2014年3月13日木曜日

279.「保守とは何だろうか」 中野 剛志

保守主義を解き明かすために、19世紀の経済学者コールリッジに光を当てています。

現在の日本の保守派の多くは、「革新」を保守することとなってしまっています。「革新」とは、新自由主義。新自由主義は、規制緩和、自由貿易、法人税減税、小さな政府によって、大企業を優遇し、「トリクルダウン(おこぼれ)効果」を起こすこと。
「トリクルダウン」は、富裕層は企業の所得を増加させれば、増えた所得は、市場原理によって確実に投資へと向かうので、経済成長が実現し、国民全体が豊かになるという仕組みです。

しかし、新自由主義に先行したアメリカでは「トリクルダウン効果」はみられず、むしろ、正反対の現象が起こりました。それは、「下層から上層へ金を移動させれば、消費は落ち込む。なぜなら、低所得者より高所得者のほうが所得に占める消費の割合が少ないから。」(スティグリッツ)だそうです。

では、どうするか。それは、金融緩和、財政投資、保護貿易といった保護主義によりデフレから脱却することです。

TPPの論議では、農業の関税撤廃に対して、効率化を行い、輸出産業とすべきだという主張があります。
しかし、農業は商業と同じ論理で議論すべきではないと、私も思います。
農業の効率化を図った場合、農薬、遺伝子組み換え、抗生物質投与により食の安全性が損なわれる可能性があり、小麦など輸入に頼った産品については、輸出国に生殺与奪権を奪われるからです。