人口減少がデフレの原因とする理論が一時もてはやされましたが、本書はそれを真っ向から否定するものです。
デフレの原因を名目GDPと潜在GDPの差、つまり、名目GDPが潜在GDPより少ない部分であるデフレギャップとしています。
それに対して、第三の矢である規制緩和、構造改革、福祉削減による小さな政府という緊縮財政を取ると、これらはインフレ対策であるため、デフレが悪化してしまいます。これが長期に亘る日本のデフレの原因です。
しかし、日本の最大の問題と思われていた少子高齢化による生産年齢人口の減少こそが日本を救う大きなチャンスであるというのです。
その理由は、生産年齢人口の減少により人手不足が起こり、完全雇用に近い状況になります。そして、雇用を維持するため賃金が上昇し福利厚生も充実していくのです。
それでも足りない労働力を技術開発による生産性向上により補うのですが、それに不可欠な技術力も幸いな事に日本には存在します。
これを妨げる要因が、外国人労働者の移民です。これが行われると本来上昇するはずだった賃金が上昇せず、日本人の雇用も増えず、技術革新の必要性も薄れてしまいます。さらには異民族間の不調和による社会不安も起こります。
難民は人道的な面からも受け入れるべきですが、経済移民を雇用対策として受け入れる必要はありません。そうすれば数年後には日本はデフレから脱却できていると思います。