2016年4月11日月曜日

902.「愛国ってなんだ 民族・郷土・戦争」 古谷 経衡、 奥田 愛基(対談者)

著者は自らを「保守」と位置づけていますが、この本を読む限り、そうは思えませんでした。

また、思想の根拠をアニメ、漫画、小説、映画といったフィクションに置くことが多く、それらのフィクションは事実に基づくものでなく、それぞれの著者の考え方を表すものであるため、納得感に欠けました。

奥田氏との対談では、自らの主張を貫き通すのではなく、奥田氏に歩み寄り、殆ど迎合しているように見えました。そのため、立派な意見は反論しない大衆への言い放しの挑発に過ぎず、反論する相手には意見を変えるのではないかという印象を受けました。

二人共、自衛隊があるのだから在日米軍は不要という趣旨のことを述べていますが、そうなると自衛隊も個別的自衛権も憲法9条違反ではないということを認めることになるのではないでしょうか。そして、なぜか韓国の脅威にしか言及していませんが、中国の脅威に対して米軍も集団的自衛権も不要となると、自衛隊の軍備を増強せざるを得ないことをどう考えるのでしょうか。

著者の奥田氏への憧れや嫉妬を読みながら、この本を読んでいる時間は有用だったのか思い悩みました。