2014年4月23日水曜日

325.「高校入試」 湊 かなえ

383ページという長編でしたが、一日で読みました。面白かったです。

今回も、一つの出来事を複数の人物から語らせ、立体感を生み出しています。その上で、インターネットの掲示板への書き込みを挟むことで事件にスピード感を与えています。

高校入試が持つ問題点を核に、地元の名門高校卒業生に対する憧れや拘りが生み出す、地域の歪みを描いています。東京では、こういった歪みはあまりありませんが、地方では、卒業大学よりも卒業高校を誇りに思い」、人脈もつくられる構図が、今でもあるようです。

問題となっていた高校入試の不備は、結局ちょっとした工夫で解決できそうなものでした。そこから解き放たれた登場人物達の今後に期待を持たせる、清々しい結末でした。