2015年10月14日水曜日

739.「日韓併合を生きた15人の証言 「よき関係」のあったことをなぜ語らないのか」 呉 善花

日韓併合時代を生きた、日本人と韓国人の合計15人のインタビューからなる本です。

日本人の証言は概ね、
「日本人と韓国人はうまくやっていた。日本に帰るとき韓国人は皆良くしてくれた。」
という純粋なものです。

韓国人の証言は概ね、
「周りの日本人は皆いい人だった。しかし、日本人全体は好きではない。当時は気づかなかったが差別があった。日本人はまだ謝罪していない。」
という少し歪んだものです。

この違いは何だろうと疑問に感じました。「当時は気づかなかった」という点から、戦後の反日教育や風潮から、付き合っていた日本人への記憶は変わらないものの、日本人に対する見解が変化してしまったものと思いました。

政治・制度の面で、他国を併合し言語を変えさせたことは罪悪だと思いました。
一方、社会・生活面では併合により日本と同じ水準にしようとして教育やインフラを整え、庶民の生活面が向上したことは事実です。

日本人はこの社会・生活面から「良いこともした」と主張し、韓国人はこの政治・制度面から「略奪された」と主張します。主張の立脚点が異なるため、議論が噛みあうことはないだろうと思いました。