しかし、真菜の半生が始まり、ようやく著者らしさを感じるとともに、日本という1つの国の中に生きた、昭和の女性と平成の女性の生き方の違いを出産を通じて描いているのではないかと思いました。
物はないけれど母の愛情に育まれて育った晶子と、
物はなんでもあるけれど、母の愛情に触れることなく育った真菜。
打算のない友情を示してくれた千代子と、
自分の都合のために友情を見せかけた絵莉花。
多くのことが対照的に描かれていますが、昭和の日本と平成の日本ではそこに暮らす女性達を全く変えてしまいました。変わらなかったのは、不都合な情報を隠そうとする政府と、春に咲く桜だけでした。
「先生たちの世代が、いい暮らしを望まなかったら、こんなこと起こらなかったんじゃないんですか・・・」
「夫になんか頼らなくても子育てはできるわよ。」
とても耳に痛い言葉ですが、確かにその通りです。
今、政府は女性が働くことを後押ししていて、その事自体は素晴らしいことです。
しかし、子供にとっては、母親の愛情に育まれないとしたら、どうなのだろうかと、考えさせられました。