2015年7月6日月曜日

673.「結局、世界は「石油」で動いている」 佐々木 良昭

「石油」が世界経済に影響をおよぼすことはあるけれども、今どき、「石油」が世界を動かしているというのは、少し言い過ぎではないかと思い、読み進めました。

しかし、読み進めるうちに、石油が燃料としてだけではなく、アスファルト、炭素繊維など様々な物質として、私たちの周囲で欠かせないものになっていることを知りました。

単なる「燃える水」であったはずの石油ですが、石油をめぐり領土争いが起こり、戦争まで引き起こしてきました。燃料という点から兵器を動かす戦略物資となり、石油の決済をドルとしたことで、金融商品となりました。

日本は原油を100%輸入に頼っており、その80%を中東に依存しています。その理由は価格と安定供給です。これが止まると、日本経済に重大な影響を与えます。他の国に振り分けると、価格が上昇し、しかも、供給が不安定となります。つまり、遠い国の出来事ながら、中東の紛争にすでに巻き込まれているのです。

このような状況を考えると、電力供給は新たな効率的な発電方法が開発されるまで、原子力を再稼働する必要があるかもしれません。また、ホルムズ海峡の機雷除去も、遠い国の無関係な問題ではなく、非常に現実的な危機回避策といえるかもしれません。