2016年6月13日月曜日

943.「サラバ! 上」 西 加奈子 小学館

一つの家族の歴史を主人公である歩の誕生から描いた、遠大な物語です。

歩は、イラン革命前のテヘランで生まれ育ちます。

4歳年上の姉、貴子は多動症もしくは境界性人格障害と思われ、その奇異な行動で家族を振り回します。

そんな姉を見て育った歩は、処世術に長けた子供として成長していきます。

父の転勤でイランから日本、そしてエジプトへと住まいを変えますが、夫妻の間に深刻な問題が生じて、離婚します。

姉は不登校となり、新興宗教へ。

そんな家庭で家族を冷静に観察しながら歩は高校生になります。

375ページという長い前編ですが、長さを感じさせません。

細々としてエピソードが重ねられ、家族一人一人の生き様が色濃く描かれて、面白いです。