しかし、ある日、ふと目にした週刊誌で、銚子で3人の高校生が、巨大な大型犬に襲われ、2人が死亡し、1人が重症を追ったとの記事を目にします。犬の特徴やジョンと出会った日などが共通し、太刀川は、事件へのジョンの関与を疑います。
小説は、冒頭に事件が起こりその後に背景を説明するタイプと、最初に登場人物にまつわる前提を説明し、舞台が整ったところで事件が起こるタイプがあると思います。本書は、後に事件が起こるタイプです。
361ページのうち、200ページ位まで、特に事件が起こりません。ジョンを家に連れてきた経緯と、太刀川と彼女との関係が語られます。普通ここまで事件が起こらないと、途中で読むのを投げ出す読者もいると思います。そこまで惹きつけられるのは、著者の筆力の成せる技だと思いました。