「僕」は、脳腫瘍ができたために余命半年と宣告されます。そんなもとに悪魔が現れ、世界から一つモノを消せば、一日だけ生きながらえることができると持ちかけられます。
僕はその取引に応じ、まず世界から電話が消えます。
電話は僕の重要なコミュニケーション手段でした。
次に、映画が消えます。映画は、元カノの仕事であり、彼女の全てでした。
そして、時計が消えます。時計は、僕の父親の仕事であり、父の人生でした。
ついに、悪魔は、猫を消すことを持ちかけます。
猫は、僕の亡くなった母の思い出であり、僕は、形見であるキャベツという名の猫を飼っています。
悩んだ末に彼が選んだ道は・・・
一つのモノが消されるたびに、読者もそのモノの大切さを振り返ります。
男の子が成長するに従い、同姓である父親と対立し、やがてそれを乗り越え、関係を再構築していくというテーマがあるように思えました。