何とも奇妙な近未来小説です。
セックスは快楽のためだけに求められ、出産はセックスと切り離されて人口授精のみとなった社会。
人口が減少していくなか、政府は子供を10人産めば、その代わりに好きな人間を一人殺してもよいとする法案を成立させました。
10人産んだ人は「産み人」、産み人に殺された人は「死に人」として崇められます。
人を殺すことが罪ではなくなり、恨みを晴らすためや、殺人願望を叶えるために出産する人。
一方、好きな人の子供を産むことに拘り出産する、ごく少数の人。
殺人と出産という、人間の本性を考えさせられる作品です。