我が家のすぐ近くがロケ場所だったので、見に行きました。
素晴らしい桜並木があるのですが、数日しかない開花の時期によく撮影できたものだと感心しました。自分がいつも通っていて何気なく見ていた風景がスクリーンに映し出されると、この上なく美しいことに驚き、そういう場所に暮らしていることに感謝しました。
主人公の千太郎は小さなどら焼きやの店主。その店に70歳を過ぎた徳江がアルバイトしたいと申し出る。この話を聞いただけでは、全く見るきが起きない地味な内容です。私も撮影場所が近所でなければ見ることはなかったでしょう。
徳江が作る「あん」は絶品でお客さんも急増します。しかし、なぜか徳江の指は奇妙に曲がっているのです。
社会から隔絶されながらも生き抜いてきた徳江が、その体験ゆえに何かに囚われている千太郎に気づき、何か手助けをしようとする。
美しい風景を背景に、弱い人間の心の開放を描いた、淡々としているがやさしい映画でした。