学者と国際法学者の論争が中心に描かれています。どういった論争を経て現在に到っているかが分かります。

憲法学者の主力は殆ど東京大学法学部出身で、宮沢俊義教授の弟子達です。この方は自衛隊も集団的自衛権も違憲との教えなので、安保法制改正のときの憲法学者は殆ど違憲との見解を示しました。

国際法学者は条約と憲法では条約が優先されると考えるので、憲法9条より国連憲章51条を上位に考え、国連憲章51条で認められている集団的自衛権は憲法9条の拘束を受けないと見解を示します。

私は、国際法学者の考えに賛成です。

ただ、本書からは日本国憲法の本質は見えませんでした。
それは、結局、日本国憲法はアメリカの若者が色々な憲法や憲章からコピペして作ったものなので、日本の国体に沿ったものではなく、統一した思想がないと思われるからです。

そして、翻訳もぎこちないため、条文に解釈の余地が与えられています。そのため、自衛隊にしても合憲なのか、違憲なのか意見が分かれてしまうからです。

疑義を生まない明快な憲法に改正すべきだと思いました。

2017年8月21日月曜日

1304.「牛丼並盛380円で香港へ!? 初心者でもOK 知っている人だけ得をする格安航空会社のバイブル LCCスタイル」 五十嵐 貴文

「牛丼並盛380円で香港へ」行けるチケットもまれにあるということなので、タイトルは単なる客引きです。そういうノウハウが紹介されているわけではありません。

本書の内容は、LLC各社の比較解説です。
座席の広さ、荷物預かり、有料機内食の評価など、知っておくと役に立つ情報が記載されています。

韓国、台湾、中国へのフライトがメインになります。
韓国と中国に行く気が起きない私には、役立ち度半分といった感じでした。

2017年8月18日金曜日

1303.「日本の真実50問50答 わかりやすい保守のドリル」 和田政宗

現在、日本で議論されている問題を50題取り上げ、分かりやすく解説しています。

保守は「明日を今日よりも豊かにして、豊かになった分を分配しよう」というところから考え、革新は「今得られるものを平等に分配しよう」というところから考えるという説明で、両者の違いが明確になりました。

また、女性天皇は「女性の天皇」で、女系天皇は「母方の血統を持つ天皇」という違いも分かりました。この両者を混同するので、「女性の天皇を認めないのか!!」というエキセントリックな主張が生まれます。

持統天皇の例にあるように、女性でも天皇になれますが、天皇あるいは男系皇族の血を引いた方という制限があるのです。これは古来から天皇家が守ってきた決まりなので、皇民が決めることではないと思います。

日本の論点を理解するために、しっかり読むべき本と思いました。

2017年8月17日木曜日

1302.「日本人の道徳心」 渡部 昇一

本書は、大東亜戦争以前に日本の学校で教えられていた「修身」の授業の教科書から42テーマを抽出し、著者が解説しています。

「修身」は、明治天皇が発布した教育勅語を基にしています。

現在では、「教育勅語」と「修身」は、軍国主義に向かわせた偏向教育のように扱われています。しかし、実際に読んでみると、そんな洗脳するような内容ではなく、人間として守るべき躾が書かれています。幼少期にこういう教育を受けたからこそ、日本人の美徳である道徳心が培われたように感じました。

しかし、こういった日本人の特質が戦争での協調性、自己犠牲心といった強みに繋がったと考えたGHQにより、「修身」教育は禁止されました。日本の偉人を題材に人としてのあり方を教えたことが日本人であることの誇りと母国愛の根源であることを見抜いたのでしょう。

そして、WGIP(War Guilt Information Program)により、日本人であることの誇りと道徳心が失われ、自虐史観と西洋人への劣等感を植え込まれたのです。

まだ、日本の風土に日本人たる美徳が残っているうちに「修身」を見直し、日本人としての誇りと道徳心を取り戻したいと思いました。



2017年8月16日水曜日

1301.「フェラーリはクラウンよりも安かった! 3億円つかってわかった資産のつくり方」 鬼頭 宏昌

お金の貯め方とか、収入の増やし方とかいった話ではなく、「お金を使うことで」で資産を作るという面白い発想の本です。

具体的には、買った時より、売った時の方が価格が上がるような資産(不動産、車、時計、絵画)を購入することです。

そういう不動産を買った場合には、銀行への返済は貯金のようなものですし、車はタダで使えることもあるし、絵画も無料で楽しめるということです。

そのためには、目利きになることが重要で、特定の分野を絞って研究することが必要です。

さらに最高の蓄財は、起業してバイアウトすることだそうです。

面白い資産形成の本です。

2017年8月15日火曜日

1300.「なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉」 筒井 美希

タイトル通り本当に「なるほど」と思いました。

一つの表現物のように見ているデザインですが、様々な構成要素が巧みに組み合わさっています。

一つ一つの手法をマスターするだけでも大変なのにそれらを組み合わせることは至難の業。そしてその組み合わせにデザイナー個人個人の感性が反映され、かつ、見る人の心を動かさなくてはなりません。

デザイナーの仕事ってすごく高度な作業だと思いました。

本書はデザイナーでなくても読むことで、日頃目にするデザインの仕組みが分かります。

そして、本書に描かれている美しいものを見るだけでも、心地よくなります。

デザインの仕事に従事している人は手元に置いて参照するのが最適と思いました。

2017年8月14日月曜日

1209.「米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体」 ケント・ギルバート

日本国憲法に関する様々な論点に対する見解が非常によくまとまっています。また、外国人から見た日本国憲法なので、その意見は客観性が高いです。

まず、日本国憲法はGHQによって作られたことが明言されます。憲法の専門家が殆どいない若者達によって、たった7日間で作られました。しかもその行為は、占領下での憲法改正を禁止するハーグ陸戦条約違反です。

その目的は、日本が未来永劫、米国に逆らえないように戦争と武力を放棄するという縛りを作りました。それが憲法9条です。その代わりに日本の安全は米国が守るという考えでした。第二次世界大戦終戦時は、米国一強状態だったのでその奢りがあったと思います。

しかし、実はソ連は米国に敵対していたことが明らかになり、朝鮮戦争が起こるやいなや、コミンテルンに支配されていた中共も敵対国であることが分かります。東アジアが共産化しそうになって、慌てて日本に再軍備を求めますが9条によって軍隊を持てません。そこでマッカーサーが9条の解釈を変えて、自衛隊の前身である警察予備隊を創設させました。

つまり、9条2項はマッカーサーにより自衛のための軍隊は保有できると解釈されています。ただ、文言解釈で見解が分かれ、論争となってしまいます。

アメリカが一強だった時代はとうに終わり、日本の横には海洋進出による領土拡大を図る軍事大国と、ミサイルを乱射しながら核開発を完了させつつある王朝国家があります。日本には憲法9条があるから、その平和を愛する精神を尊重して戦争を仕掛けてこないという考えもありますが、それが真実ならば拉致被害者は全員帰国しているはずですし、尖閣諸島の領海に侵入することもないはずです。

早急に憲法を改正し、現実に起こりつつある危機に備えるべきだと思いました。

2017年8月10日木曜日

1208.「傷だらけのカミーユ」 ピエール・ルメートル

「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」に続く、カミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作の完結編です。

カミーユの恋人のアンヌが偶然目撃した強盗犯に命を狙われる3日間を描きます。

アンヌが宝石強盗に巻き込まれ、重傷を追います。顔を見られた強盗犯はアンヌの口を塞ごうと執拗に付け回します。

なぜ犯人にアンヌの逃亡先が分かってしまうのか?
強盗事件に隠された本当の狙いは?

途中まで強盗事件と見えていた出来事が、後半、全く違う様相を見せていきます。

読了後に、また、最初から読み返して伏線を確認したくなる秀作です。

2017年8月9日水曜日

1207.「人生は「口ぐせ」でまるごと変えられる。」 野口健幸

「いい言葉を使うと、いい事が起こります」という内容の本はけっこうあります。

本書は、いい言葉を使うと、なぜいい事が起こるのか、その理由を教えてくれるので説得力があります。

そして、さらにいい言葉を使う具体的な方法として、「感謝日記」と「未来日記」を紹介しています。

簡単に言えば、「感謝日記」で気づく人になり、「未来日記」で夢を引き寄せるようです。よく気づく人が夢にフォーカスしていけば、短期間で人生が変わりそうです。

「成功したから遊ぶのではなく、思い切り遊ぶから成功するのだ」という言葉は、ある種真実だそうです。遊ぶことにより、会議室に閉じこもっていたのでは浮かばない優れたアイデアが浮かんでくるというのも納得できる理由です。

色々と参考になるヒントに富んだ本です。

2017年8月8日火曜日

1206.「50歳から人生を大逆転」 心屋 仁之助

50歳からもっと幸せで、もっと自分らしく、ラクに生きていくコツは、
「迷惑ババア、クソジジイになって、わがままに生きること」。

いいですね~。僕もクソジジイになろうと思っていたので、同感です。人の目を気にすると窮屈なので、勝手なことをやったクソジジイと思われてもいいと考えると、とても楽になります。

「好きなことをする→お金に困らない」という考え方は、すぐには腹に落ちませんでした。
しかし、振り返ってみると、去年から行きたかった外国へ行こうと行動したところ出資者が現れ、ジュネーブ、バルセロナ、台北、メキシコ・シティと1年間に4回も海外へ行くことができました。そうするとこの考え方も再現性があるのかなとも思えてきました。

もっと、好きなことの実現を増やしていこうと思います。

2017年8月7日月曜日

1205.「宿命と真実の炎」 貫井 徳郎

第23回(2010年) 山本周五郎賞受賞「後悔と真実の色」の続編です。

「後悔と真実の色」を読んだのですが、もう7年も前なので内容は忘れてしまいました。ただ、内容を忘れていても、本作は充分に楽しめます。

最初から犯人は分かっているのに、最後まで犯人を特定できないという構成になっています。素晴らしい筆力です。

様々な人物がそれぞれの人生を背負っていることを完結な文章で伝えています。次々起こる出来事をどんどん差し込みながらも話を混乱させることなく転換させることでスピード感を生み出しています。

最後まで予想を裏切る展開で一息に読み切りました。