著者は、「ドン・キホーテ」の創業者です。
新興小売店と思っていたドンキは、1989年に1号店をオープンしていますから、すでに創業27年にもなります。今や東証一部上場の大企業です。
著者は、2015年6月にグループ各社から退き、世襲もしなかったので、きれいな引き際と言えます。ただ、依然として筆頭株主であるため、いつお家騒動が起こるかは分かりません。
これだけの大企業ですが、創業から現在に至るまで、経営理論やコンサルティング会社を活用していないようです。
「圧縮陳列」、「POP洪水」、「ナイトマーケット」といった、特徴的かつ独特な経営手法は、すべて実務で試行錯誤しながら生まれたもののようです。
そのため、経営学者がこれを分析しても、他社は形だけしか真似できないものと思われます。なぜなら、経営手法と企業風土は一体となって形成されたものであるため、異なる企業風土に導入しても、上手く運用できないからです。
とても面白く、企業経営の実態に触れることができました。