2013年12月4日水曜日

185.「職業は武装解除」 瀬谷ルミ子

著者は、女性でありながらも世界の紛争地で武装解除プログラムを実施されている方です。

ご専門は、DDR。すなわち、
Disarmament:兵士の武装解除
Demobilization:動員解除
Reintegration:社会復帰
です。

子どもを洗脳し、軍のいいなりになる都合に良い「兵士」とするため、上官は誘拐した子どもを脅して自分の住んでいた村を焼き打ちさせたり、親や教師を殺害させたりする。こうすることで、子どもたちは帰る場所がなくなり、軍で過ごす以外居場所がなくなる。

小説「ジェノサイド」では少年が母親を犯し、映画「魔女と呼ばれた少女」では少女が両親を射殺する描写が描かれています。信じられないような話ですが、実際に行われているようで悲しくなります。

和平合意の際は、武装勢力が武器を手放して兵士を辞めることと引き換えに無罪にすると明記される。シエラレオネでも兵士たちは恩赦を与えられ、経済的に不満を抱かないよう一般市民として生きるために手に職をつける権利を得た。
一方で、家族を失ったり、身体に障害が残ったり、家を失い避難民となっている「被害者」に同じレベルの恩恵が行き渡ることはめったにない。加害者の人数と比べて被害者の数が圧倒的に多いからだ。
シエラレオネでも最終的に武装解除された兵士の数が7万2,000人ほどであるのに対して、死者数は推定5万人、被害者数はおよそ50万人である。

加害者が優遇され、被害者が何の補償も受けない現実にショックを受けました。武装解除させるために、加害者側に恩赦が与えれれるというのは、言われてみれば、そうしなければ解除に応じないので、必要です。しかし、その一方で、腕を切り落とされて仕事もできない加害者に対して、何らの補償もないことは、やるせなさを感じます。
まずは、加害者側に武装解除させ、平和を取り戻し、政治を安定させて、経済を発展させる。その上で被害者を救済するということにせざるを得ないのでしょうか?

「日本では、最近、婚活っていうのが流行っているんだよ。ちなみにソマリアの恋愛市場で人気のある男性ってどんなタイプ?」
「ソマリアで人気がある男性は・・・・・・国連職員か、海賊かな。」

海賊が結婚相手として憧れるの対象であるとは想像もつかず、ビックリしました。ソマリアの海賊と言えば、貧しい生活を送る元漁師と思っていたからです。しかし、現在では、他の職種より稼げるようで女性に人気があるようです。稼げるし女性にもてるということであれば、漁師以外からも希望者集まるため、いくら海賊を捕まえても、根絶やしにできないということでしょうか。


(青字部分は本書からの引用です。)