2017年5月12日金曜日

1157.「真昼の悪魔 」 遠藤 周作

2017年に放送されたドラマの原作です。ドラマでは初めから犯人が分かっていますが、小説では犯人が4人の女医の誰なのか、最後まで分からないつくリになっています。こちらの方が面白いです。

悪魔とは何かの一面を語ろうとするテーマです。悪魔はおどろおどろしい姿をしているのではなく、ごく普通の人間の心の空白に忍び込んでいます。それを何にも心を動かさない女医が、入院患者に対してノイローゼに追い込んだり、殺害の味を覚えさせたり、投薬のすり替えをしたりして、虚しさが埋まるのかを試していきます。

古い作品ですが、サイコパスという言葉が知られる前に女医の行動を通してサイコパスという症状を提起した問題作だと思いました。