2014年1月18日土曜日

225.「レインツリーの国」 有川 浩


同じ著者の「図書館内乱」の中で発禁対象となった架空の本。図書館内乱とのコラボレーションとして企画され、同書の発売後に出版されました。

この本自体も「フェアリーゲーム」という本がきっかけとなり始まります。物語のなかに別の物語を入れるという構造に著者の頭のなかの世界観の豊かさに驚きます。

「聴覚障害」には、中途失聴、難聴、聾、聾唖があり、それぞれのコミュニケーションの方法が異なるということは、全く知りませんでした。あまり知られていない世界を調べあげて、その世界を分かり易く描くという著者の力量に感服するとともに、知らない世界を実体を伴って知ることができるというのが小説の魅力だと思いました。

聴覚障害者の恋をその心の傷や障害を含め、非常にうまく描かれています。図書館内乱で小牧が毬江にこの本を薦めた心情を思い量り、切なくなりました。

「レインツリーの国」というサイト名をひとみが付けた理由も最後に明かされ、胸にささります。本当にこのサイトを立ち上げたことが「レインツリーの国」への入り口になったと思いました。