2014年2月13日木曜日

映画「凶悪」


自分の舎弟2人と舎弟の恋人を殺した罪により、死刑宣告を受けたヤクザの須藤。
最高裁上告中に、先生と呼ばれる木村による3人の殺人を新聞記者の藤井に告白します。

誰にも取り上げられない、しかも非常に曖昧なこの話を、藤井の執念と地道な主剤で立証しますが警察は取り上げてくれません。藤井はこの記事を週刊誌に公表したところ、世間の注目が集まり、それが警察を動かして木村の逮捕につながります。

「新潮45」を舞台に実際にあった事件を基に描かれた作品です。
ピエール瀧とリリー・フランキーが他人の痛みや苦しみを全く感じない、凶悪な人間を演じています。

ピエール瀧が舎弟の恋人を犯しながら覚醒剤を注射して殺してしまうシーンや、リリー・フランキーが酒を無理やり飲ませて泥酔させた男にスタンガンを当てて苦しむ様を見てはしゃぐシーンなど、演技でも躊躇する様子が感じられそうですが、それが全くありませんでした。演技ではなく2人の本質的な姿ではないかと疑ってしまうほど、迫真の演技でした。

借金のために父親の殺人を依頼した家族について、似たような事件があったときには逮捕後の残忍そうな姿しかテレビでは見ません。しかし、実際には何度も躊躇し、そうしなければならないと思いつめるほど追い詰められてしまった、普通の人間であることに気付かされます。

「事実は小説よりも奇なり」といいますが、小説という想像の世界を超えた実際の事件に背筋が寒くなる思いです。