2015年11月2日月曜日

753.「屋上のウインドノーツ」額賀 澪

途中で本を置きたくないと思える本でした。

高校の吹奏楽がテーマの小説です。私は吹奏楽のことを全く知らず、興味もないのですが、読んでいると、何だか吹奏楽が格好良く思えてきます。

そして、目標が東日本大会出場と、小説にしては大きくない目標ですが、読み進めるうちに、とても大きく、燃える目標に思えてきました。

著者の「ヒトリコ」という作品では、主人公は小学生のときに幼稚園からの友達に裏切られ孤独になりますが、本作の主人公の志音には幼稚園の親友がいました。それなのに常に孤独を感じていて自ら逃げ出してしまいます。

吹奏楽部に入り、東日本大会を目指すことで自ら作ってしまった殻を破り、一人の人間としての自立の道を歩む。衝撃的な事件は起きないけれども、とても爽やかで、読んだ後心がホッとする作品でした。