2018年5月31日木曜日

M12.「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」

一作目も面白かったのですが、二作目は更に面白いです。

キック・アスが有名になったことで、彼を倒して名を成そうとする若者が増えていきます。1人で対応できなくなったキック・アスは、大佐のグループ「ジャスティス・フォーエバー」に加わります。

一方、キック・アスの頼れる味方だったヒット・ガールは普通の高校生となり、ヒット・ガールを封印します。

一作目で父を殺されたレッドミストがキック・アスを殺すために、マザーファッカーと名を変え、殺し屋を集めて犯罪グループを作ります。マザーファッカーは街でテロを起こすと、警察はコスチュームしている人間を一斉検挙します。

キック・アスの運命はいかに・・・

エロ、グロ、殺人満載のとんでもなく不道徳ですが、スピード感にあふれ笑える映画です。

1233.「「感謝! 」言うてたら、ホンマに儲かりまっせ!」 横山 信治

お金儲けに関する具体的方法というより、精神の持ち方という内容です。

「お金が欲しい」と言葉にする
「ありがとう」など前向きな言葉を使う
お金を得たら何したいか文字化する
アウトプットする
お金の本を読む
他人と違うことをする

他の人の本にも書かれている内容ですが、様々な人が述べているので真実なのだろうなと思いました。


2018年5月30日水曜日

M11.「祈りの幕が下りる時」

ドラマ「新参者」シリーズの完結編です。

小菅のアパートで中年女性の腐乱死体が発見されます。女性は舞台演出家の浅居を訪ねて上京していました。

アパートの住人越川睦夫も行方がわかりません。アパートには日本橋周辺の12の橋の名が記載されたカレンダーがありました。

その12の橋の名は、加賀の失踪して死亡した母の部屋のカレンダーにも記されていました。母と殺人事件との関係は?

加賀の失踪した母と浅居の凄惨な幼少時代、暗い過去が重なり合って生まれた悲劇です。

1232.「寄生難民」 坂東忠信

「寄生難民」というのは、聞き慣れない言葉です。

著者は、本来は難民ではないのに難民を名乗る「自称難民」のうち、本当は自分で生きていける人を「偽装難民」と呼びます。

「偽装難民」のうち、助けてもらった国に同化しようとせず「私達の文化を尊重せよ」と叫び、生活保護などを悪用する人を「寄生難民」と呼んでいます。

平成28年に初回申請した難民申請者10,901人中、本当の難民と思われるのはたったの152人(1.4%)でした。あとは自称難民と思われます。

「難民」と言われれば諸手を挙げて助けないと、人格を疑われてしまう風潮のなか、これに異を唱えることは本当に勇気がいります。

しかし、本当の難民にはしっかりと援助する一方、自称難民には帰国していただく強い姿勢が必要だと感じました。

2018年5月29日火曜日

1231.「時のみぞ知る〈下〉―クリフトン年代記〈第1部〉」 ジェフリー アーチャー

ハリーは親友ジャイルズの妹エマと恋に落ちます。お互いの家族に内緒で劇の主役を演じる二人。

しかし、エマの父ヒューゴは、二人が主演した劇を途中で席たってしまいます。ヒューゴは、ハリーを嫌う理由を家族に話さざるを得なくなり、自分がハリーの父アーサーを見殺しにしたことでハリーに罪悪感を抱いていることを告げます。

一方、オックスフォード大学に合格したハリーは、合格の一方を伝えようと母の職場であるホテルを尋ねますが母は2年前にホテルを退職したと告げられます。母の現在の職場を探し当てるとそこは・・・

ハリーは、栄誉の戦死をしたと信じていた父の死の真実と、ウエイトレスで自分を学校に行かせてくれていたと信じていた母の仕事の真実に心底打ちのめされます。しかし、エマの励ましにより、何とか立ち直ることができました。

ハリーは精神的に支えてくれたエマと結婚することになり、二人は幸せに包まれた結婚式を迎えます。しかし、結婚式の最中に、父の死と母の職業を遥かに超える衝撃的な事実を知らされた二人は・・・

どれだけ、読者を驚かせるんだという第一部後編。

読みだしたら止まりません。しかも、最後はまた、ショックな展開で終わってしまい、第二部を早く読みたくて仕方ない気持ちにさせます。

2018年5月28日月曜日

1230.「習近平の悲劇」 矢板明夫

終身国家主席を可能として習近平が体制を盤石にしたと思っていました。

しかし、2017年10月に開かれた党大会では、習近平が狙っていた6つの目標は2勝3敗1分で、勝率は4割だったそうです。

決して、習近平が中国共産党を完全に把握したわけではなく、まだ、反対勢力との争いは続いているようです。

あまり、タイトルの「悲劇」は感じませんでした。

習近平は国家主席ほどの能力も実力もなく、経済政策も失敗したため、南シナ海、台湾、尖閣諸島のいずれかを占領して名を上げようとしているようです。

このなかで、無人島である尖閣諸島の占領が最もたやすいため、早期の対策が必要です。

2018年5月23日水曜日

M10.「ゴッドファーザー PartII」

3時間22分の長大作で、途中で休憩が入りますが、最後まで惹きつけられました。

シチリア島でマフィアのボスに両親と兄を殺され、自分も殺される寸前に逃げ出したビト。命からがらニューヨークにたどり着きます。

真面目に働くうちに徐々に仲間たちの信頼を得て、イタリア人グループのリーダーになっていきます。

その話と、ビトから組織を引き継いだマイケルの話が織り交ぜられていきます。マイケルは、父の世代のマフィアに舐められながらも組織を守っていきます。

そして、マイケルの中で妻や兄よりも組織の存在が大きくなり、兄のマイケルに対する嫉妬や妻のマイケルの仕事に対する不満が大きくなっていきます。

そして遂には悲劇を生み出すことに・・・

時代を経ても全く古びることのない名作です。

2018年5月18日金曜日

M9.「シャーロック・ホームズ」

シャーロック・ホームズといえば、パイプを加えて鋭い洞察力で推理するというイメージです。

この作品は、いきなり、ホームズのアクションシーンから始まります。このホームズは格闘技に長けているのです。筋肉質の肉体で、時に賭けボクシングにも出場します。

映画全体として、ハリーポッターと鋼の錬金術師とルパン三世を足して3で割ったような感じです。

ワトソンも忠実な相棒ではなく、腕っぷしが強くて、ホームズによく逆らいます。

テンポのいいアクションがロンドンの風景をバックに繰り広げられる、面白い娯楽映画です。

M8.「マンマ・ミーア!」

ミュージカルの名作なので、美しい話かと思いきや、結構アバズレな話でした。

結婚式を明日に控えたソフィは、母のドナと二人暮らし。ドナは、ギリシャの小さな島でホテルを経営しています。

ソフィには父親がいませんが、実はドナが同時期に3人の男とセックスしたため、誰が父親なのかわからないのです。

母の日記からそのことを知ったソフィは、3人を自分の結婚式に呼ぶという滅茶苦茶な話です。

島には、頭の悪そうな島民しかおらず、一日中適当に仕事をして異性を追いかけ回して暮らしています。

このトンデモナイ状況をとても美しい風景とアバなどのノリの良い歌に合わせたダンスで綺麗な話に仕上げています。

一番のテーマは、母の子離れ、娘の母離れでしょうか。

テンポよく最後まで楽しめましたが、「う~ん、それでいいの?」と思える内容でした。



1229.「男の!ヤバすぎバイト列伝」 掟 ポルシェ

掟ポルシェがニューウェーブバンド「ロマンポルシェ。」の説教担当としてデビューする前の話です。中学生の頃の新聞配達に始まるアルバイトを語っています。

が、美しい苦学生の話では全くありません。遊ぶ金欲しさにバイトをするものの、遅刻の常習で、仕事は手を抜きまくり、嫌になったら無断欠勤。そのくせ、最後のバイト代を振り込めと直接会話しないようにハガキを送りつけます。

大学卒業後、雑誌社の正社員となりますが4ヶ月で退社。その後も、バイトで食いつなぎ、女子プロ観戦、シンセサイザー購入、パチンコのために丸井などのカード会社3社から借りまくり、全く首が回らない状況に。

ここまで、いい加減で無軌道に暮らしてきても、行きてこれたんだと驚きました。何とか生き延びて、ライターや音楽で生活できるようになり、借金は弁護士に整理してもらって(過払い金請求か?)バイトにからは足を洗ったそうです。

「無駄だと思える偏狭な趣味ほど後で生きてくる」という若者へのアドバイスが、正しいような、少し違ってるような・・・



2018年5月17日木曜日

1228.「じっと手を見る」 窪 美澄

生殖の時期ゆえに本能的にセックスを求める若者と、生殖の時期を過ぎ自分の肉体すら管理できなくなった老人を、介護という仕事を通して対比しています。

「人はいつか死ぬのになんで生まれてくるの?」という根源的な疑問。

それに対して「死に近づいていく人たちの世話をして、それを換金し生きる糧を得ていく。」という介護職を通して、人間の逃れられない宿命を表わしているようです。

著者は、短編を組合せていく連作を書かせたら当代一の作家だと思います。

それぞれの短編で登場人物がそれぞれ主人公となりますが、全体を通して日奈が主人公となります。それぞれの登場人物の立場から語られる話によって日奈の半生が複層的に構築されます。

若い時の燃え上がるような欲望が枯れてしまったあと、男女に残るものは何かということを考えさせられる作品です。

2018年5月16日水曜日

1227.「西洋美術入門 絵画の見かた」 池上 英洋

私でも見たことがある有名な絵画について、事細かく説明してくれます。

絵画を見ているだけでも楽しいのですが、絵画に込められた暗示や視線を向けにくい部分に秘められた意味などを知れことができるので、さらに楽しいです。

同じモチーフから描かれた絵画同士を比較し、画家の解釈や画風によって、全く別の作品に仕上がっているのも面白いです。

2018年5月15日火曜日

M7.「フローズン・タイム」

美大4年生のベンは、彼女に激しく振られます。

ベンはそのショックで眠れなくなり、夜にすることがなくなったために、スーパーで夜勤のアルバイトを始めます。

ベンは不眠のせいか、時間を止められるようになり、スーパーにやって来た女性を裸にしては写生をするようになります。

スーパーは、エロ店長、やる気ない女性店員、イタズラ好きの男性店員とゲスばかり。

映画前半は、エロとイタズラばかりで面白いのですが、このくだらない内容が最後まで続くのかと思うとちょっとウンザリしてきます。

ところがラスト10分でいきなり展開が変わり、くだらなかった内容が意味を持ち始めます。

ラストは美しく終わり、最後まで見てよかったと満足しました。

1226.「時のみぞ知る〈上〉―クリフトン年代記〈第1部〉」 ジェフリー アーチャー

ハリーは、母、叔父そして祖父母と暮らしています。

父は失踪していますが、ハリーは戦死したと思い込まされています。

一家はとても貧しく、ハリーは初等学校を卒業したら働くしかありませんでした。

ところが、ハリーの類まれな歌唱力が見出され、聖歌学校へ奨学生として迎えられます。そこで、ジャイルズという親友を得るのですが・・・

序章でこの壮大な物語の種が蒔かれます。最初から話に引き込まれてしまいます。1920年代の英国の貴族と庶民の生活がうまく描かれています。

物語のスケールの大きさが感じられ、とにかく面白い作品です。


2018年5月14日月曜日

1225.「夫のちんぽが入らない」こだま

目を疑うタイトルです。

タイトルからは、自虐的な笑いの話かと思いましたが、シリアスなメンタルの話でした。

北海道のど田舎で育った著者は、地方の小都市にある大学に入学しました。ぼろアパートで後の夫と出会います。

初日から意気投合して付き合い始めますが、彼のちんぽが入らない。著者は高校時代に初体験をすませ、彼も童貞ではないのですが、2人がセックスすると女性器が裂けてしまい大出血。

それでも2人は結婚するのですが、入らないことが徐々に2人の関係を蝕んでいきます。

夫の風俗店通い、出産しないことへの周囲からのプレッシャー、妻のうつ病からのせックス依存症。

なかなか解決の糸口が見えない夫婦関係がどのようになっていくのか、考えさせられる本でした。

2018年5月11日金曜日

1224.「この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。」 小林エリコ

著者は短大を卒業するも、就活に苦戦し、やっとのことでエロ漫画雑誌の編集の職を得ます。

しかし、これがひどいブラック企業。

手取りは12万円で、社会保障費は支払わず、残業がとても多いのに残御代が出ませんでした。

著者はうつ病を発症するも、通院する気力も失われ、自殺を図ります。

会社を辞め、無職となり、うつ病に苦しみながら、生活保護で生きていくことに。

何とか生きては行けても、仕事がなく、社会とのつながりがないと、人間は自らの尊厳も失い、無気力になってしまいます。

苦しくなったら、生活保護を早く受けてゆっくりし、自分が興味があること、好きなことをあせらず見つけるのがよいのかなと思いました。


2018年5月10日木曜日

M5.「セブンティーン・アゲイン」

17歳のマイクはバスケットボールのスター選手。有名大学のスカウトが見に来た試合で普通にプレーすれば、その大学の奨学生として入学することが決まっていました。

しかし、試合直前、恋人のスカーレットから妊娠を告げられたマイクは試合に集中できず、試合途中でスカーレットを連れて逃げ出してしまいます。

20年後、37歳になったマイクは冴えないサラリーマン。娘からはバカにされ、息子からは本音を語ってもらえず、妻からは離婚の訴訟を提起されています。

大雨のある日、橋で老人を助けようとしたマイクは川に飲み込まれ、気がつくと17歳の青年に戻っていました。

「若返り」という割とありふれた設定ですが、エピソードなどがよく出来ているため、楽しく見れます。エンディングも予想通りですが面白い映画です。

1223.「日本の正しい未来 世界一豊かになる条件」 村上 尚己

中国の経済成長が6%を持続して日本のGDPを大きく引き離すという近未来小説にはあまり同意できませんでした。

アメリカがロシアゲートでトランプ政権が弱体化するという予測もCNNなどのプロパガンダと思っており、あまり信用できませんでした。

ただ、日本経済に対する見かたは同意できます。デフレは人口減少が要因ではありません。消費税増税が原因です。

財政赤字を日本の借金と呼ぶのは、財務省のプロパガンダであり、国債暴落をあおる評論家は多いですがその兆しは全くありません

安倍政権は、外交や雇用創出などで実績を上げています。ただ、経済面ではいい政策をあまり打てていないように思います。

消費税増税凍結か廃棄、PBバランス目標破棄、公共投資の増加により、国民の収入を増やすなどのデフレから脱却する政策を実施して欲しいです。

2018年5月9日水曜日

M4.「キック・アス」

デイブは、全くイケてない高校生。
勉強もダメ、スポーツもダメ、女の子とも話せないコミックオタク。

スーパーヒーローに憧れるデイブはインターネットで全身タイツを購入。
タイツに身を包み町をパトロールしていると、車泥棒に遭遇。
車泥棒に注意をすると、ナイフで腹を刺され重体に・・・

ここで改造されてスーパーヒーローに変身するのかと思いきや、単に手術を受け一命を取りとめるだけ。しかし、パトロールの様子がネットで流され、一躍ヒーローに。

そのことがキッカケでデイブの運命が変わり始めます。
結局、最後まで身体能力に変化はありませんが、ヘナチョコが勇気を出したことで仲間ができ、成長していく姿にワクワクします。

1222.「すべての仕事を3分で終わらせる――外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術」 岡田兵吾

業務効率化の本です。

「仕事圧縮」のためには、
1.量をこなす
2.時間を決める
3.型をつくる
4.型からはみ出たモノは自分でやらない
が基本になります。

具体的な方法として、
「枚数の多い精緻な資料はつくらない」
「仕事に優先順位をつけない」
「メールを読んだらその場その瞬間に返信する」
「メールや資料は1回しか読まず、読んだら破棄する」
「資料作りは参考資料をカスタマイズする」
という、有益なやり方を紹介しています。

後半のMECEやロジック・ツリーなどは、マッキンゼー出身のコンサルタントが沢山紹介しているので、今更な内容ですが、前半はなかなか面白い本です。


2018年5月8日火曜日

M3.「007 スペクター」

ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる4作目です。

ダニエル・クレイグになってからシリアス路線となり、おちゃらけ要素が減りましたが、それはそれでよい作品です。

HIVの偽治療薬販売や、難民の売春婦売買など現代的な犯罪がスペクターのシノギとなっています。そして、世界中の盗聴と盗撮の情報を一元管理し、世界を支配するというのがスペクターの狙いです。スケールがデカイです。

舞台が、メキシコシティー、ロンドン、オーストリアの山岳地帯、モロッコの砂漠など、雄大な風景を見るだけでも気持ちがいいです。

スリリングで最後までテンポよく見ることができました。


1221.「アキラとあきら」 池井戸潤

この本を手にした時、とても驚きました。分厚すぎる・・・ 文庫本なのに705ページもあります。読み終わるのに、何日かかることか、5日か一週間か。

ところが、結局たった2日で読み終えてしまいました。何の苦痛もなく。

まず、文章が読みやすいです。そして、それ以上に内容が面白く、どんどん引き込まれていきます。

主人公は、山崎瑛と階堂彬。

瑛は、父親が工場を経営していたものの、倒産してしまい夜逃げし、貧乏という辛酸を舐めます。
彬は、家が大手企業を経営していたものの、父親と叔父たちの確執から、肉親の骨肉の争いを目の当たりにします。

全く異なる境遇で育ちながら、自らの原体験に抗い、それを克服していく姿が描かれています。

経営、融資、人間の妬みなどを体験できる素晴らしい小説です。

2018年5月7日月曜日

M2.「スラムドッグ$ミリオネア」

インド映画と思いきや、イギリス映画です。

元々は英国の人気番組で、日本では、みのもんたさんの司会でリメイクされていた「クイズミリオネア」。

スラム街で育ったジャマールは、インド版の「クイズミリオネア」で、全ての問題に正解し、100万ルピーを手に入れる権利を獲得します。

しかし、全問正解の出場者はそれまでいなかったのでイカサマと疑われ、警察に連行されます。

警察で拷問を受けながら、なぜ問題に正解できたのか、一問ずつ答えるジャマール。

その答えによって、ムンバイのスラムで生まれ育ったジャマールの半生が明らかになります。

果たして、ジャマールはイカサマをしたのか?

スラムだったボンベイが急激に発展して現在のムンバイになる過程や、スラムに生息するギャングや貧民の過酷な日常が描かれています。

スリリングな展開でとてもスッキリする作品です。

1220.「マルドゥック・アノニマス3 」 冲方丁

マルドゥック・アノニマスの最終巻。アノニマスは、SFというより、ギャング小説、人間ドラマといった感が強いです。そのため、ベロシティ、スクランブルと比べてスリリングさに欠けます。

イースターズオフィスの強化人間が3人と1頭なのに対し、クインテットは58人と11頭と圧倒的に不利。そうなると、直接対決というより策謀で対抗していくしかないので、地味な内容です。

局地戦では勝っても、大局でジリジリ押されていくので読んでいてスッキリせず、鬱屈していきます。

先のない顛末に向かっていくところ、最後の最後でどんでん返しが・・・

エンディングで、「これを待ってたんだよ!」とやっと心踊らせることができ、希望が持てる終わり方で、少しスッキリしました。


2018年5月2日水曜日

M1.「ゴッドファーザー PARTI」

1972年に公開された映画ですが、全く色あせていません。

現代でも過去を舞台にした映画はあるので、今この映画を撮ったとしても、同じ位の映像になるのではないかと思うほど、クォリティが高いです。

舞台となった1945年当時のイタリア社会がよく分かります。移民としてアメリカで生き抜くためにゴッドファーザー(名付け親)としてメンバーを守り抜く結束が非常に固いです。

印象的だったのは、飲まれている酒はビールやウイスキーではなく、専ら赤ワイン。それをピッチャーから注いで飲むというのは、イタリア系の特徴でしょうか。

殺人を犯したマイケルは一族の故郷であるイタリアのシチリア島に雲隠れするのですが、アメリカ育ちのイタリア人とシチリア島民では言語も風俗も異なってしまっている点が興味深いです。

ドン・コルレオーネの後を継ぐはずだった長男のソニーは直情型で、まんまと敵の罠にハマります。

マフィアに入ることを避けていたマイケルは大人しい正確ながら思慮深く、いざとなったら殺人も躊躇しないという、ドンとして必須の能力を持っていたこと明らかになります。その能力が開花して、組織のボスにのし上がっていく姿が恐ろしいです。



1219.「UPSTARTS UberとAirbnbはケタ違いの成功をこう手に入れた」 ブラッド・ストーン、 井口耕二

UberとAirbnbの創業から2016年頃までの物語です。

2社を取り上げているので、2社のエピソードをもとに著者の分析が語られるのかと思いきや、全く違いました。

2社の歴史が時系列で交互に丸々語られています。それぞれの会社の話で、充分2冊になる内容を1冊に濃縮しています。読んでいると、登場人物が混乱していきます。面白いのですが、読み手に結構な負担を与えます。

2社とも素晴らしいビジネスプランや売上予測があったわけではなく、単に創業者が不便と感じたことを解決しようとして始めたに過ぎませんでした。すでに先行する会社もあり、周囲は誰も成功するとは思わず、やっていた自分たちもこんなに成功するとは思っていませんでした。

そうすると、起業には立派なビジネスプランは必要ないように思えます。

ただ、それまで世の中になかったビジネスにはなかっただけの理由があります。それは、規制があるために事業化ができなかったということです。2社とも規制に苦しめられ、何度も何度も訴訟などで争い、ギリギリで勝ってきました。

今や大企業となった2社ですが、この物語はまだ終わっていません。突然、新たな法律でひっくり返されたり、技術革新により新たな競合が現れる可能性があるからです。

起業の面白さや、苦しさがよくわかる本です。


2018年5月1日火曜日

1222.「99%の努力はいらない」 信長

結果を出す人にとって、99%の努力は不要で、重要な「1%の努力」に注力しているそうです。

そのためには、3つの基本方針を守ること。
1 「他力本願」に汗をかけ!(人間関係構築術)
2 「行動」は空気を読むな!(行動原則)
3 いくらサボっても自動でうまくいく「仕組み」を作れ!(時間術)

これらを実行する各論が書かれています。

私が気に入ったのは、次の各論です。
1-2 自分の頭を使うな:記憶するな。他人に聞け。
2-11 大事なのは「話す時の空気」「声の出し方」:「面白い内容」よりも「堂々と声を出すこと」
3-1 「意思の力」より「場所」の力
3-7 「◯◯したい」と伝える

構成が優れているので読みやすく、とても勉強になりました。
 

1218.「誰も教えてくれない 大人の性の作法(メソッド) 」坂爪 真吾、 藤見里紗

タイトルから想像されるような内容は書かれていません。

ドキュメンタリーやノウハウではなく、社会学的な内容です。

「男は安定するとダメになり、女は不安になるとダメになる」という格言は、正にその通りだと思いました。

昨今の官僚や知事の問題を見ても、エリートとして安定すると男性は、性に関心が強くなってしまうようです。