2014年8月18日月曜日

442.「ヒア・カムズ・ザ・サン」 有川 浩

主人公の真也は、30歳の雑誌編集者です。
彼は、「余分に」察してしまう能力を持つゆえ、感情の量が圧倒的に多い作家から信頼を得ています。

ある企画で大成功したハリウッド映画の脚本家、HALが日本人であることを知り、彼をインタビューすることになります。HALは実は、真也の同僚のカオルの父親なのですが、カオルから聞いた父の話とは、全く別の真実がありました。

作家の気性は著者自身のことで、編集者の対応は著者が日頃感じていることと考えると生々しかったです。その日常を舞台として、その上に別の話を組み上げているのが見事です。組み上げ方も細やかな情念を念入りに編んでいるので物語の奥行きが深いです。

何故、ここまで深い話を毎作書けるのか、疑問に思うほど、心が動きました。