第23回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉受賞作です。
国から見捨てられ、朽ち果てた町「イタギリ」。その独特の世界観でグロテスクで美しい物語が始まります。
イタギリに生まれ育った晴史は父親と二人暮らし。国籍もなく、教育も受けておらず、ゴミ集めで生活を凌いでいます。
晴史の唯一の楽しみは、道端で絵を書く美少女、シズクを見かけること。しかし、この町の道端で絵を書くことはすなわち「物売り(娼婦)」であることを意味します。
イタギリで、殺された上に内蔵を抜き去られるという連続殺人事件が起こります。犯人の手がかりは全くありません。
犯人は誰なのか、なぜ内蔵が抜き去られるのか、陰鬱な事件の中で鮮やかな恋愛が奏でられる異色の作品です。