2014年6月23日月曜日

386.「ストーリー・セラー」 有川 浩

もともと、「Story Seller」という複数の作家の作品をまとめた本で発表されたSide Aに、Side Bを書き下ろして単行本化した本です。

成功者の周囲の人間の善良なる悪意というものを感じました。

作家である彼女に押し寄せる、嫉妬、妬み、やっかみ、負け惜しみ。これらが一度に押し寄せたため、彼女の精神が破壊されます。

「致死性脳劣化症候群」。
思考した分だけ生命を削られる奇病に最も思考が必要な職業である作家の彼女が羅患します。

Silde Aは、読んでいてつらすぎました。

そのSide Aと対をなすSide Bを読むと、そのつらさが少し薄らぎます。しかし、読み進めるうちに違う種類の、現実的なつらさがじんわり染みてきます。

その中でも、最後に希望が見いだせるのが、せめてもの救いです。