院卒女子の大半が専任教授にはなれず、非常勤講師という不安定かつ低賃金の仕事に嵌っているという指摘です。
これは、2002年頃から始まった院生枠の拡大と、それまでもあった高齢化した教授の居座りが相まって、専任教授への道が殆ど閉ざされているという状況です。女性の場合は更に、人文・社会科学の分野に進むことが多く、理系の院生のようにポスドクに逃げるということもできません。そのため、非常勤講師として、語学(主に英語)を低賃金で長時間教えることになり、研究の時間もとれず、そのまま貧困層から抜け出せないとのことです。
著者はこれを社会の責任と論じているように読めますが、果たしてそうでしょうか。
確かに院生枠を無思慮に拡大したのは政治の責任です。
年老いた教授を留め置いているのは大学の責任です。
しかし、そういった状況をきちんと調べず、学問を極めれば専任教授になれると妄信的に突き進んだ当人達のマーケット感覚の欠如に一番の責任があるのではないでしょうか。
奨学金の返済を逃れるために院生であり続けることや、仕事を選ばず必死で探さないと失業給付がもらえないことに文句を言うことは筋違いの甘えと感じました。