2014年2月13日木曜日

251.「官僚の反逆」 中野 剛志


著者は、現役の経済産業省の官僚です(現在、出向中)。

本当に頭がいい人です。難しいことを易しく説明してくれます。文章が全て短文であり、接続詞で繋いでいるので非常に流れがいいです。

易しく語られるので、読んで分かった気になりますが、読者自身に知識と思考力がないと、実は本当にはわかっていないということになります。

官僚の系譜は下記のようになります。

1950年代 「国士型官僚」
政治の上に立ち、社会とも隔絶して自らの理想としての公益を追求する官僚

1970年代 「政治的官僚」「調整型官僚」
行政を政治の一部と考え、政治のただ中に積極的に入り、さまざまな利害調整の過程を経て、公益を実現しようと活発に活動する官僚

1980年代 「吏員型官僚」
行政の政治的中立性を額面通りに受け止め、官僚の役割は政治によって与えられた政策の忠実な遂行であると信じている官僚

1990年代 「吏員型官僚」たちは、官僚制=グローバル化の徹底に向けた改革に邁進した

官僚制の本質は、「だれかれの区別をせずに」「計算可能な規則」い従って事務処理することだそうです。

その結果が、農村共同体というゲマインシャフトを破壊し、農業生産の効率化という官僚制化を実現するためには外圧を使っても良いと公言するに至りました。
これが「官僚の反逆」です。

この流れを止めるためにはどうすればいいか。
それは、「自由民主政治」を行うことだそうです。
「自由民主政治」とは、ひとりひとりが他人を考慮に入れ、異なる立場の、特に少数派とともに、ある規範の下に共存する統治のことです。

多様性を重視し、議論を尊重するものであるから、その過程は複雑でわかりにくく、また、何を決めるにも時間がかかります。
しかし、非効率であっても議論を深めて問題点を解決したうえで実行することが、道を誤ることが少なくなり、結局は効率的であるのではないかと思いました。