2016年6月6日月曜日

938.「中国経済はどこまで死んだか 中国バブル崩壊後の真実」 宮崎正弘 (著), 渡邉哲也 (著), 田村秀男 (著) 産経新聞出版

人民元が上がっても下がっても悲惨な結果になることが予想される中国。

現在は、外貨準備高を取り崩して人民元を買い支え、かろうじて人民元安を防いでいます。

2014年に不動産バブルが崩壊し、2015年にはそれをごまかすために釣り上げた株式バブルも崩壊しました。

国内には、鉄鋼などの不良在庫が積み上げられ、労働力も過剰です。

これを外国に押し付けるために設立されたのがAIIB。しかし、アメリカと日本が参加しなかったために、高い格付けが得られることはなく、青息吐息の開店閉業状態となっています。

中国もこれまでかと思われたところ、人民元のSDR入りが決まり、首の皮一枚繋がりました。これが習近平政権の延命策となってしまうようです。

つまり、ドルでなければ実行できなかったAIIBのプロジェクトが、人民元が国際通貨となったことで、人民元建てでプロジェクトが決済されるようになるとのこと。

そうなれば、ドルと連動するという建前の人民元を、じゃんじゃん刷ってAIIBにつぎ込み、余剰な資材と労働力を一帯一路に押し込めます。

資材労働力は中国から輸出されるので、中国経済が息を吹き返し、プロジェクトが実施された地域はやがて中国製品が人民元で売買されるようになり、侵略の第一段階が完了します。

この悪夢が実現するかどうかは、2017年にはわかるものと思われます。