2014年5月21日水曜日

353.「母性 」湊 かなえ

登場人物の独白スタイルは、著者独自のものと思っていましたが、著者が好きだと言っていた「殺人交差点」とスタイルが似ていることに気付きました。

本書は伏線が巧妙で、思わず前に遡って該当箇所を探してしまいました。

「時は流れる。流れるからこそ、母への思いも変化する。それで愛を求めようとするのが娘であり、自分が求めたものを我が子に捧げたいと思う気持ちが、母性なのではないだろうか。」

母性を持たずに娘で在り続けた母親と、その母に母性を求め続けた娘の葛藤が物悲しかったです。