2014年3月10日月曜日

276.「吉野弘詩集 奈々子に」吉野 弘

「奈々子に」「祝婚歌」「父」の3作品がとても印象に残りました。


いずれの詩も、胸に沁みました。



「奈々子に」

お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

「祝婚歌」

立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい

「父」

何故 生まれねばならなかったか

子供がそれを父に問うことをせず
ひとり耐えつづけている間
父はきびしく無視されるだろう
そして 父は
耐えねばならないだろう