2014年5月30日金曜日

362.「サファイア」 湊 かなえ

1編40ページの短編小説が7編からなります。どことなく読後感が星新一のショート・ショートに似ていますが、より毒を含んだ気がします。

各編で宝石をテーマしていますが、その毒ゆえに妖しく輝いています。

中でも、「サファイア」と「ガーネット」の連作が印象に残りました。

サファイアをマミに贈るために悪質商法に手を染めた修一と、修一から無価値な宝石を高値で買わされた女性、そして、その女性とマミとの邂逅。

日常に潜む普通の人の悪意と、悪意より見出すことが難しいが人の心を救済する善意に気付かされる作品でした。