2014年10月11日土曜日

495.「リクルートという幻想」 常見 陽平

華僑にかけた、「リ僑」という呼び名を初めて知りました。あらゆる産業分野に元リクが存在し、ネットワーク化しているということのようです。また、ネットでは、リクルート出身者を「元陸」と書くようです。元陸上部とか、元陸上自衛隊のようですが、体育会系である点で共通するのかも。

「元リクはなぜ本を出すのか?」では、人材ビジネス会社や営業力アップ支援会社を立ち上げたOB・OGが多数おり、セルフブランディングに利用されているという見解で、短期間に集中的に出版して知名度を挙げた、リンクアンドモチベーションの小笹さんのことが例示されています。

120万部を突破した「人生がときめく片付けの方法」の著者、近藤麻理恵さんもリクルートエージェント出身と知って、驚きました。

内定者確保のために、学生を安比高原へ連れて行ったという都市伝説が紹介されていますが、私は実際に安比に宿泊し、やったことがないゴルフをやりました。その他に銀座で寿司や天ぷらをご馳走になりました。いい時代でしたね。

著者は、新卒で1997年に入社し、2005年に退職しています。退社してから10年近く立っているので、現在のリクルートのリアルな情報からは離れていると思います。登場する人も2005年以前に入社した人の話が主です。しかし、リクルートの風土や仕組み、退職者の傾向が分かり、とても面白かったです。

巻末で、本書によるトラブルが起きた場合に、「リクルートの経営陣と刺し違える」とか、「どんなことがあってもあなたについていくと言ってくれた妻」とか、悲壮的なことが書かれていますが、訴訟になるような内容ではないと思います。

何だかんだ言っても、1兆4,000億円もの借金を返済し、かつ、過去最高益を更新しているリクルートは、大したものだと思います。これからも繁栄し続けて欲しいです。