2015年4月13日月曜日

617.「日本に殺されず幸せに生きる方法」 谷本真由美

かなり偏った主張の本だと思いました。

確かに日本には、「過労死」が存在しその数は決して少なくはないと思いますが、それを日本の労働環境一般に普遍化するのは言い過ぎだと思います。

介護事業は、お金をかけても老人が新たな利益を生み出すことはないから、「成長産業」ではないとのことですが、老人が新たな収益を産まなくても、そこで働く人たちの実質賃金が上昇すれば、内需が拡大します。

日本はイギリスに学べと言いますが、サッチャー首相の頃と現在の日本は状況が異なります。当時のイギリスは、大きすぎる政府、生産性の低さなどによるインフレでした。現在の日本は、公務員の数は先進国の中で少ない部類ですし、生産性が高いことによりデフレとなっています。

この状態で、イギリスを真似したら、さらにデフレが進行して、ますます賃金格差が広がります。

また、イギリスは日本のように高齢化社会が進んでいないと自慢しますが、生活習慣や社会保障不足で、日本より平均寿命が短いだけではないでしょうか。

著者の主張は、単なるグローバリズム礼賛に感じました。