著者の、日本、中国、韓国の歴史に対する造詣は深く、さらにその縦糸に横糸を絡めて秀逸な東洋史を見せてくれます。
問題を複雑にしているのは、
- 現代の安定した国家である中国、韓国を前提として19世紀前半の三国関係を見てしまうこと、
- 内部対立が激しく自己批判やプロバガンダを繰り返してきた民族が民族間抗争が殆どなかった民俗にやりなれた手法を使っていること、
- 欧米は19世紀始めまでに世界侵略をし尽くし、その安定した植民地支配を世界秩序として維持しようとしていたこと
です。
マッカーサーが1951年の米上院外交委員会と軍事委員会の合同会議において、日本の太平洋戦争にいたるまでの軍事行動を「正当防衛の戦争」であったと証言していたということには驚きました。