ユーリの生い立ちから警察を辞めるに至るまで、ロシアの国民の生活や、犯罪組織の暗躍、警察の汚職などが非常に詳しく書かれています。資料から物語を作ったのだと思いますが、すごい筆力です。
このシリーズに感じる点ですが、物語の中頃まで、たくさんの伏線が貼られていくのでなかなか読み進められません。つまらなくはないのですが、少し忍耐が必要です。しかし、後半から非常にスピードが上がり、前半の伏線が繋がり始めるので読み止まらなくなります。
ロシアでの裏切りが日本での事件と絡み合い、日本の事件が進展するに従い、裏切りの真相が明らかになっていきます。
そして、終盤のアクションシーンに繋がっていきますが、一つの戦いが充分な迫力を持ちながら次々と連続していく様が圧巻です。
ラストでユールを縛っていた呪縛が解かれ、新たな呪縛に取って代わられますが、それはユーリにとって、決して不快なものではなく、一つの救いになっていると感じました。