2014年5月7日水曜日

339.「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか」 石平


近視眼的な評論文かと思いましたが、日本の古代の歴史からひも解き、冷静に論評しています。

著者は、中国四川省に生まれ、日本に帰化した中国系日本人です。日本に生まれ育った私より、余程、日本に対する愛国心が強いです。

聖徳太子が随の皇帝に国書を送り中国の冊封体制から逃れた後、中国の律令制を模倣したものの、墾田永年私財法により、封建国家への道を進み、中国とは全く異なる文明国家へと変貌した。

そして、遣唐使廃止後、独自に発展の道を歩んだ日本ですが、大東亜共栄圏構想により中国に接近してから紛争が起こります。

大東亜戦争後、中国との関係を断って急成長を遂げた日本ですが、田中内閣の早急な日中国交正常化により、現在に至る尖閣問題の種を蒔いてしまいました。

中曽根内閣の靖国公式参拝中止で中国側に歴史問題という交渉カードを渡してしまい、宮沢内閣の天皇訪中によって天安門事件の責任をうやむやにしてしまいました。

こうした史実から見ると、中国と関わるとトラブルが起きる可能性は非常に高いと言わざるを得ません。

世界の工場、巨大な市場という魅力ゆえに中国を捨てきれ中qったのですが、それは、幻想のようです。
もはや、唯一の魅力であった低賃金の労働力も周辺国より高くなり、GDP世界第2位といっても、一般人の購買力は低い。チャイナ・リスクを考えると、あまりメリットがないように思えます。

著者のいうように、インドやロシアといった周辺国と手を組んで、中国、さらには韓国とは距離をおいた方がうまくいくと感じました。