2017年11月13日月曜日

1137.「マルドゥック・ヴェロシティ1」 冲方 丁

マルドゥック・スクランブルの続編にして、それ以前を描いた作品です。

マルドゥック・スクランブルで主人公のバロットと死闘を演じた敵役のボイルドが誕生するまでの話です。

一作目の敵役が主人公なので、あまり感情移入もできない出がらしの話かと思っていましたが、予想外に面白いです。

戦争で半死半生の重症を負った兵士に最新鋭の科学技術を投入して特殊技能を持つ肉体に改造された戦士たち。戦争が終わったために用無しと見做され殲滅が命じられましたが返り討ちにします。

戦争という仕事がなくなった彼らは、マルドゥック市において証人を保護するという任務につきますが、次々と異常な殺人が起こり・・・

ボイルドは肉体改造を受け眠らない鋼鉄の男となりますが、覚醒剤中毒の後遺症でフラッシュバックを繰り返します。そして、数々の殺戮に遭遇することで抑えていた虐殺の欲望に囚われていきます。

敵グループも非常に強力かつ残忍でエッジが立っており、異常さが際立ちます。一巻ではその存在が明らかになりつつある状況で、二巻以降の本格的な対決が楽しみです。