2015年3月24日火曜日

603.「探偵の探偵」 松岡 圭祐

「探偵の探偵」という非常に独創的なタイトルに惹かれます。本書は書き下ろしで出版されており、出版社の著者への並々ならぬ信頼感が伺えます。そして、内容はその期待を決して裏切らないものです。

まだ、10代の紗崎玲奈は、高校時代に新体操で国体の上位に入賞した華奢な美少女です。そんな彼女が高校卒業後、探偵学校に入校します。その目的は、探偵の手口を全てマスターすることです。

彼女が高校2年生の時、彼女の2歳年下の妹がストーカーに付け狙われます。住居を移転し、行き先をくらましたにもかかわらず、拉致され、下半身を裸にされた状態で生きたまま焼却炉で焼かれて殺されます。

移転先はわからなかったはずなのに、何故、拉致されたのか。そこにはもぐりの探偵の存在がありました。現在、探偵の仕事で一番多いのは浮気調査ではなく、居住地確認であり、その中にははストーカーからの依頼も含まれるそうです。

悪徳探偵を狙う探偵という設定で、探偵業界の裏側も見せてくれる、スリリングでトリッキーな小説です。