2013年9月2日月曜日

108.「怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス」 神永 学

義賊(?)である山猫がマフィアの構想の裏に潜む策謀を暴くハードボイルド小説。


渋谷に出現した自警団「ウロボロス」

最初は、渋谷のトラブルを解決するだけでしたが、徐々に暴力団の粛清へと行動を過激化します。

そのウロボロスの行動を偶然、盗聴することになった、魔王こと中学生の真生。好奇心から、勝村、そして山猫を巻き込んでいきます。

よく練られた構図にどんどん引き込まれます。物語の主題と同時に真生が成長していく姿が描かれる、スリリングな冒険小説です。

著者は心霊探偵八雲をはじめ、さまざまなシリーズを書き分けそれぞれ成功させています。

今回は、天命探偵真田省吾や確率捜査官御子柴岳人のキャラクターが少しでききて、著者の世界が徐々に構成されていっています。

著者の作品全般に言えることですが、事件の被害者に対する
優しさが感じられるので、最後にはほっとします。