2022年1月3日月曜日

1517.「国宝 (下) 花道篇」 吉田 修一

喜久雄は年々円熟味を増し、名声を高めていく。

ライバルの不運、大先輩の死により、競い合い、教わっていく相手がいなくなるが、それでも自分に負荷をかけ、やがて孤高の存在となっていく。

成長と挫折を越え栄光にたどり着きながら、人間の宿命である老いが喜久雄の体と精神を蝕んでいく。

歌舞伎を舞台にした一大抒情詩。

人間の浮き沈みをとても深く体感でき、人生の儚さを自分にも引き寄せて読める名著です。