2022年1月3日月曜日

1517.「国宝 (下) 花道篇」 吉田 修一

喜久雄は年々円熟味を増し、名声を高めていく。

ライバルの不運、大先輩の死により、競い合い、教わっていく相手がいなくなるが、それでも自分に負荷をかけ、やがて孤高の存在となっていく。

成長と挫折を越え栄光にたどり着きながら、人間の宿命である老いが喜久雄の体と精神を蝕んでいく。

歌舞伎を舞台にした一大抒情詩。

人間の浮き沈みをとても深く体感でき、人生の儚さを自分にも引き寄せて読める名著です。

2022年1月2日日曜日

1516.「売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密」 木下 勝寿

著者がリクルートで働いていたと知り、自分もリクルートで働いていたので親近感を覚えました。

最初は小さな事業でも、存続し続けていけば、自分で狙った事業でなくてもたまたま手掛けた事業で大きく転換していくということをここでも確信できました。

泳ぎ方を知らずにまず海に飛び込み、実体験で泳ぎ方を覚える勇気が起業家には必要なようです。著者は大成功しましたが、溺れた人も沢山いるはずです。

著者は実体験を組織化する能力に長けていると思いました。

2022年1月1日土曜日

1515.「高校事変 IV 」 松岡 圭祐

舞台は高校。1巻と似た設定ですが、今回は敵のアジトです。敵は武蔵小杉高校での事件を研究しているため、武器に転用できる薬品や器具が片付けられてしまっています。

そのため、武器の戦いではなく、肉体の戦いで、テッキョン、テコンドー、クラブマガ、システマといった世界各国の武術が数多く登場します。

1巻と3巻の複線をうまく拾いつつ、次巻以降にもつながる話で中だるみしないシリーズです。