堂上、郁、当麻が都内の外国大使館を求めて逃げ惑うシーンは、スピード感があってとてもスリリングでした。
大使館から大使館への逃走経路が非常に具体的かつ緻密で情景が目に浮かびます。
また、新宿の紀伊國屋(?)での堂上と郁の別れのシーンはお互いの気持ちがよく描かれていてせつないです。お互いを認め合い、惹かれ合う姿が美しいです。
文庫本巻末の児玉清さんと有川浩さんの対談が、また素晴らしいです。
児玉さんの読書に対する造詣の深さと小説に対する思い入れ、やさしい人柄が現れています。稲嶺司令官は児玉さんがモデルと有川さんも言っていますが、まさに稲嶺司令官の思考の高さと人間へのやさしさを児玉さんが持っていると感じました。