2018年10月11日木曜日

1284.「彼女は頭が悪いから」 姫野カオルコ

2016年に起きた東大生5人による集団強制わいせつ事件をもとに書かれた小説です。

全473ページ。被害者女性とその元彼の子供の頃から書き起こしているため、200ページ位までは余分な話が多く、疲れます。

事件は第4章から起こりますがそこまで辛抱して読み進めると、それぞれの心情などが分かってきます。

全ての東大生がこういう感性を持っているとは思いませんが、東大を目標にして育ち、それを手にした時、強い自己顕示と東大生以外を見下す思考になってしまうのでしょうか。

彼氏がいない女子大生はそのことに引け目を感じ、彼氏を作ることにあせり、東大生というブランドに目が眩んでしまい、非人道的な要求も断れなくなってしまうのでしょうか。

示談の条件は、東大の自主退学でしたが、被害者は東大というブランドで暴虐を尽くされたことが許せず、その条件を拒んだ加害者は東大が最高にして唯一無二のアイデンティティだったのかもしれません。