2015年6月18日木曜日

661.「絶歌」 元少年A:第一部

神戸連続児童殺傷事件の犯人、酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの手記です。

あまりに思うことが多かったので、少年院送致までの第一部と、退院後の第二部に分けて感想の述べます。

具体的内容については、残忍すぎて記載することが憚られます。現実に起こした内容ですが、犯罪小説を読んでいるようです。しかし、その内容は犯罪小説の描写を超えています。

読んでいて生理的嫌悪感を覚える行為が次々に続いていきます。何かが壊れたというより、初めから何かが欠けていたという感想です。それは、一線を超えることに対する倫理観というより、人間が人間であるために持っている嫌悪感でしょうか。

Aは、人間を殺害することに躊躇することなく、それどころか、性的オーガズムに達してしまいました。これはサイコパスの特徴です。更生することはないと思います。なぜなら、生まれつき殺人に対する抵抗も反省もしない精神で生まれついてきたのですから。更生というより、自分自身の欲望を抑制して生きていかなくてはならないと思いました。

第一部は読んでいて、自然と顔が歪んでいくのが分かりました。これほど心が騒いだ本は、これまで読んだことがなく、やり場のない感情に囚われました。