2014年10月20日月曜日

502.「真夏の島に咲く花は」 垣根 涼介

フィジーを舞台に、その歴史と民族を基盤として、物語が展開していきます。外国に精通した著者らしい作品です。

フィジーの人口がフィージー人とインド人の半々からなることを初めて知りました。フィジー人の大らかな気性とインド人の勤勉な気性がコントラストをなして面白いです。

フィジー人があまり働かないため、イギリス人が農園で働かせるためにインドから連れてきたのが起源だそうです。その移民により、フィジーの社会構造が作られています。

労働によって富めるインド人と、土地は有するが貧しいフィジー人。それぞれが互いに対して不満を抱いています。

2000年5月に起きたジョージ・スペイドによるクーデターを題材にそれに翻弄される、良昭、茜、チョネ、サティの姿が描かれています。

その状況を、それぞれの民族を恋人に持つ2人の日本人、良昭と茜の視線から客観的に描き出しています。